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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第3章 青年期 学院編
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第33話 帰還

「ぐぅ……」


 ザワザワザワザワ


「うぉ!? びっくりした。な、なんだこいつ。今いきなり現れなかったか」


「こいつ首席だよ。Sランク冒険者だって言う」


「あぁ、ウィンバルド・スフィンドールか」


「でもなんでそいつがいきなり現れたんだ?」


「つーかめっちゃ怪我してんじゃん」



 咄嗟に転移魔法を使ったことにより、つい寮のラウンジに転移してしまった。

 俺がいきなり現れたせいで、ざわめきが広がる。


「みんなどうし……、ウィン? ウィンじゃん!? どうしたの? え、その怪我!? 大丈夫!?」


 レジュが騒ぎでこちらに気づく。


 そう言えば全身の骨が折れてたな。

 さらに全身血だらけで服もボロボロ。

 少しでも動くと痛い。


 俺はすぐさま治癒魔法を発動する。

 俺の身体はすぐさま治っていく。


「ど、どうしよう! 血が出てるじゃん! 医務室に連れて行ってそれで――、あ、あれ? 治ってる。ウィン治ったの!?」


 そう言って俺の身体をぺたぺたと触る。


「すまない、ちょっと怪我しただけだ」


「ちょっとどこじゃないでしょ! もう、心配したよぉ〜。うぅ〜、ふぇぇぇぇぇぇぇぇん」


 レジュは俺に抱きつきながら大泣きし始めた。


「ごめんな。悪かった」


 ごめんなを連呼しながら俺はレジュが泣き止むまで待った。











「ぐす、ぐす、もう、なにじてだのざっぎまで、あんなげがじて」


 鼻声が酷いぞ。


「ちょっと冒険者活動をしようと思ってな。魔物の討伐をしてた」


「ウィンに重症をおわぜられる魔物なんでいるんだ」


「強敵だったな」


「これはなんの騒ぎで……あれ? ウィン様どうしてここに?」


「テスタか。ちょっとここに転移してきた」


「転移ですか? さっき冒険者ギルドに行って依頼受けてくると言ってませんでしたっけ? 終わったんですか?」


「終わったっちゃあ終わったんだが、ちょっと魔物に重症を負わせられてな。咄嗟にここに転移しちまった」


「重症ですか!? 確かに服はボロボロですが……、怪我が見当たらないんですが?」


「もうとっくに治したわ」


「あ、そう言えばそうですね」


「ちっ、服もボロボロになっちまったな。めんどくせぇ」


「というかウィン様に重症を負わせた魔物ってなんですか?倒せたんですか?」


「詳細はギルドに報告してから話す。とりあえず今はすぐにギルドに向かう。」


「で、でもウィン服ボロボロだよ」


 確かにな。だが問題ない。


 俺はすぐに服を着替える。

 別に裸になって着替えたわけじゃない。

 亜空間に入れてあった予備の服を、今来てるボロボロの服と交換しただけだ。


「何がボロボロだって?」


「……ほんとウィンって規格外だよ。」


「それじゃあ行ってくる。」


 そう言って転移魔法を使ってギルドへ向かう。













 ギルドの前に到着した。

 ギルドの周りにいた人が驚いていたが、無視する。

 そして、受付へ直行する。


「あ、ウィンバルドさん。どうしたんですか? 何か不備でもありました?」


「いえ、依頼の達成報告をしに来ました」


「えぇぇ!? まだ依頼に行かれてから1時間も経ってませんよ!」


「ですが終わったんですから仕方ないでしょ」


「……嘘を言ってるならすぐ分かりますからね。それではこの魔道具に手を置いてください」


 毎度お馴染みの魔道具に手を置く。


「……ほ、ほんとに討伐されてますね……。ですか魔物の名前が不明となってますね。どんな魔物だったか教えて頂けますか?」


「そいつは特定の姿を持ちません。敵の1番嫌いなものの姿になります。俺の場合はゴキブリでしたね。身体能力は桁違いでしたね。ステータスは軒並み7万超でしょう。そして魔法が効きませんでした。魔力を吸収しているみたいで。また、斬撃も効きませんでした。斬ると分裂します。それもほぼ無限に。元に再生することも出来ます」


 俺が話していくと、受付嬢はどんどん顔を青ざめていく。


「え、ち、ちょっと待ってください! そんな魔物どうやって倒したんですか!?」


「消滅魔法です」


「し、消滅魔法って本気でそれ言ってます!?」


「はい、本気ですよ」


「消滅魔法って言ったら伝説の魔法じゃないですか! 現在の使い手はSランク冒険者であるスウェルガンさんだけですよ! ほんとにSランクの人は規格外で困ります」


 消滅魔法は確かにレアな魔法だな。威力もいかれてるしな。


「そいつは失敬」


「まぁ、分かりました。報告は以上でよろしいですね?」


「あと一つだけ。あの魔物は恐らく自然発生した魔物です。恐らくあれの復活が近いのでしょう」


 あれとはもちろん俺の仇のあいつだ。


「……そうですか……。勇者召喚の儀もすぐですね」


 あれの復活に伴って、あれを討伐するために、異世界から勇者が召喚される。

 しかし、やるのはドートミール王国ではなく、ヴェフリン帝国だ。正真正銘の軍事国家で、世界一の領土と軍事力を誇る大国だ。


「えぇ。そうなりそうですね」


「分かりました。このことはギルドマスターに報告しておきます」


「そうした方がいいですね」


「今日はありがとございました。報酬はどうしますか?」


「俺のギルド預金に入金して頂ければ」


「はい、かしこまりました」


「それではまた来週も来ます」


 こうして俺はギルドを出た。


 生きてるって素晴らしい。今日の依頼でつくづくそう思った。

 次からは慢心しないようにしよう。

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