スカイタワー
――転校生両国由夢が訪れる、前日のこと。
前回と変わり、会議場に集ったメンバーは一人多い。
否定派の小垣と花染の背後に、見慣れぬ髪の短い少女。
「・・・・・」
視線を向けても無反応。最初に挨拶をした後、ただの一度も発言をしなかった。
一応視ておいたが、怪しい動作は何もなし。
「あぁ――。お気になさらないでください。人数合わせの置物だと思って頂いて結構ですよぉ」
「嘘臭ぇ」
こちらの方が人数が多い手前、無暗に追い出す訳にもいかない。
恐らく能力者・・。
顔を合わせることで発動するタイプか?
「では決まりですね」
5時間の議論を経て、ついに結論に達する。
「無敵、停止、瞬間移動、操作。いずれもこの世界にあって、強力な能力だ」
「えぇ。見つかったのが、一人なら看過もできたでしょうねぇ・・」
問題なのは、一か所に四人も集まったこと。
世界でごく稀に、点々と見つかることはあっても、これだけの数が集中した例はない。
偶然と一蹴するには、あり得ない確率。
これは必然。
「ああ、遂に見つけた。特殊能力が消えた原因は、ここにある」
学校、土地、空気などの環境の問題か。或いは、食事、水。
検証することは山積みだ。
まぁ捕まえれば、時間は幾らでもある。
「・・・てめぇのことだぞ、分かってんのか?」
「ですから、原因は分からないと。伝えたはず」
疲れからか、言葉が荒くなっている自覚がある。
何せ五時間、それだけ時間を掛けて――。
「結局早い者勝ちじゃねぇか。最初からそれで良かった」
これ以上ないシンプルな回答、ありきたりな結果。
・・本当に馬鹿らしくなってくる。まさに時間の無駄。
溜息と共に、煙を吐き出す。
陰謀策謀渦巻く会議場を、白い煙が浄化していく。
「最初から結論は出ていた」
「話し合った、という過程が重要でしょう!!」
またもや、榎並が噛みついてくる。
・・もう疲れて、言い合う気力もない。
「これは第一歩ですとも、ねぇ・・・?」
「はっ」
吐き捨てる。何が過程、第一歩。
相互理解不能だと、分かっていないのか?こいつらは。
ならば、度し難い馬鹿共。
会話から相手の裏を読む、騙し合い。
これ以上に不毛なこともあるまい。最初から、早い者勝ちで良かった。
「確かここは・・」
「ああ、私のコネがある。手配しよう」
代永の権力は絶大。今や政界にまで浸食する勢いである。
それだけ、特殊能力の復権は待ち望まれているということ。我々には世論が味方している。
「肯定派に頼るのは癪ですがね・・」
「事実として、今の否定派にそれだけの権力はない」
13年前以降、オセロの裏返しのように、力関係が入れ替わったのだ。
「加えて、ボスからの許可も得た。全く、何を考えているのか・・」
花染の言う、否定派のトップ。
奴は、ここまで事態が進んでも姿を隠している。
余裕なのか、自信があるのか。
・・まぁいい。
それならそうで都合がいい。一気に詰めるだけのこと。
「致し方ない、と頷く他ないな。だが・・」
「ええ、条件は公平に。代永さん、よろしいですね?」
「勿論だ」
動かせる人員は、お互いに100人。
条件こそ対等だが、地の利はこちらにある。
「では――。
場所はスカイタワー京都、展望デッキ。
存分に争ってください」




