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閑話 ヘレンの家

閑話を入れます。

 今日はこの前あったヘレンさんの家に行こうと思い、ヘレンさんの家に向かっている。


 ヘレンさんの家はアルテの中の商人の家が沢山ある地区だ。


 ここだな。

 ノックをする。


 中からドタドタとした音が聞こえる。


 玄関のドアが開き、中からヘレンさんがでてきた。


「ウィンくん、いらっしゃい。入って入って!」


「お邪魔します」


 そう言って中に入る。


「いやぁ、本当に来てくれるとはね。お父様も喜ぶわよ」


 リビングにたどり着くと、じいちゃんが座っていた。


「おぉ、ウィンか。家に来てくれたのか。ゆっくりしとってくれ」


「じいちゃん、ありがとな」


「今お茶出すから座っててちょうだい」


 言われたとおり、じいちゃんの隣に座る。


「ウィンや。おぬしはなぜあんなに強いのじゃ?」


「それはスキルのおかげだよ。詳しくは言えないけど」


「孫が教えてくれない……」


「いやそういうつもりは無いけど、事情があって話せないんだ」


「それはすまなかったの。不躾じゃった」


「気にするな」


「お父様、ウィンくんに気を使わせてるのですか」


 ヘレンさんがお茶を持って戻ってくる。


「いえいえ、そんなことないですよ」


「お父様ったら。ごめんねウィンくん、はいお茶」


「ありがとうございます」


「はい、お父様も」


「ありがとう、ヘレン」


 そうしてみんなで座る。


「良かったわ、私たちが休みの時に来てくれて。昨日も仕事があって、明日もあるのに」


「偶然ですね。本当に」


「孫に会えて嬉しいのじゃ」


 偶然など全くの嘘である。2人がいることはスキルで把握済みだ。


「思い出すのは辛いと思うのだけど、セレン、あなたのお母さんの最期を聞かせて欲しいの。ごめんなさいね辛いお願いで」


「すみません、母さんの最期には立ち会ってないんです」


「そう、悪かったわね。私も詳しいことを聞いてないから知りたかったんだけど」


「……」


「仕方ない事じゃ。ウィンも辛かろう」


「お父様も辛いでしょ」


「つ、辛くなんか……」


「無理しなくていいですよ。みんな辛いですから」


 沈黙が空間を支配する。


「母さんは、立派な人でした。父さんも同じです。小さい時から異常な力を持っていた俺を気味悪く思うことなく、育ててくれました。悲しくない訳ありません。ですが、悲しんでいても仕方ありません。悲しさを明日の活力に、母さんと父さんの代わりに精一杯生きなければと思います。ヘレンさんもじいちゃんも同じ気持ちでいて欲しいなぁって」


「もちろん同じ気持ちじゃよ。いつまでも悲しんでは、セレンの魂も気が休まらんじゃろ」


「そうですね、お父様。私も同じよウィンくん」


「良かったです」


 そう言って2人に笑いかけた。


 そのあとは雑談に花を咲かせ、時間が経過した。


「そろそろお暇します。お邪魔しました」


「また来ていいのよ」


「また来て欲しいのじゃ」


「はい、ではまた伺います。じゃあまた」


「またねウィンくん」


「またなウィン」


 こうして俺は宿へ帰還した。


 母さん、父さん、復讐を果たすよ。2人ならやめておけと言うだろうけど。俺はやってやる。

 そう決意を改めた。

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