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5-1 エピローグ 〜約束〜

 あれから3日が過ぎた。私は面会のため、ある施設へと訪れている。

 本来は関係者以外立ち入り禁止だが、私のたっての願いを受け入れてもらい、特別に許可をもらった。

 美人の職員に案内され、部屋に入ると、エプロンドレスを着た一人の娘が椅子に座っていた。

 死んだ目でうなだれており、私が入ってきた事にも気付いてないようだ。

 どうしよう。なんて声をかければいい?

 う〜ん。ま、いっか。気の聞いた言葉も思いつかないし、自然体で話しかけよう。

「オイッス! あれ? 元気無いなぁ。

 もう一度、オイッス!」

 すると、顔を上げた娘の顔に、みるみると生気が蘇ってきた。

「あ……お……お……オトっつぁん!!」

「久々に見るハナナちゃんの笑顔だ。しかし涙目なのはどういうわけか」

「うえ〜〜〜〜ん。オトっつぁ〜ん。助けてよぉ。ここは地獄だよぉ!」

「あ、あれ? おかしいな。ここって花嫁修業をする施設だって聞いたんだけど」

「それが地獄なのぉ!」

「そ、そうなんだ…」


 フリーの冒険者にはよくある事だが、ハナナちゃんもまたいくつかの国で色々やらかしていて、懸賞金をかけられる身だった。つまり、逮捕されて牢獄に入れられても文句は言えない立場なのだ。

 しかしハナナちゃんは、迷子のガングビト(つまり私)を助けてくれた。"野薔薇の王国"にとって、正に恩人である。また、畜生働きはしておらず情状酌量の余地は十分にある。

 超法規的処置としてハナナちゃんは王国預かりとなり、国外で犯した罪の一切合切を帳消しにしたのだった。

 国家権力すっご〜い!

 で、罪を償う代わりに課せられたのが、一週間の花嫁修業だったわけだ。

 幼い頃からずっと冒険者やってたハナナちゃんにとっては、良い経験になるはずなんだけど。

 二日目でもうこれか……

 何とか元気づけられないものか。う〜〜ん。 

「しかし、エプロンドレスか。メッチャ可愛いじゃん♪」

「あ、そう? オトっつぁんはこう言うのが良いわけ?」

「うん。そう。最高に良い♪ でもまあ、ハナナちゃんらしくはないよな」

「そ、そうだろ? そうだんだよ! アタシらしくないんだよ!」

「だけどな、私のリアルな実体験を語るとだな、一見無駄とも思える知識や経験が、年を食ってから役に立ったり、応用できたりするもんなんだよ」

「そりゃあ、そうかもしれないけど…」

「まあ、辛いものは辛いよな」

「うん。辛い…」

「だからさ、私がご褒美をあげよう!」

「お、オトっつぁんが? アタシに?」

「一週間やり遂げて、身綺麗になって娑婆に出てきたらあげる。何が良い?」

「それって、物なの? 物じゃなくても良いの?」

「別に良いけど……」

「じゃあね! 一緒に冒険に行こう!」

 あ〜、なるほど。そうなるかぁ〜。この健康優良不良少女め!

 不健康なご褒美なら断っていたが、これは健康的で断れないぞ! ど、どうしよう。

「じゃ、じゃあね、命がけだったり、ハナナちゃんが死なないくらいの難易度なら、行けるかも…」

「ホントだね! 約束だぞ!」

「わかったよ。私も腹をくくる。約束だ!」

 こうしてハナナちゃんの笑顔は取り戻せた。

 きっと地獄の花嫁修業も乗り越えるだろう。

 私は……どうしよう。

 とりあえずスタミナを付けるために、ジョギングでもしようかなぁ。

 三日以上続けられるか自信無いけど、やれる範囲で頑張ろう!


 第一章・完

平成が終了して20分オーバーしましたが、何とかまとめました。

これにて第一章、完結にございます。

最後まで付き合ってくださった皆さん、本当にありがとうございました!

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