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7-3 移籍召喚の件 ~何が始まりなのか~

 何をもって始まりとするかは悩むところだが、今回の件に関わると思われる昔話を記そう。


 むかしむかし、あるところに、闇の勢力に怯える小さな国があった。

 土地は痩せ、作物は育たず、森には恐ろしい化け物が徘徊し、近づく者を襲った。

 逃げ場のない閉塞感に民は疲弊し、国も衰退する一方だった。

 そんなある日、小さな国に旅の一行が訪れる。神の子を名乗る勇者の若者と、彼を支える六人の仲間達だった。

 七人は小さな国の苦境を知ると、闇の勢力に戦いを挑み、見事勝利する。

 小さな国に平和が訪れた。しかし、それは仮初めの平和だった。勇者達の力では闇を滅ぼす事は出来ず、追い払うまでが精一杯だったのだ。

 時が経てば、闇の勢力は力を取り戻し、再び恐怖をまき散らすだろう。備えなければならない。

 勇者達七人の一行は、闇の勢力から民を護るため、小さな国に留まる事を決意した。

 ただ戦いに備えるだけでなく、知恵や技を伝授して、国の発展にも貢献した。

 勇者は姫と結ばれ、二人の間には沢山の子供が生まれた。子供達は先人から闇との戦い方を学び、成長する。

 こうして勇者一行の、知恵と技と神の血筋は、子供へ、孫へ、子孫へと、受け継がれてゆくのだった。

 そして現在。

 延々と続けられる闇の勢力との戦いは、新たなステージへと突入する。


 数週間前、"神の血族"の勇者候補者が3人、行方不明になる。よりによって第一位から第三位までの最有力候補者が、である。

 それと同時に闇の勢力が一斉に活性化。次第に勢力を拡大していた。

 今は専門チームだけでも対処は可能だが、闇は日に日に力を増している。やはり神具を使いこなす勇者が必要だ。

 しかし第四位以降の勇者候補者は、いずれも年端もいかない幼子ばかり。死地に向かわせるには早すぎた。

 次世代勇者が育つまでの数年間、ポッカリと開いた勇者のポスト。

 この穴を埋められる"中継ぎ勇者"が必要だった。

 必要なのは、神の血を引き、即戦力となる戦士。人種性別は問わない。

 いくつかの中継ぎ案が検討されたが、どれも現実的とは言い難く、実現させるための時間もなかった。

 そこで政府は最終手段の決断を下す。

 そう。"移籍召喚"だ。異世界から勇者を呼び寄せる事にしたのだ。


 又聞きの又聞きだったり、夢の中で体感した断片的な情報から推察したものなので、大まかな事しか判らないが、

 以上が"始まり"の概要である。

 書いている途中で気付いたが、これじゃまるでラノベだよな。しかも完成品とはお世辞にも言えないただのプロットだ。

 さて、敢えて固有名詞を使わずに記述したわけだが、どこの世界の話を書いたのか、

 お判り いただけただろうか……?

 にわかには信じがたいが、これが私のいた"ガングワルド"…。それも日本の話だというのだ!!

 異世界から見える日本の裏の姿。もしくは真の姿ということになるのだろうか。

 私が詳しくないせいかもしれないが、日本神話とはまるで関係無いように思う。

 大和朝廷とは縁の無い、辺境の小国の話だろうか?

 そして異世界の勇者で代用がきくのは、七人の勇者一行が異世界人で、"神の血族"は異世界人の子孫だから?

 

 まとめると、

 日本の平和は仮初めに過ぎず、見えないところで闇の勢力との戦いが続いている。

 勇者を欲していたのは異世界ではなく日本側。

 かつての救世主、七人の勇者一行も異世界人だった?

 此度の"移籍召喚"は異世界側ではなく、日本側の都合で始められた。

 となる。

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