第40話 魔族Ⅲ
キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン
ドゴオオオオン
ヒュン
ガキイイイイイン
キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキイイイイイン
バゴオオオオオオオオオオオオオンンンンンンン
これらの音は上から、1000を超えて剣を交え、態勢の崩れた魔族を殴りつけ、畳かけようと、光魔法を放ち魔族の左肩を貫き、剣でトドメを指そうとしたら、剣で防がれ、また万を超えて剣を交え、そして互いに剣を弾き、俺が魔族にエクスプロージョンを放った。
というふうになっている。
そして魔族は現在進行形で気持ち悪い再生を遂げている。
「マッタクキカナイゾ。ドウスルイレギュラー」
「さぁ、どうすると思う?」
「ヨユウヲコイテラレルノモイマノウチダゾ」
そう言って、魔族はプレッシャーを強めた。
何をする気だ。
魔族の手から黒い魔力弾のようなものが発生する。
「シネェ!」
魔族は直径が3m程の魔力弾を放ってきた。
あの大きさはやばい!
俺は身構え、魔力弾が目の前に迫り、魔族が勝ちを確信した瞬間――、
俺は魔力弾を、消した。
「エ?」
魔族が間抜けな声をあげる。
そしてその間抜けな面に拳を叩き込む。
「アベシッ!」
間抜けな声を出しながらピンポン玉のように吹っ飛んでいく。
「マヌケマヌケウルサイゾ!」
「やっぱり人の心を読んでたか」
「エ? ソ、ソンナコトハ……」
「この期に及んでとぼけるとは。お前バカだろ」
「バカハオマエダ! イマサラキヅイタトコロデモウムダダ!」
「無駄かねぇ。さっきから邪神との繋がりが切れてるて思わないか?」
「ソンナコトハ……ウソダロ……。オマエナニヲシタ!」
「結界を張っただけだぜ。今さっきな。」
「ケッカイダト……。ソンナモノイマスグコワシテ……グヘッ!?」
壊そうと飛び上がった魔族をぶん殴って撃ち落とす。
「お前バカだろ。俺に背中見せるとかマヌケかよ」
「ク、クソガ!」
三下は皆このセリフを吐くが、クソしたいならさっさとトイレにいけって言う話だ。
「ナゼワカッタ…シコウヲヨンデイルコトニ」
「殺気だよ。お前が最初に殺気を出し、俺がそれに気づいた時、その殺気に動揺が混じった。その後に俺が『もう"知覚者"を発動しているのだが、敵が何であるかが全くわからない。』と思った時、お前の殺気に余裕が混じった。それで思考を読んだことを確信し、思考を分離した。表層思考と深層思考に分けた。お前が戦闘中読んでいたのは表層思考だ。残念だったな」
「ナ、ナンダト……」
ということで、魔族を怒らせるのではないかと思ってやってなかった魔族のビュジュアルの説明をしようか。
目の前にいる魔族は2m程の身長に、ムキムキの身体で、背中にコウモリのような羽を生やし、頭からは禍々しいオーラを放った羊のような角が生えていて、その顔ははっきり言ってブサイクだ。オークと言ったら分かるだろうか。
そのレベルだ。笑ってはいけない。決してだ。プ、ププ〜。
「キ、キサマー!」
魔族が激昂し、飛びかかってくる。
「ということで、じゃあな」
そう言って飛びかかってきた魔族の首を剣で刎ねる。
魔族は再生せずに絶命した。
『テスタ、全員無事か?』
『はい、無事です!』
『了解。倒したからそっちに向かう』
念話でテスタに連絡を取り、皆の所に転移する。
「あ、ウィン! 無事だったんだね!」
転移してすぐレジュが抱きついてきた。
「あぁ、心配かけたな」
「ウィン様…無事でよかったです」
テスタも声をかけてくる。
「俺はただでは死なねーよ」
「ウィン様! 何があったんです!?」
ジュリが訊いてくる。
「ビゲルが起きてから話す。まだ気絶してるからな」
ビゲルは白目を向いたまま、テスタに抱かれている。
こいつは教師だからな。
何があったかの顛末を話した方がいいだろう。もちろんところどころ隠してだがな。




