流れ星に願いを。彗星に誓いを。
「彗星が来るまで、あと二ヶ月!それまでしっかりね!」
「はいはーい」
といっても体は悪くないので、頑張るべきは先生への説得になる。
私から、義父さんにも掛け合ってみよう。果たして、次はいつ帰ってくるやら・・。
そんなこんなで、熱く話し込んでいると19時になっていた。夕飯の時間だと、看護師さんに追い出されたのはご愛嬌。
そして受付にカードを返して、彩甲斐病院を出る。
辺りはすっかり暗くなっていた。夏に近づくに連れて、だんだん日が伸びていくのだろう。
バス停を調べると、次のバスは25分後だと分かる。
しばらく他愛ない話をして時間を潰す。
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やがて話題も尽きてきた頃、ふと夜空を見上げた。
「星。いっぱい」
空には一面の星が広がっている。市街地を離れた山間部だからか、普段見る夜空とは大違いだ。
自然と無言になる。
言葉は出ず、ため息が漏れるのみ。
「見たいね!彗星!」
「・・・うん」
星を改めて見ると、その数に圧倒される。
下向きな私には、その輝きはまぶしく映る。
「あ、流れ星!」
「え嘘?」
夜空を見渡す。どの星も明滅を繰り返すだけ。
「もうないって!」
苦笑する真鶸ちゃん。
「流れ星もいいよね!一瞬の輝きがすごくきれい」
「僕もあのスピード感好きだよ」
真鶸ちゃんと、愛汰は流れ星派か。
「えー、彗星だったらゆっくり眺められるぞ。願い事だって叶え放題じゃん」
そして私と凪柊が、彗星派。
・・この感想の違いが、決定的な破裂の予兆に感じられた。
どんなに苦労して見つけても、次の瞬間には燃え尽きてしまう。絶対に届かない、命の儚さが流れ星の美しさ。
ならば、そんなものはいらない。
一瞬で終わるなんて、真っ平御免だ。
私は流れ星ではなく、彗星に誓おう。
何度だって、ゆっくり時間をかけて願いを叶えてみせる。
まだ見ぬ未来に、誓う。




