14-6 王国の武力組織 ~王宮戦士団6~ 帝国、12衛星都市
ここで、2人+1人の旅路の舞台となります帝国について、簡単に説明しようと思います。まあ、簡単な事しか分からないのですけど。
帝国は、この大陸で最も大きな国家であり、野薔薇ノ王国から見て北西方面にあります。
我らがガングワルドで例えるなら、ローマ帝国が近いのではないでしょうか。まあ、ローマ帝国の事も詳しくありませんが。
街並みの構成ですが、広大な平野の中央に超巨大都市"帝都"があり、12もの衛星都市が"帝都"を護るように建てられており、それぞれの都市を繋ぐ街道沿いに小さな町や村があるようです。
やはり最大の特徴と言えますのが、"帝都"を囲む12もの衛星都市でしょう。それぞれが強固な城壁を備えた大都市で、野薔薇ノ王国の首都ノイバラよりも遥かに大きいのだそうです。
各都市の名前は最初、鉱物か何かのように思ったのですが、よくよく調べて見ますと宝石の名だと気付き、更にその並びが誕生石に基づいている事が分かりました。12衛星都市は時計盤にも例えられ、帝国出身の冒険者などは都市名で時間を現すのだとか。
以下に12都市の各名称と誕生石の一般的な名称を記します。
第1都市 ザクロイシ(ガーネット)
第2都市 ムラサキズイショウ(アメジスト)
第3都市 スイホウギョク(アクアマリン)
第4都市 コンゴウセキ(ダイヤモンド)
第5都市 スイギョク(エメラルド)
第6都市 シンジュ(パール)
第7都市 コウギョク(ルビー)
第8都市 カンランセキ(ペリドット)
第9都市 セイギョク(サファイア)
第10都市 タンパクセキ(オパール)
第11都市 オウギョク(トパーズ)
第12都市 ルリ(ラピスラズリ)
ここで訂正です。以前どこかで「コンゴウは帝国の最南にある都市」と書いたように思いますが、実際に最南にあるのは第6都市シンジュでした。間違ってごめんなさい。
では話を戻します。
一行はまず、第4都市コンゴウセキ(通称コンゴウ)から、反時計回りで第2都市ムラサキズイショウまで北上します。
それまでに勇者を見つけられなければ、第2都市からゲートで"帝都"を経由して一度コンゴウへと戻り、今度は時計回りで第8都市カンランセキまで向かいます。ここまでが弥助が提示したプランでした。
それでも勇者を見つけられなければ、カンランセキにて改めて方針を決める事としました。時計回りで改めて帝国を北上するか、港から船に乗って海外を目指すか、陸路で南下して暗黒大陸に活路を見出すか…。
しかし、そんな先の事を考えている場合ではありません。目の前の問題を解決しなくては。
旅の中で3人には、それぞれ小目標が出来ました。
まずカワミドリは、長い旅に耐えられる体力を付けること。故郷を旅立った頃は、ずっとロバの背に乗っておりましたが、少しずつ自分の足で歩く事にしました。おかげで夜はぐっすり眠れるようになったとか。
猿丸はとにかく路銀を稼ぐこと。暇を見てはモンスター退治に奔走します。たまには娘に贅沢させてやりたい……などという考えはまったく無く、ただ、ただ、女王陛下から預かった魔法石を手放したく無かったのです。
そして弥七は、今のうちに西方面の勇者情報を集めておくこと。そのため、二人とはほとんど別行動でしたが、ここぞという時は必ず駆けつけました。それはもう、弥七と呼びたくなる程の男ですからね。頼もしいことこの上無しです。
結局の所、二か月にも及ぶ北上ルートの勇者捜しは、骨折り損のくたびれ儲けで終わります。
しかし、西方ルートへ向かうための準備期間だと思えば、決して無駄ではありません。
カワミドリは体力を付け、猿丸は路銀を稼ぎ、弥七は多くの勇者情報を持ち帰ります。
王国絶滅まで、残すは約10ヶ月。
2人+1人の旅路は、ここからが本番なのです。
とまあ、何とか綺麗にまとまったようなので、今宵の執筆はここまでにします。
誰ともしれぬ貴方が、また読みに来て下さることを期待しつつ。
ひとまず、お休みなさい。