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2-16 ここは異世界 ~二つの世界~

「あのさぁ、オトっつぁん…」

 呼びかけられていることに気付いて見上げると、ハナナちゃんらしからぬ弱々しい笑顔が待っていた。

「オトっつぁんてさ、もしかして……。“ガングビト”なの?」

 ガングニール…だとっ!?

 ………いや、シンフォギアは関係ないか。

「分からないです。ガングビトとはなんですか?」

「そっか~。分からないかぁ。分かんないのかぁ。そりゃそうだよなぁ。“トレードサモン”だもんなぁ。“オトギビト”のわけないよなぁ…」

 そう言うと、ハナナちゃんは「ああぁ」と再び頭を抱える。どうやら私に質問に答える余裕もないみたいだ。

 ここで新たなキーワードが出てきたな。“ガングビト”。それに、“オトギビト”……?

 “ビト”ってのは“人”で間違いないだろうな。つまり“ガング人”と“オトギ人”か。

 んんん?

 もしかして“オトギ”って“おとぎ話”か? つまり、“オトギビト”とは“おとぎ話の人”ってこと?

 それじゃあ、“ガングビト”の“ガング”は? ………あっ! “玩具”か!!!

 すると“ガングビト”とは“おもちゃの人”って意味か?

 つまり私はハナナちゃんから、“オモチャ人間”だと疑われている?

 訳が分からなくなってきた。

 このくたびれた四十代のオッサンの何処にオモチャ要素があるんだ?

 いや、たしかにオモチャ好きだけどさ。そんなの外見じゃ分からないだろ。………判らないよね?


 …………。

 ちょっと落ち着こう。

 “玩具”に“おとぎ話”と、パワーワードに振り回されて混乱したが、名称自体はそれほど重要じゃない。少なくとも今はどうでもいい。

 重要なのは名称が二つある事だ。

 異なる複数の存在があって、それを区分するために付けられるのが名称なわけだ。

 ならば“ガングビト”と“オトギビト”はどう区分するために付けられた名称だ?

 人種か? 性別か? 生まれか? 世代か?

 ハナナちゃんと私を比較すると、笑っちゃうほど共通点が無いな。あるとすれば、お互い日本語を喋るくらいか。

 でも、そんな違いは出会った時から分かっていたわけで、今更確認する必要なんてない。

 今の状況……“移籍召喚”という言葉を聞いて、初めて確認する必要が出たのだ。では何を区分する名前なのか?

 決まってるだろ! 世界を区分するためだ!

 これまでの状況証拠から察するに、最低でも世界が二つあり、それぞれに“ガング”、“オトギ”と名付けられている。

 そしてハナナちゃんは、異世界と異世界からの来訪者の存在を知っていた。

 私達の世界では、異世界はフィクションで描かれ、語られるのみだが、こちらの世界ではわりと一般的なのかもな。

 推測できるのは、今のところこんなもんかな。

 あとは答え合わせをして裏付けを取りたいところだけど、悩めるハナナちゃんは話を聞いてくれるだろうか…。

 

 改めてハナナちゃんを見て、私は呆気にとられた。

 ハナナちゃんが正座をして手を地面に付け、深々と頭を下げていたのだ。

 これは……ま、まさかっ!? JAPANESE DO・GE・ZA!?

「は!? へ? な、ナニゴト…ですか!?」

 続けてハナナちゃんは!! あろうことか!! ぎこちなくも!! 敬語で!! 話し始めるっ!?

「おとじろうサマ…」

「おっ!? オトジロウ!? サマ!?」

「こ、このたびは、た、たいへんたいへん、しつれいをいたしまして……」

「え? え! え!?」

「ほんとうに、もうしわけ……ございませんでした……」

「えええええ〜〜〜〜〜〜!!!???」


 いったい、何がどうなってんのぉ〜〜〜!!!

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