プロローグ
ガラガラガラガラ――。
古びた機械音が響く。
実際に見たことはない、旧式の投影機が稼働を続ける。
それは大量のfilmを使って、静止画に動きを与える。
これは夢。
映画を見る夢。
体に感覚はなく。
自分と世界の境界線すら曖昧。
故に映し出された内容は、自分の記憶と混同されていく。
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巨大な白塔が爆発する。
それはテロ?
大きな音を立てて、崩壊していく。
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屋上から落ちていく人影。
それは自殺?
人影に手を伸ばす者も、落ちる。
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金髪を振り回す少女。
それは狂気?
自傷を、永遠に繰り返す。
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殺しあう、かつての友。
それは正義?
己の生き方は変えられない。
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誰も動けない混戦。
それは希望?
命は既に風前の灯火。
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地球上を高速回転する彗星。
それは破滅?
有限の時を周回し続ける。
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水に覆われた世界。
それは洗脳?
全てを失った少女と、不死だった男の再会。
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都会の駅近辺。
それは運命?
不死の男と、歌手を志す女の出会い。
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膨大な情報が、脳内に焼き付けられていく。
こんなの、知らない。
夢とは記憶を整理する時間であるという。
ならば、なぜ私の知らない内容ばかりが・・・?
これは何の、誰の記憶なの?
film~有限周回彗星~
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