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15-13 王国の武力組織 ~王宮戦士団18~ 愛ゆえに

「ああっ! カワミドリさん! カワミドリさん!! カワミドリさん!!!」

 突然声を荒げるサフラン。その鬼気迫る瞳には、狂気が宿っているようにも見える。

「ワタシ、今からとんでもない事を言うと思います! だから説得してください! 止めてください! そうでないとワタシ、これからとんでもない事をしそうなんです! だから、だからお願いします!」

「………わ、分かりました。全力で止めますから、聞かせてください」

「ワタシ、これからミカさんを助けに行こうと思いま…」

「ぜえっったいに駄目です! 無理です! 死んじゃいますってば〜〜o(≧◇≦)o〜〜!!!!!」

「だからっ! 闇雲に止めないでっ! 話を聞いてくださいってば〜〜〜ヾ(*`Д´*)ノ〜〜!!!!」


 このままでは会話が成立しないため、二人は話し合うのを一旦止めて、クールダウンに徹します。

「どうですか? 落ち着きましたか、カワミドリさん?」

「ええ。ええ。もう大丈夫ですよ、サフランさん。お話を続けましょう」


「ワタシ……。これまでずっと、ロズワルド様をお支えしようと頑張ってきたんです。でも駄目でした。ワタシでは力不足で、ロズワルド様の飲むお酒の量も増える一方で……。ロズワルド様が立ち直るには、きっとミカさんが必要なんです!」

「確かに、かつてのお仲間と再会できるなら、立ち直るきっかけになると思いますよ。それは分かります」

「だから、ワタシがミカさんを助けなくちゃいけないんです!」

「そこです! お気持ちは理解できます。ロズワルド様のお力になりたいのでしょう? でも、現実が見えていません」

「現実……ですか?」

「そうです! 現実です! 地下迷宮が男子禁制なのは、男性限定で命にかかわるトラップがあるからだと推測できます。だからロズワルド様は入れない。だから代わりにワタシが行く。男子禁制なんて女の子には関係ないもの。サフランさんはそんな風に考えていらっしゃるのでしょう?」

「ええ。はい。仰る通りです」

「ですが良く考えてみてください。この世には少数ながら、女性冒険者だっているんですよ。男子禁制だけが弊害なら、女性限定の冒険者パーティーを組んで探索に挑めば済むはずです。ところが、"リトルヘルヘイム"は未だに攻略されてはいません。何故だと思いますか?」

「え? ええっと…… 分かりません」

「ゴースト系モンスターですよ。あいつらが性別で選り好みするなんて聞いた事ありませんし、地下に降りれば降りるほど、強敵が待ち構えているでしょう。きっと男子禁制という縛りも、ある種のトラップなんですよ。油断した女性冒険者を呼び込む罠なんです」

「そ………っかぁ……そうなんですね………」

 カワミドリの話に納得したサフランは、ようやく落ち着きます。

 しかしその瞳からは、輝きが失われておりました。


「結局ワタシは、ただの子供で……何のお役にも立てられないんですね…」

「そんな事はないですよ。サフランさんは頑張っていますし、その気持ちはロズワルド様にだって伝わっていますよ」

「よしてください! 気休めなんて!」

 サフランはすっかり落ち込んでしまいました。精神的に不安定なようで、まるで別人です。

 きっと酒に溺れるロズワルドに何もしてやれず、サフラン自身追い込まれているのでしょう。

 今こそ静かですが、危うい感じがします。何かをきっかけに暴走して、無茶をするかもしれません。

 そうさせないよう釘を刺しておくには、どうすれば……そうだ!

「私も行きますよ、サフランさん」

「…………はい?」

「ミカゲル様の救出には、私も同行します」

「えっ? ええっ!? そ、それは、どういうことなのでしょう?」

 サフランは目を白黒させながら、カワミドリに問います。

「この一年、父と私はひたすら勇者様を探し求めてきました。そしてミカゲル様は、ロズワルド様が『本当の勇者』と呼ぶお方です。僅かでも生存の可能性があるのでしたら、直接お会いして、見定めなければなりません。ですからサフランさん。一緒に行きましょう。"リトル・ヘルヘイム"を調べて、対策を講じて、しっかり準備をしてから、一緒にお助けしましょう! だから一人で抱え込まないでください。それと抜け駆けは絶対にしちゃ駄目ですよ?」

「ああっ、カワミドリさん! カワミドリさん!! カワミドリさんっ!!! ありがとう! 本当にありがとう! とっても心強いです!!」

 サフランは泣いて喜びました。


 自室に戻ったカワミドリは父と合流し、情報のすりあわせをします。最初は難色を示す猿丸でしたが、最終的にはカワミドリの提案を最大限に尊重します。それはこの一年の旅路で、何度も見てきた光景でした。



 誰ともしれぬ貴方へ

 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 これにて監獄都市"ルリルリ"編の前半は終了です。

 何とか切りの良いところまで書けましたし、夜も更けてまいりました。

 今宵の執筆はここまでとさせてください。

 さて、風雲急を告げる後半ですが……、

 実は、リアルで解決しなければならぬ問題が発生しておりまして、明日の執筆はお休みさせていただきます。

 解決に何日かかかってしまうかもしれませんので、再開日は未定とさせてください。

 なるべく早く再開させますので、それまでのんびりと待っていただけましたら幸いです。

 それでは、お休みなさい。

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