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未来の姿

詩風愛汰(しふうかなた)side】


 血が暴れる。

「うあぁぁぁぁ!」

 澄んだ空気を肌で感じる。

 光りが水に反射して目を刺す。

 な、なんで。青の世界にいるんだ!?

 家に帰ってから練習で瞬間移動して、気づくとここにいた。

 ポジティブに考えるなら、凪柊の追及を躱して再び戻ってこれた。

 ・・のだが、

「なんで毎回落下するんだよぉぉぉ!」

 こわいこわいこわい!

 安全バー無しのジェットコースターだ、どうやっても落ちる。

 前回はどうして助かった・・!?

 確か少女を見つけて、意識がクリアになったら能力が発動したんだ。

 青の中に少女の姿を探す。

 ・・いた!

 今度は早く見つけられた。というか、さっきより水面に近づくのが早いような?

 水面が、近づく。

 くそっ。なんでこんなに余裕がないんだよ!

 もう水面は真近だ、また飛ぶしかないのか・・。


『大丈夫』


「は?」

 少女が僕に両手を伸ばす。

 それはまるで、受け止めるような・・。

「だ、だめだっ」

 超高度から50キロの物体が落ちてくるのだ、その破壊力は計り知れない。

 少女の細い腕で止められるはずがない。

 ぶつかる前に飛ばなくては・・!

 しかし乱れた意識は、目的地に集中できない。

 間に、合わない!

 目を閉じて衝撃に備える。

 そんなことをしても衝撃は消えない。

 叩きつけられた体はトマトのように潰れるはずだ。

 ただ願わくば、少女が無事でありますように。


 ・・。衝撃が、こない?

 恐る恐る瞳を開ける。


 すぐ近くには端正な顔があった。幼さを残す顔立ち、ロングの白い髪、青い瞳。

 今までで使ってきた「美しい」は間違いだと理解した。

 僕の「美しい」はこの少女にこそ相応しい、と。

 体が震え、人生観が上書きされる。

 遠目で恋に落ちた、僕の心は間違っていなかった。


 思わず見とれていて気付かなかったが、この態勢・・。

 肩と腰を手で支えられている。

 人はそれをお姫様抱っこと呼ぶ。

「怪我はない?」

 顔が近い、息がかかる。

「っ!だぁー!」

 身をよじって、少女の手から離れる。

 普通逆だろう。「親方、空から男の子が」って需要が無さすぎる!

 だめ、男の子の純情ハートは限界・・。

「あ、だめ」

 ドボーン!

 静止の声も虚しく、僕は水に落ちていた。


 ------

「これで立てるよ」

 なにやら水を叩いてみせ、僕を引っ張り上げる。(重ねて言います、50キロ)

 水の上に、立っている・・?

 奇妙な感覚、体が沈まない。

 お尻では、波の動きを直に感じる。

 そしてびしょびしょの服。

 ・・キャパシティオーバー。

 何が起きているのか分からない。

 だが、初対面の人間がすることは決まっている。

「助けてくれてありがとうございます!初めまして!僕は詩風愛汰です」

 足元が不確かな不安から、絶対声が高くなっている。カッコ悪い・・。

「・・ええ。初めまして」

 今になって気づいたが、少女は当たり前のように水に立っている。

 服は白のワンピースで、裸足。

 髪、肌、服、どれも白一色。

 いっそ神聖ささえ感じさせる姿。

「あのっ!名前を教えてください!」

 知りたい。彼女のことを。

「名前は・・ないかな」

「え」

 ない、なんてことあるのか?

 もしかして僕に教えたくないのだろうか。

「じゃあなんて呼べばいいんですか?」

 頬に右手を添えて、考える仕草。

 少しして、笑って告げる。

「んー、神様」

「神、様・・?」

 確かに、今経験したことは現実離れしていた。

 特殊能力があるなら、神様もいるのかもしれない。

 今まで見聞きしたものが、信じるに足る証拠に思えた。

「それじゃあ、ここはどこなんですか?」

 神様がいるなら、天国だろうか。

 益体もない想像しかできない。


「ここは、そうね」

 しかしその答えは、さらに突飛なもので。

「未来、かな?」

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