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最強への道 〜異世界で神になるまで~  作者: 土沢天樹
第3章 青年期 学院編
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第22話 カリ高

 王都にある国立カリア学院高等学校。

 通称カリ高。


 ドートミール王国最大規模の高等学校で、多数の騎士や軍の幹部、政治家、官僚を輩出している名門高校だ。

 入学資格は15歳と16歳のドートミール王国国民で、入学試験に合格し、入学金と授業料を払える者と決められている。入学金は20万モン、1ヶ月の授業料は2万モンという庶民にはとてもではないが入ることが出来ない学校だ。


 俺は今、テスタとともにカリ高に入っていく受験生の列に紛れている。

 カリ高の武術科に入学するためだ。


 カリ高は全部で法学部、軍学部、武学部、工学部の4つだ。俺らは武学部、武術科に入る予定だ。


 入る理由のひとつは俺やテスタの実力を上手く手加減できるようにするため(主にテスタ)と、もうひとつはレジュに会うためだけに。

 あいつは10年間も一緒にいた妹のような存在だ。

 今までは会えなかったが、レジュはカリ高に入ると手紙で言っていたため会えるだろう。

 それに俺らは15歳になっているため、入学は問題ない。



 ん? スキルが使われている?


 俺は最近、周りでスキルが使われているかどうかまで分かるようになってきた。


 だが見渡してみてもそれらしき人は見当たらない。


 自然と警戒心が高まる。


「ウィン様どうしたんですか?」


 テスタの問いには答えず、警戒を続けていると……、


「ウィン?」


 可愛らしい声で後ろから名前を呼ばれた。


 そこにはヴィーナスではなく、天使ではなく、絶世の美少女が立っていた。


 人間とは思えない整いまくった顔――大きくぱっちりとした二重の目、程よく整った小さめの鼻、薄く赤みを帯びた大きすぎない唇、適度に整った眉、小さめで形の整った耳、黄金比を秘めた輪郭、真っ白でシミ一つない肌、サラサラで透き通った金色の髪、痩せすぎてはいないが、モデルのようなスタイル、年齢にしてはよく膨らんだ胸、まさにボンキュッボン。

 美を体現したような女神がそこに立っていた。


 どちらかというと綺麗系というよりかわいい系で、まだ幼さが残る顔立ちではあるが、俺はつい見とれてしまった。


「ウィンだよね! 久しぶり!」


 抱きつかれた衝撃で我に返る。


「お、おう、久しぶりだな、レジュ」


 レジュは嬉しそうな顔で、俺の胸に頬をスリスリしてくる。


「やっと会えた! ずっと会いたかった!」


「あぁ、俺もだ」


 レジュは抱きしめるのはやめたが、俺の腕にひっつき始めた。


「あ、あの、ウィン様、その方は?」


「あぁ、テスタは初めましてか。こいつはレジュレンテ・カーヴィーだ。俺の幼馴染」


「ウィン、この人は?」


「こいつはテスタルネだ。俺の弟子」


「ウィン様に師事しておりますテスタルネと申します。気軽にテスタとお呼びください、レジュレンテ様」


「あ、ご丁寧に。私のことはレジュと呼んでください。」


「はい、レジュ様」


「ウィン、弟子取ったのね」


「あぁ、こいつが強くなりたいって言うからな」


「ふぅん、ウィンは強いもんね!」


「ウィン様は強いです!」


「そうでもねぇよ。それにしてもなんでレジュ、スキルを使ってたんだ?」


「あー、あれねぇ、最近声をかけられたり見られたりすることが多いからさ。ウザイんだよね正直」


「そりゃジロジロ見るだろうな。今現在も」


 こちらに視線が集まっている。

 特に男子の。


「あまり見られたくない。私はウィンだけに認知されれば満足だし」


 そう言ってレジュは俯く。


 ダメだぞ俺、この年の差は。


 精神年齢で考えると捕まる気がする。

 だけどこのドキドキはなんだろうか。

 前世でも感じたことは無い。


「ウィン様、顔が赤いですよ」


 テスタがニヤニヤしながら言ってくる。


 なんか腹立つな。


「ほう、お前、俺をおちょくるとはいい度胸だ」


 指を鳴らしながらテスタに近づく。


「ヒッ!」


「あっ、逃げやがった」


 俺の修行はそこまで辛かったのだろうか。


「ウィン、弟子をいじめちゃダメだよ」


「いじめてねぇ。修行だ」


「それにしてもテスタくんの姓は?」


「分からない。人間のはずなんだがな。あいつは秘密が多い」


「身分証は?」


「持ってないらしい」


「よくそれでここ来れたね。身分証ないと入れないよ」


「国王のおかげさ」


「国王陛下にお願いしたの!?」


「あぁ、国王に直談判してきた」


「むちゃくちゃだね。国王陛下に直談判なんて」


「そうしてまでここに来たかったからな」


「なんで?」


「テスタはだいぶ強くなった。手加減するのに俺といても、皆がどれくらいの実力か分からないだろ」


「なるほどね」


「あとはまぁお前に会うためだ」


「えっ?」


「そういうことだ! もう行くぞ!」


 レジュを振りほどき、テスタを追いかける。


 今日は俺らしくないな。

 頭でもおかしくなったか。


「あ、ウィン! 今のどういうこと!?」


 レジュの質問には答えず、テスタに追いつく。


「ここが試験会場か」


「大きいですね」


「そりゃもちろんカリ高だからね」


 試験会場は大きな体育館だ。


 受付を済ませ、中に入る。


 中にはたくさんの受験生がひしめいている。

 受付で貰った受験番号に則って席に座る。


 そしてしばらくすると説明が始まった。

 俺らは武術科なので、武術科の試験の説明だ。騎士を目指すため、レジュも同じだ。


 説明の要約はこうだ。


 まず、試験は筆記と実技がある。

 筆記は国語、数学、理科、社会、魔法学の5科目。実技は、試験官との模擬戦だ。実技の合否は試験官が決める。

 武術科の定員は60名。

 試験の合否判定や採点方式は全て学院が執り行い、判定の異論は認めない。


 とまぁこんな感じだ。

 受験生は全部で680人ほどで、倍率は約11倍だ。


 数ある学科の中でも、1,2を争う倍率だ。


 受かるのは楽勝だがね。

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