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2-19 どうしたい?

「……どうしたいって……何が?」

「オトっつぁんが“ガングビト”かどうかはまだ分かんないけど、野薔薇ノ王国が“トレードサモン”で召喚した異世界人ってのは間違いないわけよ。

 で、アタシはこれでも野薔薇ノ民だから、王国を代表してオトっつぁんを持てなす義務があるわけよ。

 それにこっちの世界は不慣れだろ? だから、何かしてほしい事があったら言ってよ。何でもするぜ♪」

 などと言いながらも目が泳いでいるハナナちゃん。ペロッ。これは嘘をついてる味!

「なるほど。それは最高に素敵な建前ですな。…で、ハナナちゃんの本音は?」

「オトっつぁんに付いてたら、すっげぇ面白そう♪」

 瞳をキラキラと輝かせながら、満面の笑顔を見せるハナナちゃん、素直で大変よろしい。

「ははは、ご期待に添えるといいんだけどね。それはそうと……」

「ん? なに?」

「女の子が軽々しく『何でもする』とか言っちゃダメ〜〜〜〜っ!!!!」

「へ〜い」


 それにしても、どうしたい? …か。

 難しい問題だ。本当に私は……どうしたいんだろうな……


 短期的には、「お風呂にする? 食事にする? それともわ・た・し?」ってところか。

 とりあえず昼食を食べたばかりで腹は満たされているし、安全地帯にいるから生命の危険も回避出来ている。

 それにハナナちゃんが話し相手になってくれているおかげで、正気を失わないでいられている。

 当面は問題無いだろう。


 中期的には、これから何処へ行くかって事だよな。

 現状の選択肢は、1)泉に留まる。2)近くの人里に下りる。3)野薔薇ノ王国に向かう。…くらいだろうか。

 泉に留まるメリットは安全が確保されている点だ。しかし外界と遮断されているため、外の情報が手に入らない。ハナナちゃんの情報のみを鵜呑みにするのも危険な気がするし、救援が来るにしても何日かかるか見当も付かない。

 近くの人里に行けば、ハナナちゃん以外からの情報も手に入り、確度も増していくだろう。そうなると気になるのは治安だ。ヒャッハーなヤツらがたむろする世紀末的治安状況なら、森で巨大アリを相手にしてた方がまだましかもしれない。

 野薔薇ノ王国へ向かえば、私が召喚された真実が明らかになるだろうし、王国内なら治安も高いだろう。問題は辿り着くまでにいかなる困難が待ち受けているか分からないことと、真実を知ることそのものか。機械の体をただでくれる星に行ったら、星を支えるネジにされそうになるなんて前例が、アニメにはあるものな。表面的には平和でも、裏で何をしているかなんて、簡単に表には出ないだろうし。もしかしたら一番警戒すべきは野薔薇ノ王国なのかも…


 そして長期的には、この世界に留まるのか、元の世界に帰るのかって話だよな。

 さあ、ここで問題だ。私はどうしたい? 留まりたいのか? 帰りたいのか? ……ダメだ。分からない。

 未知の世界には興味と恐怖があり、既知の世界には未練と絶望がある。どちらも甲乙付けがたく、優柔不断な私には選べなかった。

 ………ってまあ、今は考えても仕方ないんだけどね。そもそも選択肢があるのか? って話だ。


「そうだなぁ……身の安全が何よりだけど、今はとにかく情報が欲しいかな」

「事前の情報収集かぁ。オトっつぁんは慎重だなぁ。アタシはそう言うまどろっこしいのは苦手」

「じゃあハナナちゃんはどうしてるのさ?」

「当たって砕けるっていうの? ダンジョンだろうと何だろうと、とにかく突っ込む! で、肌身で感じて覚える」

「いやいやいや! そんな無茶をして、本当に砕けちゃったらどうすんだよ!」

「大丈夫大丈夫♪ 逃げ足は速いから♪」

 斥候かよ! ハナナちゃんて盗賊タイプの冒険者なのかな。もしくは忍者だったりしてな。アイエエエェ…

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