表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/190

2-58 集う2 ~隠れ里~

「ワタクシではなくて、歴史のお話でしたよね? もうよいのですか?」

「あ、いえ、是非続きをお願いします」

「では改めて……。ワタクシのふるさと、隠れ里"コウガイガ"が生まれた経緯をお話いたします」

 コウガイガ? やけにカッコイイ。勇者王みたいな名前だ。

 小林清志さんの素敵ボイスで最新情報を公開してくれそうだ。

「むかし、むかし……」

 ワシリーサさんは、目をつぶり、ゆっくり語り始める。


「…あるところに、男女のアサシンがおりました。二人は別組織に所属する敵同士です。度々刃を交え、殺し合いました。ですが中々決着が付きません。

 そんなある日、天下を分ける大きな戦がありました。二人も東西の勢力に別れ、激しくぶつかります。

 激闘の末、天下の雌雄は決しましたが、二人は戦いの最中、時空の歪みに巻き込まれてしまいます。

 気付けば、オトギワルドに迷い込んでいました。

 二人は、決着はひとまずお預けとし、"深キ深キ森"に仮の拠点を作ると、元の世界に帰る方法を探します。

 しかし、数年の時が流れても、帰る方法は一向に見つかりません。代わりに見つけたのは、かつてのアサシン仲間でした。

 異世界に迷い込んだのは、二人だけではなかったのです。

 元の世界への帰還を諦めた二人は、オトギワルドに迷い込んだ仲間達暮らせるよう、仮の拠点に集め、拡張して隠れ里にします。

 妻夫になった二人はリーダーとしてアサシン仲間を束ね、オトギワルドで傭兵業を始めるのでした。

 隠れ里は、"コウガイガ"と名付けられます。それは仲間達の団結を促すため、妻夫となった二人の集派を一つに束ねた名前なのだそうです。

 めでたし、めでたし」

 

「ハナナちゃんのお父様、いかがでしたか?」

「……………」

「隠れ里のお話、楽しめましたでしょうか?」

「……………」

「あの? お父様?」

「な…………」

「はい」

「な…………」

「はい?」

「なんじゃこりゃ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

 私は思わず叫びだしていた。これって…… これってつまり………!?

「ご、ごめんなさい。ワタクシ、何かお父様の気に触ること言いました?」

「違うんです! そうじゃないんです! ちょっと整理させてください〜〜!!!!」

「は、はい!」

 私は頭を抱えながら考える。え〜と。ええ〜〜っと。えええ〜〜〜〜っと。

「あの…ワシリーサさん」

「は、はい…」

「四百年前の天下を分ける大きな戦って、関ヶ原のことですよね!」

「えっ!? セキガハラをご存じなのですかっ!?」

「アサシンって本来は、シノビとか、ニンジャとか、クサとか呼ばれませんでした?」

「は、はい!? そんな感じで呼ばれてたと思いますっ」

「もしかしてもしかすると……ワシリーサさんってガングビトの末裔だったりします?」

「まったくもってその通りですっ! どうしてお分かりになりましたの?」

「いえ、その、たまたまですよ。たまたま……」

 つまり"コウガイガ"とは"甲賀・伊賀"か。スーパーロボとは関係ないんだな。

 次に関ヶ原がガングワルドの歴史と確定した。つまり私もガングビトで確定って事だ。

 そして関ヶ原は過去にもオトギワルドと繋がっていた事があると。私だけではなかったんだ……。

 あれ? もしかして……

 私が辿り着くべき場所は、隠れ里"コウガイガ"だったのではないだろうか?

 それが何故ハナナちゃんのいた泉に辿り着いたかというと、誘ったのは……

 私は側に浮遊する無邪気な発光体を見つめる。

 君は何故、私をハナナちゃんに会わせたんだ? 君はどうして、ワシリーサさんを連れてきたんだ?

 視線に気付いたエコーちゃんは、何も語らず、ただ、嬉しそうに笑う。

 くっそ可愛いかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ