表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/66

点数は

 チャイム音。

 最後のテストは化学だった。

 同時に全身が脱力、机に崩れ落ちる。


「はぁ~」

 後ろから回ってきたテスト用紙に、自分のを重ねて前に送る。

 これで全てのテストは終わり。

 煩わしさからの解放だ。


 今回のテストは頑張ったからだろうか、肩の荷が下りた感覚。

 いつもなら、テストの返却を考えてナーバスになるのになぁ。


「部室行こーう!」

 突然、背中からの衝撃。

 上から、ささやかな体重をかけられている。


「んー。結果は?」

「ケアレスミスが怖いくらい!」

 これは90点は堅いな。

「・・紫花(しか)は?」

 気のせいだろうか。背中にかかる重さが増したような・・。

 返答次第では関節を決められる・・!


「だ、大丈夫!9割は埋めたよっ!?」

「良くて70、80点ね」

「そう、テストの中で一番できたよ!」


 まぁそんな所だと思う。平均点は超えるだろう点数。

 合格ラインを余裕で超えているだろう。


「花染さんは?」

 隣の席に話しかける。

「・・っ!わた、しは」


 少しの逡巡。そして、そのまま教室の外へ走り去る。

「え?」

 なにか、聞いちゃ駄目だったのか。

「・・点数良くなかったのかも」


 彼女は頭が良かったはず。

 当然、私とは目指す基準も違う。

 私からすれば良い点数でも、花染さんにとっては違うかもしれない。


「スランプは誰にでもあるから」

 真鶸ちゃんは、教室の外を眺めて呟く。

 同じく頭が良い人なら、共感できるんだろうか。



 化学室で一時間の勉強を終える。

 そういえば、化学が一番すらすらと解けた。

 よく考えれば、部活の度に勉強していたんだ。

 嫌々勉強していたが、これだけ繰り返せば身に付くものだ。


「じゃあ借りてくるよ」

 今回は私が行こう。高橋先生に、テスト報告もしたいし。

 ドアをノック。


「失礼します」

 化学準備室に入ると、クラシックが流れていた。

 中学の頃、よく放送で流れていたようなもの。


「どうしたんです、この曲?」

「ああ、これを買ったんですよ」

 先生が指さす先には、小さな観葉植物が置いてあった。


「かわいいっ」

 ちょこんと、葉っぱが生えている。

「そう。音楽を聞かせると成長を促進させる、という話を知っていますか?」

「聞いたことしか・・」


 なんでも、そういう研究結果が出たらしい。植物はもちろん、人間にも影響をもたらすとか。

「人間の心に作用するのは納得できます、しかし植物にはないですよね。化学的ではないかもしれませんが、音楽にはまだ可能性が満ちているんでしょう」


 ここまで時代が進んでも、未知が残っているのか。

 それはそうとして。


「あ、テスト良かったですよね!私!」

「・・本当か?埋まってはいましたね」

「いやー勉強した成果ですよっ」

「他のテストはどうだったんですか」

「ははは」

 ・・知りたくない。


「まぁ、結果が出たら教えなさい・・」

「はーい」

 そうして、棚の中を物色し始める。

 その中に、見覚えのあるタイトルを発見。

 気象を操作できるようになったら、というSF映画。

 CMが特徴的だったので、未だ覚えていた。


「これ、いいですか?」

「ああ、それは良かったですよ」

 お、やっぱり。

「SF的要素を持ちつつ、それが現実にどう影響を与えるか、ということを描いてます」

「じゃあお借りしますね!」


 化学室に戻る。

「これ、よくない?」

「あ、あったねこれ!」

 早速パソコンに入れる。


 主人公の科学者は、天候を操作する衛星を作る。

 その利便性は称賛されたが、同時に危険性も問題視される。

 一国が有するには危険すぎると、世界の共有財産へ。

 そして主人公は職を追われる。

 その数年後、衛星が暴走を始める。


 ---------------------

 壮大なEDが流れている。

 その曲調に劣らない内容だった!

 美しいグラフィックで描かれる宇宙空間と衛星には圧倒された。


 ストーリーの展開も素晴らしい。

 オーソドックスをしっかり押さえていた。

 これはSFでも、私的トップ10に入る!

 そんなことを考えていると、エンドクレジットが終わっていた。


 ・・・。

 映画が終わった後の、この僅かな沈黙が心地いい。

「よかったね~!」

「でっしょ!」


 これは文句なく傑作だ。色んな人に見て欲しい。

「特に、一気に見れたのが大きいよね!」

 そう。テストの為、学校が午前で終わったのだ。

 それで、こうしてゆっくりと映画鑑賞できるわけだ。


「どこが一番よかった?」

「んー。裏切り者と戦うシーンかな!」

 その裏切り者には、国家間の陰謀が渦巻いていたのだ。


「あれ意外だったなー」

「あたし怪しいと思ってたよ!」

「うっそだー」

「ホントだって!」


 映画が終わっても、こうして感想会で楽しめる。

 私はこの余韻が好き。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ