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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第3章 青年期 学院編
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第29話 告白

やっとです。

何がかは読んでみてください。

 休憩が終わり、ビゲルの前に集まった。


「休憩は終了だ。今から6限を始める。6限ではこれを使ってもらう」


 そう言って示したのは、鍛錬用の木刀。


「これは魔法で重さが増したものだ。約10kgある。お前らが使ってる剣の10倍くらいだ。これを振れるようになってもらう。まずはこれからだ。さぁ、この中から1つ取っていけ」


 普通の剣が1kg前後なのでだいぶ重い。

 皆、持ってみてから重さに驚いているようだ。


「待て。スフィンドールとテスタルネはこれを使え。これは特注で100kgだ」


 随分買ってくれてんな。

 俺らがこれを振れると思ってやがる。


「まさか振れねぇってことはねぇよな」


 ビゲルはいやらしい笑みを浮かべている。


「楽勝だ」


 そう言って軽々持ち上げてみる。


「ハハ、これくらい持てますよ」


 まぁテスタも余裕だろうな。


「よし、皆持ったな。では振ってみろ。腕を痛めないように最初はゆっくりだ」


『ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン』


 俺は皆が苦戦して振ってる中軽々片手で振る。

 テスタも同様だ。


「余裕だろうとは思ったが、まさかそれほどとは……」


 ビゲルは驚いている。


「むぅ~~、お姉様……、これ重いです〜」


「わ、私も……ん〜〜、重いよ……」


 レジュ達はこちらを気に出来ないようだ。


「お前らどれだけあれば重く感じるんだ?」


 あまりにも俺らが軽々振るためビゲルが訊いてきた。


「ん? まぁさすがに30tはきついな」


「僕は15tくらいですね」


「……もう驚かねぇよ。ほんとにお前ら人間かよ……」


「人聞きの悪い。人間に決まってるだろ」


「ほんとですよ。僕が人外だなんて。ウィン様程ではありません」


「お? てめぇ喧嘩売ってんのか?」


 テスタも言うようになったな。

 俺の怖さを思い知らせてやろうか?


「ウィン様の冗談には乗りませんよ」


「人をおちょくったやつが何言ってやがる」


「何年も一緒にいたので分かりますよ」


「こっそり逃げようとしたくせに」


 バレないとでも思ったか。


「……別に逃げようなんて……」


「お前ら仲良いな。何年も一緒にいたって……まさかお前らゲ、ぐむッ!」


 俺はビゲルの口を片手で挟み、強制的に黙らせる。


「それ以上は言わせない。俺らはそんなんじゃねぇぞ」


「違いますよ先生。さすがに僕の恋愛対象は女の人です」


「お前は彼女作れ。俺が勘違いされる」


「レジュ様と未だにくっつかない人に言われたくないです」


「お前なぁ……あっ、逃げやがった」


 あいつ逃げ足だけは速いな。

 逃げながらも木刀を振ってるのが真面目なアイツらしい。














 6限を終え、晩飯、風呂を終え、皆が寝静まった頃、俺は寮のラウンジで独りソファーに座っている。

 少々この後やることがあるので寝ずに起きているのだ。


 ボケーとしてると足音が聞こえた。後ろの柱の方からだ。


「ウィン?」


「レジュか。どうした?」


「ちょっとウィンに訊きたいことがあって。さっきテスタくんが最後に部屋に向かったのが見えて、ウィンは起きてるかなぁっと思って……」


 テスタはさっきまで俺と話をしていた。


「ずっと柱の裏に隠れてたのか?」


「うん。バレてた?」


「バレバレだ」


「一応気配遮断使ってたのに」


「俺に通じるとでも?」


「ウィンに普通を求めちゃいけないね」


 そう言ってレジュは俺のピッタリ隣に座る。

 レジュのパジャマ姿は妙に色気がある。


「で? 訊きたいことって?」


「あのね、6限の素振りの時の話なんだけど」


「うん」


「素振り中のビゲル先生との会話が聞こえたんだけどさ」


「うん」


「私とウィンが未だにくっつかないってテスタくんが言ってたのが聞こえたんだけど、あれってどういう意味?」


 まさか聞こえてたとはな。


「……」


「テスタくんとビゲル先生となんの話しをしてたの?」


「……ただ俺とテスタがそっち系なんじゃないかとビゲルに疑われただけだ」


「え? そっち系? ほ、ホントなの?」


 こいつも疑うのかよ。


「んなわけねぇだろ。疑うんじゃねえ」


 そう言ってレジュのデコに軽くデコピンをする。


「痛!? も、もちろん信じてるからね。ウィンはそっち系じゃないって」


「そう思うならこっち向け」


 レジュは見事に俺から顔を逸らす。


「あ、でもなんでそれで私が出てくるの?」


 こいつ鈍感か? わざとかそうじゃねぇのか。スキル使っちまうか?


「えーとなぁ。そのまぁ、あのー」


 やばいこんな状況になると言い訳が出てこない。

 クソ俺のスキルはどうした!"知覚者"は制限してるとはいえ常時発動にしてるはずだぞ。

 あぁーどうした俺の脳ミソ!


「分かってるよ。ウィンが私の事なんにも思ってないことくらい。うん、だって私ウィンにつり合ってないもん。ウィンはすごい強いし、人を引きつけるし、Sランクにもなれるし。それに比べて私は……私は……」


『ポツポツポツ』


 レジュは涙を流し始める。


「私はポンコツだもん! 騎士になるのに運動好きじゃないし! 他の人より優れてる訳でもないし! 訳の分からないスキルを持ってるし! こんなんじゃウィンの隣に立つ資格なんてない! 資格なんて……うぅぅぅ……ぐすん、ないもん」


 ――俺は馬鹿だな。女を泣かせるなんて。

 今まで精神年齢の年の差を理由につけてレジュに対して向き合ってこなかった。レジュの想いにそっぽを向き、自分の想いに蓋をしてきた。

 いくらチートになろうとも、思考力が馬鹿みたいに高い天才でも、間違いは起こす。特にこういう感情が関わる場面では。


 ほんとに俺は大馬鹿者だよ。


「レジュ」


 呼びかけると泣き声が止まり、レジュはビクッと震える。


「レジュ、ごめんな。すまなかった」


「ウィンが謝る必要は無いよ。私が……」


「俺さ、レジュのことが好きだ」


 レジュの言葉を遮って言う。


「ふぇっ!?」


 レジュは顔を真っ赤にし、驚いている。


「お前は知らないかもしれないけど、俺はレジュのことが大好きなんだよ」


 こんなストレートに告白したのは前世を含めて初めてかもしれない。


「で、でも私じゃウィンに釣り合わないし……」


「関係ねぇな。釣り合うかどうか決めるのは他人じゃねぇ。決めるのは俺だ」


「そ、そうだけど……」


「それとよ。レジュは分からないかもしれないけど、お前はとびっきり可愛いんだぞ。世界一と言っても過言ではない」


 レジュの顔がボンッと赤くなる。


「そ、そそそそんな訳……」


「そんな訳ある。"気配遮断"を使ってるのはなんでだ?」


「それは皆が見てきたり、声をかけてきたりするからで……」


「お前が可愛いからだ。お前が可愛いからみんなに見られるし、声をかけられるんだ。どうにかしろその鈍感具合」


「っ!で、でもウィンに言われたくないもん。ウィンも鈍感のくせに」


「いや俺は気づいてた。お前の気持ちに。それでおいて今までそれに応えて来なかったんだ。だから謝った。もっと謝る。ごめんな」


「さっきも言ったけどウィンが謝る必要は無い。その代わり約束して」


「いいぞ。どんな約束だ」


「ずっと私を好きでいて。私もずっとウィンのことを好きでいるから。お願い」


「当たり前だろ。約束する」


「じゃあウィンは私と付き合ってくれる?」


「もちろんだ。こっちからお願いしたいくらいにな」


 そう言った瞬間レジュが抱きついてきた。


「ねぇウィン」


「ん? なんだ?」


「私もウィンのこと大好きだよ」


「あぁ、俺もだ」


 そう言って2人で見つめ合う。

 ほんとに綺麗だな。可愛すぎる。

 ほんとに人間になせる美しさだろうか。神は理不尽だな。


 そして俺とレジュはお互い何か言うわけでもなく、唇を合わせた。

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