嘘
話は公園に戻る。
凪柊の質問に答えなければならない。
答えはもちろんnoだ。今まで、僕には特殊能力なんてなかった。
問題はその先にある。馬鹿正直に答えれば、青の世界を話さなければならない。
少女の言葉が頭を過ぎる。
・・それは嫌だ。あの少女と僕を結び付けるものは、『ヒミツ』だけだから。
「いや。気が付いたら家にいたんだよ」
だから嘘をついた。
バスと青い世界を往復したという事実。そして手が濡れていたのは夢でない証拠。
つまり、現実の違う場所に移動した。検証はしていないが、瞬間移動の類だと思われる。
ならば、この言い訳で矛盾もないはず。
「・・家に?瞬間移動、か?」
考えろ考えろ!次来る疑問への最適解!
「じゃあなんで落ちてきたんだ?」
「・・移動したら、階段の上だったんだ。」
これなら、いける。
「始めてだから制御出来なかったみたいで」
未熟なら失敗もする、後は声が震えないようにするだけ。
「多分、疲れていたから早く家に帰りたかったんだと思う」
「なるほど、それで無意識に家に飛んだのか」
どうやら丸め込めたようだ。安心する。
「いや、ちょっと待て。始めて?」
なんだ?なにか穴があっただろうか・・。
「今16歳だろ。この年で能力が?」
「あ、確かに」
完全な盲点だった。他の隠し事があったから、肝心の疑問にたどり着けなかった。
タイミングが11年も遅れているのだ。
特殊能力が発現するのは、平均5歳。個人差によるが、ここまで大きく離れた例はない。
「なら、特殊能力は消えていない?」
ただ弱まっているだけで、発現までの年齢が伸びている?
「それならとっくに発表されてるだろ。それに、俺と紫花は6才で使えたんだから」
そうか、では何が違う?
「でもなんで一か所に特殊能力者が集まるんだろうな」
紫花、凪柊、僕で三人。
本来特殊能力者は滅多に見つからないのに、だ。
「偶然じゃない?」
早々に匙を投げる。そんなに簡単に分かるなら事態は解決している。
「まぁそうか。あ!」
?なんだろう。
「なに、一目惚れしたの?」
すごいニヤニヤ笑い。
「・・・・」
しまった。あまりの感動でつい口が滑った。
それは、
「それはヒミツ」
「はぁ!?」
言えるわけがない。それに、まだ名前だって知らないのだ。
「しらばっくれても無駄だぜ!うただろ?」
は?
「なんでそうなるんだよ!凪柊こそ紫花のことどう思ってるのさ!?」
次第に二人の恋愛トークは熱を増していく。
夜は騒がしく更ける。




