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没落の王女  作者: 津南 優希
第二章 没落王女と家出少女
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滅びの国

 世界の東。

 そこには竜の首のごとく、細く伸びた島があった。


 真国(まこく)と呼ばれるこの島は国とは名ばかりで、その地全体を統治する王はいない。

 七つある小国はそれぞれに独自の国家を築き、相互に関わりを持ちながらも互いを牽制し合って存在してきた。

 協定を結んだり、領土を争ったり、動乱を繰り返す時代は、もう300年以上も続いている。


 そんな真国の中に唯一、大国の称号を持つ都があった。

 王国の名は紗里真(しゃりま)

 世界の東・西・南・北にひとつずつ存在する大国のうちの一つだ。


「東の大国」


 人は紗里真王国をそう呼んだ。

 だが、それも2年前までのこと。


 突如として幕を開けた非人道的な殲滅(せんめつ)作戦により、紗里真王国は隣国の綺羅(きら)に滅ぼされた。

 城に住むものは女から子供まで全てこの世から抹殺され、血の海の中で王国はあっけなく最期の時を迎えた。


 紗里真を滅ぼした小国は大国の領土を手に入れたが、かつての大国のように勢力を維持することは出来なかった。

 安定した統治を失った大国として、綺羅はただただ迷走を続けた。

 そしてその歴史は、たった2年で終わりを迎えることになる。


 この半月ほど前に起こった王と大臣の暗殺。

 それを機に周辺小国や異民族達に城を落とされることとなったのは、人々の記憶に新しい。


 大国の統治を失った真国は、前にもまして荒れた。

 異形と呼ばれる魑魅魍魎は昼間から沿道を闊歩し、人々の心はすさんでいった。

 そこに住んでいる人々は誰に支配されることもない、一種自由な、しかし危険な暮らしを余儀なくされた。


 東の大国が姿を消した影響は、真国以外にも広まっていく。

 これが原因で、いずれ世界の均衡は崩れることになる。


 だが混沌の時代が静かに幕を開けたのを、深刻に憂うものは、まだいない。


真国は世界の東にある島の名称。

綺羅が滅んだことによって、現在は6つの小国のみが国家として存在しています。

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