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【完結】POD Enemy  作者: D-delta
エピソード1 強く生きる雛
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第一話 敵

こちらで本格的に執筆活動するようになりましたD-deltaと申します。よろしくお願いします。

評価は最新話の一番下の方で出来るので是非ともよろしくお願いします。

 ゴーストタウンと化した街――ホルムスク。ここホルムスクはロシアのサハリン州にある都市の一つだ。

 その都市が今はゴーストタウンと化し、ほとんどの住人は〝敵〟から逃げるように避難しているのである。


「いたいた、あそこにいるいる!」


 しかし人はまだ残っていた。

 ロシア兵の死体から漁ってきた双眼鏡を使用して、建物の陰から人の形をしている〝敵〟を発見した年若の女性がそうだ。彼女は住人としてではなく、自分の故郷の住人を逃がすために民兵としてここに残っていた。

 彼女の名はレイテット=ゲベルディッチ。

 彼女は比較的軽い衣服で身を包み、ポニーテールの髪を派手に黄色と白でグラデーションがかかるように染めていた。その姿は元気なものそのものだ。


「敵、見つけたのー?」


 レイテットの隣でバケツをヘルメット代わりに頭に被った少女のように幼い女性が建物の陰から顔をひょっこり出し、気だるそうな声でレイテットに声を掛けた。

 レイテットに声を掛けた幼い女性の名はアイーラ=スウィン。彼女は学生時代からレイテットの友達だ。ここで民兵として残っているのは〝レイテットが心配だから〟という理由だ。

 そして友達と言うからにはアイーラも髪を染めていた。色は空色だ。

 服装は黒い色のTシャツにゆったりとしたポンチョ、下は短パンである。


「見つけたよー、アイーラ。しかもたった一匹だから今が仕留め時だよ!」


 底抜けに明るい表情のレイテットは双眼鏡をウエストポーチに戻し、肩に掛けたドラグノフを手に持った。そのドラグノフは遠距離武器としての取り得であるスコープが取り外されており、代わりに銃剣が取り付けられていた。まるで突撃銃のようなスタイルだ。


「敵は少し遠くにいるよ。狙いづらいなら私がやろうか?」


 そう言ってアイーラはドラグノフのスコープを付けたAK47を手に持ち、なにも気付かずに立ち尽くしている〝敵〟を見つめた。


「大丈夫だって! 私は絶対に外さないんだから!」

「へー、射撃下手だから銃剣突撃しているのに?」


 アイーラはレイテットの射撃を小バカにするように笑う。

 レイテットはたまらずアイーラの方に顔を向けて「アイーラの毒舌酷い」と少し怒った表情で言い、頬を膨らませた。


「ふふん……さぁレイテット、狩りを終わらせよう。シュパパッと終わらせて戻ってぐーたらするためにもさ」

「はぁ……分かったって、それじゃあ気を取り直していくよ!」


 調子を取り戻したレイテットはドラグノフのアイアンサイト越しに敵を見つめる。そのまま息を止めて弾丸を当てることに集中した。

 引き金に掛かった指は撃つ時を待っている。

 ゆっくりと、ゆっくりと獲物の心臓に狙いを合わせていく。

 獲物である〝敵〟の心臓は二つ。一つは赤色のした核細胞、もう一つは青色のした核細胞だ。しかも獲物の身体は緑色で体内が透けて見えており、どちらの核細胞も丸見えになっている。


「潰す」


 全意識を集中し、レイテットは言葉を放つと共に引き金を引いた。甲高い銃声が響くと共にドラグノフの銃口から弾丸は発射された。

 一瞬のこと、弾丸は発射されたすぐ直後に青色の核細胞を貫通し、破壊した。

 人の形をした〝敵〟は身体を保てなくなったのか、ドロドロと形が崩れていった。そのままスライム状になった〝敵〟は身動き出来ずに干上がり、蒸発した。


「よし、仕留めた!」

「これでレイテットの仕留めた数は四体目だね」

「このまま倒し続けてこの街を取り戻すよ!!」

「おー」


 元気の良いレイテットと気の抜けたアイーラ。

 二人は〝敵〟を狩り終えて、周囲の探索に入ろうとしていた。次なる獲物を見つけるため、自分たちが生きるのに必要な備品と食糧を見つけるため。


「ここからは時間を決めて探索に入ろう! 遅くなりすぎるとメイドおば――こほん、メイドお姉さんに怒られるし」

「うん、分かった」


 レイテットの提案に賛成したアイーラは早速「今は午後の一時だから帰るのは午後二時だね」と冗談をかました。それを真面目に受け取ったレイテットは「いやいくらなんでも早すぎるよね」と、ツッコむようにアイーラに述べる。

 アイーラは苦笑いしながら「あはは、今のは冗談に決まっているじゃないか」と答えた。


「ふーん……アイーラの怠け癖のことだから本気で言っているのかと思った」

「うっ」

「ま、冗談はさておき。制限時間は午後四時までってことでいい?」

「いいよー」


 会話を終えた二人は探索を開始した。

 最初に彼女たちの目に付いた場所はまだ店内を見ていないスーパーマーケットだ。ここになら食糧がある。あれば持って帰って食糧の足しに出来るのだ。


「早速入ってみましょうか」

「了解でござんす」


 スーパーの入り口のドアを開けて二人は店内に入った。

 店内は荒らされており、店頭に並んでいたであろう商品があちらこちらに落ちていた。その中にはとてつもなく腐っているものもあった。


「うへー、これはメチャクチャに臭いよ」

「確かに鼻が九十度に曲がりそうだね」


 警戒のけの字もない二人は腐って落ちている商品をなるべく踏まないようにして進み、缶詰めなどの保存食を探して回る。

 そしてようやく二人は見つけた。


「これ……大量!」

「やったね、食糧確保」


 二人が見つけたのは多種多様の缶詰めだ。しかも二十個という数量。今のこの状況では大量と言っても良いくらいの量だ。


「これで当分は食に困らなくていいかも!」

「だね!」


 久々の食糧大量ゲットに二人は喜んだ。その喜びにはいっぱいの感謝と安心感があった。

 早速二人は缶詰めをかき集めてレジの方まで持って行き、レジにあったレジ袋を取り出した。そのレジ袋の中を缶詰めでいっぱいにした。

 機嫌を最高に良くした二人は缶詰めでいっぱいのレジ袋を持ちながらスーパーの外に出た。


「まだ時間じゃないけど帰ろうか。荷物は私が持つからレイテットは周りを注意して見ていて」

「はいはーい!」


 二人で一緒に持っていたレジ袋をアイーラが一人で重そうに持ち、手の空いたレイテットはドラグノフを持って周りをキョロキョロと見ながら警戒した。

 そのまま彼女らは帰るべき場所――山の方にある彼女たちの拠点とも言うべき家へと帰り始める。


「これでメイドお姉さんも喜ぶね!」

「そうだね、当分は食糧で困らなくて良いかも」


 レイテットも、アイーラもニッコリと笑顔を浮かべて帰り道に足を進ませた。

 戻れば家にいる一人の元メイドが料理を作って待っている。

 その料理を想像して、お腹を空かせながら二人は帰り道を歩いて行く。


遅くなるかもしれませんが、更新がんばって行きます!

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