花染千雅子
【花染千雅子side】
数日後、花染邸にて。
「なんだ、この点数は!!」
男が机を叩きつけ、大きな音が響く。
体が震える。
「しゅ、集中できなかったんですっ」
学校で友達関係が上手くいっていないのだ。
なにか失敗をしたのか、分からない。
夜には余計なことを考えてしまって、寝不足になっている。
その疲れが重なり、勉強にも集中できなかった。
「いい訳をするな!80点だと!?あの程度の学校で!!」
「・・・ごめんなさい」
何も言えない。私はいつもそう。
黙って、謝るだけの木偶の坊。
「お前が中学校でイジメられたからと!泣いて頼んできたから許した!」
その通りだ。
「代わりに、成績でトップに立ち続けることを条件に、だ!それがこのザマか!」
保山高校は偏差値こそ平均だが、校内の雰囲気が温かい。
この高校を選んだのは、以前の殺伐とした空気から離れたかったから。
それだけ。
「自分が言ったことも守れない。花染の娘として誇りがないのか?!」
「・・・ごめん、なさい」
私は出来損ない。
生きる価値も、ない。
はぁ、と大きなため息。
「次まで待とう。それで結果が出せなければ、光院高校に転校だ」
嫌だ・・。それだけは、あの人たちにだけは会いたくない・・。
頭がくらくらする。
胸の奥が、痛い。
ふらつく足で、なんとか自分の部屋に入る。
制服も脱がずに、ベッドに身を投げる。
ただ、泣いた。
声を立てないように、泣いた。
何もかもが上手くいかない。
何が悪いのか。
決まっている、私だ。
最初から、私だけが悪かったんだ・・。




