2-14 ここは異世界 〜キーパーソン〜
今回は超短いです。千文字もありません。
ここに来てようやく、私はおかしなことに気付いた。
私は夢で見たあり得ない体験を話しているのに、ハナナちゃんが的確に相づちを打ってくるのだ。
私から情報を引き出すために、巧みに話を合わせているのか? いや……それはないか。
こう言っては失礼だが、ハナナちゃんは脳筋だからな。そこまで話術に長けているとは思えない。
ハナナちゃんが相づちを打ち、更に新たな情報を提供してくる…。つまり……
夢の中の私は、ハナナちゃんと同郷。すなわち、野薔薇ノ王国出身だった?
これってどういうことだ?
仮にそれが事実だとして、夢の世界の私と、現実世界の私に、どんな関係がある?
もしかして前世の記憶だろうか? かつて王国出身の冒険者だったが、ダンジョンのトラップに引っかかって死んだ。
神殿にいた大和撫子な美少女巫女は、実は日本の女神さまで、死んだ私の魂を異世界から召喚。そして現代日本に転生させた?
つまり、異世界転生ものの逆バージョンってことだ。
うん。違うな。これは違う。
一見辻褄が合いそうだけど、これだと後半に出てきたタフな自衛隊員達の説明が付かない。
彼らは現代日本……少なくとも平成以降の装備をしていたのだ。昭和時代の装備でなければこの仮説は成立しない。
くそ〜〜〜〜〜!! わから〜〜〜〜ん!!
どうやら私とハナナちゃん、もしくはハナナちゃんの故郷には、何らかの関係があるみたいなんだけど!
多分、結界をすり抜けて泉に入れたのも、ハナナちゃんと出会ったのも、それが理由だと思うのだけれど!
それをはっきりさせるには、決定的な何かが足りない。
だけど……、謎を解くカギは目の前にある。そう、ハナナちゃんだ。
私の夢の記憶を、ハナナちゃんのリアル知識で紐解けば、答えが見つかるかもしれない。
申し訳ないが、もう少し話に付き合ってもらうとしよう。
「それでそれで? 他にはいないの? 女の子!」
え〜〜っと? まだそこにこだわりますか?
かわいいお目々をキラキラと輝かせるハナナちゃん。
どうやら追及の手を緩める気はないようだ。
しょうがないな。もう少し話に付き合うとしよう。