第10話 ランク試験(1)
「ウィンバルドくん、お待たせしました。試験会場へ案内します。私についてきてください」
「はい、お願いします」
1時間ほど待ち、やっとあの受付のお姉さんがやってきた。
後ろをスタスタとついていく。
着いた場所は学校の体育館のような場所で、奥では冒険者らしき人達が剣で打ち合っている。
手前の方で冒険者風の30代後半な位の男性が立っている。
「ここが試験会場になります。そしてこちらが試験官のBランク冒険者のトーマスさんです」
「おう、俺がトーマスルド・ローレンスだ。トーマスと呼べ」
「俺はウィンバルド・スフィンドールだ。ウィンと呼んでくれ。よろしく」
俺は拳を出し、相手の拳に軽くぶつける。要はグータッチだ。
これがこの世界の握手にあたる。
「私は試験の見届け人になります、ハルナーテ・クレンジェです。ハルナと呼んでください。私が見てるうちは不正は許しませんよ」
「ハルナさんよろしくお願いします」
ハルナさんとも拳をあわせる。
「よし! それでは試験を始める。最初は俺との模擬戦だ。武器は好きなのを使っていい。一応俺は治癒魔法を使えるがなるべく致死性の魔法攻撃は控えてくれ。こちらも控える。まぁ遠慮はするなよ。お前みたいなガキにやられるほど俺はやわじゃわねぇ」
「おう、ケガしないようにしてやる」
「は! マセガキが」
俺は剣を中段に構える。
相手も同じく剣を構える。
俺は一気に飛び出し、フェイントなしのつきを放つ。相手はそれを右半身でよけ、俺にフェイントをいれた逆袈裟を放つ。それをバックステップでよけ、フェイントをいれた唐竹割りを放つ。
俺のフェイントに引っかかったのか、ギリギリで俺の斬撃を受ける。そして俺は一気に身体強化を使い相手を吹っ飛ばず。相手がよろけているがそれはカウンター狙いだな。
牽制として初級の火魔法であるファイアーボールを放つ。
「水を生み出し、これを放つ。ウォーターボール!」
相手はウォーターボールで迎撃する。
水と火がぶつかれば当然火が消え、蒸気が発生して、少しだけ視界が悪くなる。俺は縮地を使い相手の背後に回り前蹴りを放つ。
相手の背中に蹴りが刺さり相手は吹っ飛ぶ。
倒れ込んだところに一気に詰め寄り相手の喉元に剣を突き立てる。
「ま、まいった……」
「ふぅ、ありがとうございました」
そう言って手を差し伸べる。
「いやぁお前強いな。ガキだと舐めてたらビックリしちまったよ」
「ウィンくん強いんですね! 途中動きが見えませんでした」
「そうでもありませんよ」
「は!謙遜かい。俺の立つ瀬がねぇな」
「なんかすまない」
「いや、ただ俺の修行不足だ。気にするな」
「お、おう。それで結果は?」
「文句なしだ。Bランクにしてやりてぇところだが、まだあと2つ試験があるからそれによってだな。2つ目の試験は薬草採取だ。これが依頼書だ」
依頼書を受け取る。
そこには
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薬草採取
依頼主:カレナ薬局(直)
ランク:F
採取物:へステ草
採取量:10株
依頼料:800モル
備考:品質はこちらで判断し、品質が悪いものがあれば依頼達成とはなりません。
依頼番号2-300008-7-86472
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「依頼の受け方はこのカレナ薬局の右に(直)ってついてるだろ。これは依頼主に直であってから依頼に行き、終わったら依頼主に報告に行くって言う意味だ。だから今回は最初にカレナ薬局に行く。そんで薬草を集めたらカレナ薬局にまた戻り、薬草を渡し完了報告。で最後にギルドに戻りまた完了報告。めんどくせぇが、これは絶対だから怠るなよ」
「あぁ、分かった」
「あとこれは俺とハルナがお前について行くからな。俺らは一切手伝わない。だが、採取の最中に魔物に襲われて、お前が死にそうだった時は助けてやる。まぁ必要無さそうだがな」
「了解」
「よし! 依頼の受け方は分かったな。まずはカレナ薬局に行ってこい。場所は自分で把握しろよ」
「大丈夫だ。問題ない」
そう言って俺は出口へ向かう。
気づいたら訓練していた冒険者がこちらを見て口を開けているが見なかったことにする。
虫が入るぞ。




