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2-70 集う3 ~大誤算~

 鎧から発生した煙は特に臭くもなく、接合部から漏れる液体にも触れてみたが、人体を溶かすようなものではなかった。

 良かった。取り越し苦労だったか。

 程なくして何かがパキンと折れる音がして、煙も収まった。

 留め金を失ったチェストプレートは、簡単に持ち上がった。

 鎧の下からは、インナーと呼ぶべきか…ピンクのドレスが現れる。たしか名前は"フェアリードレス"だったか。

 首にはネックレスが巻かれていた。意外とオシャレさんだな。

 ハナナちゃんは、胸の圧迫から解放されたこと呼吸が安定する。

 ああ、よかった。これで最悪の事態は避けられる。

 そう思った矢先だった。

「カハッ! ケホッ ケホッ」

 咳き込むハナナちゃん。同時に白いタオルが真っ赤に染まる。

 出血!? 咳き込んで出血って事は……肺に血が溜まっているのか?

 あばら骨が折れて、肺を傷つけていたってことか?

 これって結構な大怪我だよな。擦り傷切り傷なんてレベルじゃない。

 エコーちゃんには荷が重すぎやしないか?

 だけど、少しでも傷が小さくなれば、出血量も減らせ………

 出血?

 あ………

 し、しまった!?

 

 ザワッ!!!


 爆心地の周囲がざわめいた。

 血の臭いに誘われて、"掃除屋"が来る!

 ギチッ! ギチッ! ギチッ! ギチッ! 

 関節を曲げる度に響く恐怖のクリック音。それも1カ所や2カ所ではない。あちこちだ。あちこちから聞こえて来る。

 私達はいつの間にか"掃除屋"に囲まれていたのだ。

 ……いつの間にか? いや、多分違う。関節を激しく鳴らさなければ動けない"掃除屋"に、いつの間にかなんて言葉は無い。

 こいつらはずっとそこにいたのだ。

 シカクが落下した時の衝撃波や倒木にも耐え、傷ついた獲物が現れるのを待ち続けていたのだ。

 やばい! 逃げなくちゃ!

 ハナナちゃんを背負って? 体力は無い。足場も悪い。囲まれている。無理だ。

 逃げるんじゃない! 戦うんだよ!

 ハナナちゃんは意識不明。エコーちゃんもワシリーサちゃんも頼れない。私がやらねば誰がやるっ!

 武器、武器になるものは……。

 ハナナちゃんのショートソードは折れている。他には……そ、そうだ! 仕込み杖!

 刃は錆び付いているが、突き攻撃ならきっとダメージは通る。一匹くらいなら仕留められるだろう。

 だが、その後はどうする? ……どうする? ……どうする?


 どうにもならない!!


 私に残された選択肢は二つだけだ。

 一緒に死ぬか…

 ハナナちゃんを諦めるか…

 どのみちハナナちゃんは死ぬ。"掃除屋"の狙いは出血しているハナナちゃんなのだから。

 私一人なら逃げられる。関所まで行けば保護してもらえるだろう。

 して私はハナナちゃんを助けられなかったことを生涯悔やみ続けるのだ。

 仕方なかったんだ。仕方なかったんだよと、自分に言い訳をしながら、惨めな人生を送り続けるんだ。

 じゃあ何のために戻って来たんだ! 何もかもが無駄じゃないか!

 投げ出すんじゃない! 考えろ!

 "掃除屋"は何を狙ってる? ハナナちゃん…怪我人…いや血の臭いだ!

 そ、そうか!

 私は血に染まったタオルを持つと、染まっていないところでハナナちゃんの顔に残った血を拭い、なるべく遠くへ投げた。

 苦し紛れの一手だが、きっと"掃除屋"は血まみれのタオルを目指すはずだ。全部は無理でも、分散はさせられる。

 時間稼ぎはできた。それから…それから……

 くそっ! なんて綱渡りだ! 一歩踏み外したら速アウトだってのに、辛うじて踏み留まってる。

 緊張しすぎて気が変になりそうだよ!

 次の一歩! 次の一歩はどこだ!?

 私は辺りを見回し……違和感に気付いた。

 オシャレなネックレス? ハナナちゃんが?

 実用性重視で見た目を捨てたハナナちゃんが、オシャレでネックレスなんてするか?

 もしかして、もしかすると……ステータスを底上げする特殊効果持ちでは?

 もしかして、もしかすると……


 私が装備しても……使えるのでは?

なんとか出勤前にうpできました〜!!

それじゃ、夜勤行ってきます〜〜!

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