点数は
チャイム音。
最後のテストは化学だった。
同時に全身が脱力、机に崩れ落ちる。
「はぁ~」
後ろから回ってきたテスト用紙に、自分のを重ねて前に送る。
これで全てのテストは終わり。
煩わしさからの解放だ。
今回のテストは頑張ったからだろうか、肩の荷が下りた感覚。
いつもなら、テストの返却を考えてナーバスになるのになぁ。
「部室行こーう!」
突然、背中からの衝撃。
上から、ささやかな体重をかけられている。
「んー。結果は?」
「ケアレスミスが怖いくらい!」
これは90点は堅いな。
「・・紫花は?」
気のせいだろうか。背中にかかる重さが増したような・・。
返答次第では関節を決められる・・!
「だ、大丈夫!9割は埋めたよっ!?」
「良くて70、80点ね」
「そう、テストの中で一番できたよ!」
まぁそんな所だと思う。平均点は超えるだろう点数。
合格ラインを余裕で超えているだろう。
「花染さんは?」
隣の席に話しかける。
「・・っ!わた、しは」
少しの逡巡。そして、そのまま教室の外へ走り去る。
「え?」
なにか、聞いちゃ駄目だったのか。
「・・点数良くなかったのかも」
彼女は頭が良かったはず。
当然、私とは目指す基準も違う。
私からすれば良い点数でも、花染さんにとっては違うかもしれない。
「スランプは誰にでもあるから」
真鶸ちゃんは、教室の外を眺めて呟く。
同じく頭が良い人なら、共感できるんだろうか。
化学室で一時間の勉強を終える。
そういえば、化学が一番すらすらと解けた。
よく考えれば、部活の度に勉強していたんだ。
嫌々勉強していたが、これだけ繰り返せば身に付くものだ。
「じゃあ借りてくるよ」
今回は私が行こう。高橋先生に、テスト報告もしたいし。
ドアをノック。
「失礼します」
化学準備室に入ると、クラシックが流れていた。
中学の頃、よく放送で流れていたようなもの。
「どうしたんです、この曲?」
「ああ、これを買ったんですよ」
先生が指さす先には、小さな観葉植物が置いてあった。
「かわいいっ」
ちょこんと、葉っぱが生えている。
「そう。音楽を聞かせると成長を促進させる、という話を知っていますか?」
「聞いたことしか・・」
なんでも、そういう研究結果が出たらしい。植物はもちろん、人間にも影響をもたらすとか。
「人間の心に作用するのは納得できます、しかし植物にはないですよね。化学的ではないかもしれませんが、音楽にはまだ可能性が満ちているんでしょう」
ここまで時代が進んでも、未知が残っているのか。
それはそうとして。
「あ、テスト良かったですよね!私!」
「・・本当か?埋まってはいましたね」
「いやー勉強した成果ですよっ」
「他のテストはどうだったんですか」
「ははは」
・・知りたくない。
「まぁ、結果が出たら教えなさい・・」
「はーい」
そうして、棚の中を物色し始める。
その中に、見覚えのあるタイトルを発見。
気象を操作できるようになったら、というSF映画。
CMが特徴的だったので、未だ覚えていた。
「これ、いいですか?」
「ああ、それは良かったですよ」
お、やっぱり。
「SF的要素を持ちつつ、それが現実にどう影響を与えるか、ということを描いてます」
「じゃあお借りしますね!」
化学室に戻る。
「これ、よくない?」
「あ、あったねこれ!」
早速パソコンに入れる。
主人公の科学者は、天候を操作する衛星を作る。
その利便性は称賛されたが、同時に危険性も問題視される。
一国が有するには危険すぎると、世界の共有財産へ。
そして主人公は職を追われる。
その数年後、衛星が暴走を始める。
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壮大なEDが流れている。
その曲調に劣らない内容だった!
美しいグラフィックで描かれる宇宙空間と衛星には圧倒された。
ストーリーの展開も素晴らしい。
オーソドックスをしっかり押さえていた。
これはSFでも、私的トップ10に入る!
そんなことを考えていると、エンドクレジットが終わっていた。
・・・。
映画が終わった後の、この僅かな沈黙が心地いい。
「よかったね~!」
「でっしょ!」
これは文句なく傑作だ。色んな人に見て欲しい。
「特に、一気に見れたのが大きいよね!」
そう。テストの為、学校が午前で終わったのだ。
それで、こうしてゆっくりと映画鑑賞できるわけだ。
「どこが一番よかった?」
「んー。裏切り者と戦うシーンかな!」
その裏切り者には、国家間の陰謀が渦巻いていたのだ。
「あれ意外だったなー」
「あたし怪しいと思ってたよ!」
「うっそだー」
「ホントだって!」
映画が終わっても、こうして感想会で楽しめる。
私はこの余韻が好き。




