未来からの干渉者
【花染千雅子side】
ぱちん。
乾いた音が響く。
「なんていうことをしてくれた!!花染の名を、貶めたな!?」
体は倒れ、頬が熱い。
「先の一件から程なくして・・!恥を知れ!」
心も、熱い。
「・・・うるさい!!」
「は?」
どうしようもなく、熱い。
「あなた達は間違っている。能力は否定するべきじゃない。
あんなに素晴らしい力!否定するなんておかしい!
だって私は!救われた!!
あの状況で無傷!
まるで・・!神の力!!」
胸の奥に火が灯った。
今まで溜め込んできた不満を燃料に、爆発する。
話すな、と言われたことも記憶の彼方。
この分からず屋に、知らしめてやらねば・・!
今はそれしか考えられない。
「・・・特殊能力者が、いるんだな?」
---------------------
「はい、そうです。私の担当の保山高校です。
ええ、確認しました。
再検証の必要があるかと。
小美野紫花は、特殊能力者です。
必ず、私たちが確保しなくては――」
静まり返った校舎なれど、保健室には未だ光がーー。
---------------------
「これで良かったんですか?」
端を発せば、事件の切っ掛けを作ったのは、紛れもなく僕だ。
「ええ。あそこで詩風くんがメールしなかったとしても、和月凪柊が気づいていたの。それは後に禍根を残す」
それでも、悪手だったようにしか思えない。
ああして紫花が傷ついたのは。いや、傷つけたのは僕だ。
「じゃあ・・!凪柊に黙ってもらえば」
「それが最悪よ。そうなれば、次の展開で花染千雅子は死ぬ。そして、小美野紫花を止められなくなる」
死ぬ?止める?
何を言って・・。
「だからこれが、開戦の狼煙」
「何と・・ですか」
「そろそろ、肯定派と否定派に情報が伝わった頃よ」
「な、なんで!?」
「内通者がいるの」
だからってわざわざ教える必要なんて・・!
「同時に事を起こすには、ここしかないのよ。放っておいてもバレるから」
まぁ言っても分からないだろうけど、と呟く。
「これで肯定派と否定派は、小美野紫花を知った。
今は様子を見てる。この隙に両者を巻き込んで、一気に膠着状態へ持ち込む」
「つまり、絶好のタイミングで先手を打てるの」
これは夢か?
よりにもよって、なぜ僕が?
「できる訳がない・・」
「できる。あなたは、未来からの干渉者なんだから。
やらなきゃ、死ぬだけ」
「・・っ!」
戦いの始まりを告げるように、足元の水面は無数の波紋を広げていた。




