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短編

聖なる夜とマイナンバーと母親の強さ

作者: 池田瑛

 クリスマスということで教会に行ってきました。普段は、ダークサイドに墜ちている私ですが、今はジェダイになった気分です。


 まず、クリスマスというのはサンタクロースの誕生日では無く、イエス様の誕生日を祝う日だった!!!! クリスマスは、キリスト教のお祝いの日だった!!

 そしてイエス様は、馬小屋でお産まれになったらしい。どうして馬小屋? 家で産まないの? という疑問がまず頭に浮かぶ。


 聖書から引用すると、「そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た。 これは、キリニウスがシリア州の総督であったときに行われた最初の住民登録である。 人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。 身ごもっていた、いいなずけのマリアと一緒に登録するためである。 ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、 初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。 」ということだ。


 妊娠して、臨月を迎えている女性が徒歩で移動しなきゃいけない……。みんなが移動するから、当然、宿屋はない。なんとか雨風がしのげる場所ということで馬小屋。いやいや、妊婦さんですよ……。馬小屋なんて衛生環境も悪いだろうし、酷い……。

 皇帝アウグストゥスだから、ローマ帝国の皇帝だろう。ローマ帝国は人頭税だったはずだから、住民登録をして人数をしっかりと把握して、税金を徴収しなきゃならないのだろう。昔の日本で言えば、太閤検地だろうか。頭を過ぎったのはマイナンバー制度だ。全員にマイナンバーを採番して、税金をしっかりと取るために管理してやろう、っていう発想が同じだ。

 きっと、2000年前の時代は、ローマ帝国による支配が苛烈を極めたのだろう。きっと、今のように、社会には閉塞感しかなく。働けど働けど豊かにならない暮らし。広がる格差社会……。新聞を開けば、理解に苦しむ事件ばかり。そんな悲しい時代だったのではないか、と思った。そんな、寒い夜と寒い社会の中で産まれたのがイエス様なのだろう。


 そして、イエス様を産んだマリアさん。

聖書では、「マリアは天使に言った。「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」 とのこと。


 処女で妊娠!! 


 でも、時代背景や当時の社会ルールを考えたら、このマリアさん、産むだけで凄い!


 まず、彼女は、婚約中の身分だ。結婚をする前に婚前性交をしていたということが分かっただけで大問題。しかも、婚約者のヨセフさんとの子でも無い。

 当時の、世間一般から見たら、婚約中で有りながら妊娠して、しかも婚約者の子でも無い!! 不貞を働いたとしか見られないだろう。だって、処女で妊娠しましたって言われて信じる人は、常識的に少ないと思う。

 当時の社会ルール的に言えば、不貞を働いた女性は、石打の刑のようだ。死刑である。万が一、命が助かっても、日本的に言えば村八分は免れないだろう。そんな中でも、産む、という決断をした。

 産んでからも、世間様から白い目で見られるのではないだろうか? 今のようなマンションの隣の部屋に誰が住んでいるか分からない都会的な生活ではない。ご近所付き合いのべったりの田舎的生活だろう。そのような中で、誰の子か分からない子供を産む……。本当に、処女で妊娠したとしても、世間ではそんな風には考えてはくれないだろう。常に後ろ指さされる生活を送ることになることは、マリアさんだって簡単に予想できただろう。

 それでも、産む、という決断をした。その決断には、母親の強さと子供への愛情の深さを感じざるを得ない。


 シングルマザーのワーキングプア、という問題が日本の社会で問題視されて久しい。このクリスマスイブだって、子供の養育費を稼ぐために、家に帰れず、働いている女性だっていると思う。子供が待ちきれず寝てしまって、その寝顔を眺めるだけで、そして子供が起きる前には出勤してしまうような人だっていると思う。

 私は思う。クリスマスとは、そんな人達を讃える日なんじゃないかと思う。マリアさんが、その子供を産むという決断をした。そして、立派に育てた。その決断があったからこそ、イエス様という人の誕生を、2000年以上経った、あんまりキリスト教に関係のない国でも祝ってるんじゃ無いだろうか。だって、宗教とかを考えなくても、母親がお腹の子供、産まれた子供を愛するのは、世界共通だもの。


 確かに、聖なる夜だわ。そう思った、2015年のクリスマス・イブでございました。

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