表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/66

優先順位

 ザザ・・ザ・・・・。


 映像にはノイズが混じる。


「・・・ざけないで!!」

「・・をずっと!?使・・・・・?」

「馬・・・・!!ならあと・・・・・・?」」

「・・・・!・・・・続けた!もしかしたら明日・・・・かもしれな・・・・・」

「構わ・・」

「・・・・」

「・・・い」

「っ!・・・」

「・・・の生き方を!勝手に決めるな!」


 ---------------


 ガバッ。


 布団を押し退けて、飛び起きる。

「はぁはぁはぁ・・・」

 手を頭に当てる。痛い・・・・。


 呼吸は荒く、体は汗でびしょびしょ。

 酷い目覚めだ。

 心なしか、血の流れも速い気がする。


「また、夢」

 今度は映像に留まらず、音まであった。

 なら次は、どうなる?


 ---------------


 三日後、彩甲斐(さいかい)病院。

 私も入院していた為、お見舞いが遅くなってしまった。

 今日は心配しているであろう妹に、無事を伝える為にやって来た。


「すごい慌ててたよ!」

 とは隣にいる真鶸(まひわ)ちゃんの談。

 いつもは心配している側が、逆に心配される違和感。

 うたには、自分の体を最優先に考えて欲しいものだ。


 慣れた病院内を通り、912号室へ。

 ノックの後、ドアをスライドさせる。


「失礼しまーす」

「大丈夫!?」

 部屋に入ると、すぐに何かがぶつかる。

 そしてそれは、無言で私の体をパンパン叩き始める。


「うん、大丈夫だ」

「私はテレビか何かなの?」

 昔のテレビにしか通用しないからね、それ。

 今のテレビは薄いから気を付けよう。


紫花(しか)姉はやっぱり死なないんだね」

 笑顔で、安心したように言う。

 ・・・あれ?うたには言ってないはずだけど。

 言葉の綾かな?


「真鶸も・・・いるね」

「?いるよ!」


 今日は一体どうしたんだ?

 私が来るときは、殆ど二人だ。改めて言うことでもない。


「いや。なんか、喧嘩してるのかな~みたいな?」

 歯切れの悪い言い方。

「してないよね?」

「うん!仲良し」


 手を繋いで見せる。わーい。


「う~ん。屋上から落ちたって聞いたから、あれも正夢なのかと思ったんだけど・・・」

 まぁ夢は夢か、と呟く。


「それで、なんであんな危ないことしたの!」

 まるで目の前で見たことのように、怒る。

「いや、止むに止まれぬ事情が・・」

「そうだよ!紫花は悪くないよ!悪いのは、あの子」

 冷たい声に驚き、真鶸ちゃんを見つめる。

 もしかして、怒ってるのか?


「あの子?何があったの?」

 口を閉ざす私の代わりに、真鶸ちゃんが語る。

 それは多少の悪感情が混じっていたが、概ね事実通り。


「なるほど」

 納得してもらえたようだ。しょうがないよね。

「にしても!無茶し過ぎ!」

 あれ!?

「もっと自分を大切にしてよ、もう」

「・・ごめんなさい」

 妹に叱られてしまった。

 それが完全な善意によるものだと、疑いようもない。

 だから、尚更のこと反省である。


 それでも私は無敵で――。

 私が身代わりになれば、助かる人がいるのなら。

 他人を優先するのも、間違ってはいない。

 反省はするけれど、そこは譲れなかった。

 だって私なら、死なないんだから。

 優先順位でいえば、確実に私の方が低い。


「それで順調?」

「もちろん。お医者さんも、いつまでもこのままではいられないって言ってた」


 stepher(ステファー)彗星観測まで、あと一ヶ月――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ