5秒の価値
体は健康そのものだが、大事を取って3日間入院することに。
翌日には幼馴染たちがお見舞いに来てくれた。
「紫花~~~~!」
「おふっ」
真鶸ちゃんが抱き着いてくる。
「大丈夫?痛い?」
握りしめた手は痛いほどの力。その気持ちはすごく有難い・・のだが。
いやちょ、ホント痛っ。
「痛い痛い!いたい!!」
「うそ!?どこ!」
「手だよ!?いいから、離せぇ!」
手を上下に振って脱出。
両手がちょっと赤くなってるんだけど!
「あ・・ごめーん!」
殴ってやろうかな・・。
腰を浮かせた瞬間、彼女の瞳が据わる。慌てて目をそらし、何事もなかったように腰を下ろす。
はい、ごめんなさい。怒らないで?
次に口を開いたのは、
「ごめん、助けられなくて・・」
「いや愛汰のせいじゃないんだから」
私がうっかりしただけだ。彼は悪くないだろう。いったい何を気にしているんだ?
「俺だって間に合ってれば」
「もーなんなの!」
二人して、しみったれて・・!
むしろ花染さんを助けたんだから、充分だ。
「あ、花染さんは?」
助かった、とは聞いた。だがその先の話は知らない。
言葉を濁す面々。
「・・不登校なんだよ」
「なんで!?」
一瞬の間を置いて、理解が追い付く。
私の抱える問題は伝えたはず。それがどうして――。
「ショックなんじゃないかな・・」
・・・・もう。溝は埋まらないのか?
「悪い、話題変えてもいい?どうしても確認したいことがあるんだ」
愛汰が口火を切る。
なんだろう。
「紫花。前に能力を使った日を教えて欲しい」
前というと、事件の前のことかな。
それなら――。
「二週間くらい前かな。駐輪場で転んじゃって」
化学室で高橋先生から、stephere彗星のことを聞いた日。
もう二週間、時間の流れが速い。
でも彼が聞きたいのは、そういうことではないだろう。
求められているのは、能力の詳細について――。
「多分『無敵』を使うと、一週間は使えなくなるよ」
特段意識したことがないので、正確かは分からないけど。
次に使うためには、ある程度の時間を置く必要がある。
「ゲームで言うなら、CTだ」
「なにそれ?英語?」
英語は苦手なんだよなぁ。
「Cool Timeの略称だよ。冷却期間。必殺技は連発できないものだろ?」
へー物知りだなぁ。
「紫花、感心する必要ねーから。これただの中二知識だぞ」
「う・る・さ・い・な!中二は誰もが通る道だろ!僕は初心を忘れていないだけさ!!」
「??」
でた。また『ちゅうに』だ。
語呂から予想するに、可愛らしいイメージ。
「よく分かんないけど、なんかかっこいいから私も使おうかなー。CT!」
「やめてよ愛汰!変なところで伝染していくんですけど!」」
愛汰はわざとらしい咳を一つ、そして話を続ける。
「なら時間は?無敵でいられる時間」
ああ。それなら正確に答えられる。
「5秒だよ。どれだけ頑張っても、変わらず5秒」
少なすぎる時間。なので基本的に、ギリギリまで使えない。
屋上から落ちた時。制服がボロボロになり、擦り傷がついたのは制限時間が切れたからだろう。
「使いずれーな!」
「知ってますよーー!」
時間が短ければ、CTも長い。
まったく!これのどこが必殺技なんだか。
「あと退院したら試したいことがあるんだ」
なんだろ?首を傾げる。
「科学部らしく、実験をしようか」




