優先順位
ザザ・・ザ・・・・。
映像にはノイズが混じる。
「・・・ざけないで!!」
「・・をずっと!?使・・・・・?」
「馬・・・・!!ならあと・・・・・・?」」
「・・・・!・・・・続けた!もしかしたら明日・・・・かもしれな・・・・・」
「構わ・・」
「・・・・」
「・・・い」
「っ!・・・」
「・・・の生き方を!勝手に決めるな!」
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ガバッ。
布団を押し退けて、飛び起きる。
「はぁはぁはぁ・・・」
手を頭に当てる。痛い・・・・。
呼吸は荒く、体は汗でびしょびしょ。
酷い目覚めだ。
心なしか、血の流れも速い気がする。
「また、夢」
今度は映像に留まらず、音まであった。
なら次は、どうなる?
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三日後、彩甲斐病院。
私も入院していた為、お見舞いが遅くなってしまった。
今日は心配しているであろう妹に、無事を伝える為にやって来た。
「すごい慌ててたよ!」
とは隣にいる真鶸ちゃんの談。
いつもは心配している側が、逆に心配される違和感。
うたには、自分の体を最優先に考えて欲しいものだ。
慣れた病院内を通り、912号室へ。
ノックの後、ドアをスライドさせる。
「失礼しまーす」
「大丈夫!?」
部屋に入ると、すぐに何かがぶつかる。
そしてそれは、無言で私の体をパンパン叩き始める。
「うん、大丈夫だ」
「私はテレビか何かなの?」
昔のテレビにしか通用しないからね、それ。
今のテレビは薄いから気を付けよう。
「紫花姉はやっぱり死なないんだね」
笑顔で、安心したように言う。
・・・あれ?うたには言ってないはずだけど。
言葉の綾かな?
「真鶸も・・・いるね」
「?いるよ!」
今日は一体どうしたんだ?
私が来るときは、殆ど二人だ。改めて言うことでもない。
「いや。なんか、喧嘩してるのかな~みたいな?」
歯切れの悪い言い方。
「してないよね?」
「うん!仲良し」
手を繋いで見せる。わーい。
「う~ん。屋上から落ちたって聞いたから、あれも正夢なのかと思ったんだけど・・・」
まぁ夢は夢か、と呟く。
「それで、なんであんな危ないことしたの!」
まるで目の前で見たことのように、怒る。
「いや、止むに止まれぬ事情が・・」
「そうだよ!紫花は悪くないよ!悪いのは、あの子」
冷たい声に驚き、真鶸ちゃんを見つめる。
もしかして、怒ってるのか?
「あの子?何があったの?」
口を閉ざす私の代わりに、真鶸ちゃんが語る。
それは多少の悪感情が混じっていたが、概ね事実通り。
「なるほど」
納得してもらえたようだ。しょうがないよね。
「にしても!無茶し過ぎ!」
あれ!?
「もっと自分を大切にしてよ、もう」
「・・ごめんなさい」
妹に叱られてしまった。
それが完全な善意によるものだと、疑いようもない。
だから、尚更のこと反省である。
それでも私は無敵で――。
私が身代わりになれば、助かる人がいるのなら。
他人を優先するのも、間違ってはいない。
反省はするけれど、そこは譲れなかった。
だって私なら、死なないんだから。
優先順位でいえば、確実に私の方が低い。
「それで順調?」
「もちろん。お医者さんも、いつまでもこのままではいられないって言ってた」
stepher彗星観測まで、あと一ヶ月――。




