表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
没落の王女  作者: 津南 優希
第三章 その先の未来へ
88/251

世界を見に行こう(回顧録)

 差し出した私の手を、君の小さな手が掴んだ。

 高い高いあの木のてっぺんに。

 登りたくても登れなかったところに。

 君はいとも簡単に引っ張り上げてくれた。


 風に揺られる枝は少し怖かったけれど。

 広がる景色は輝いて見えて。

 下からは見えなかったものが、はじめて見えた。

 「すごい」を繰り返す私に、君は笑って言った。


 もっとすごいものを、見に行こう。

 もっと色んなものを、見に行こう。

 もっと遠くまで、見に行こう。

 二人で。



 それは幼い日の君との約束。

 旅のはじまりの日の、大切な記憶。



-*-*--*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



 強がりばかりで生きてきた。

 本当は心細くて泣きたかった。

 もう動けないと歩みを止めた時に。

 あたたかい風に運ばれて、君の声が聞こえた。


 一緒に行こうよと、君は笑った。

 その笑顔もいつか消えてしまいそうで、怖かった。

 大切なものを作るのには、臆病になっていた。

 そんな私を君は殻から引っ張り出した。


 世界の入口がそこにあった。

 どこへでも行けそうな気がした。

 心から、笑い合えそうな気がした。

 君となら。


 今度こそ、守るのだと。

 何があっても、守ろうと。

 ひっそり強く、願う手を握りしめた。



 それは幼い日の私の誓い。

 旅のはじまりの日の、大切な記憶。


本筋のストーリーからやや外れますが、どこかに載せたかったので。

「詩」ではありません。多分。

10歳の美威と、飛那姫がした約束の話。


次回は、豪華客船に乗船するため、港町に行きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ