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辺境伯ロイド奇譚 〜誰が彼を英雄と名付けたのか〜  作者: 塚本十蔵
第2章 ロイド辺境伯、異界戦役に挑む
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第五十三話 ロイド、舞姫にイェラを友人にと紹介する

 諸兄は夏や冬の長期休暇の宿題は早めに済ます方か? それともなかなか手を付けずに最後の晩までやらない方か?

 俺は早めに済ます方だ。宿題が残るなんて気が休まらないからな。前世でも今世でもそれは変わらない。


 さて、俺は謎の怪物退治に軍を出動させた。しかし奴らの生態を知らねば対処は難しい。そこで俺の知恵袋であるドラクル・ザーツウェル…スティラ・ザーツウェルに奴らを観察させる方針を取った。

 で、その間、俺は暇な訳だ。しかし領主として暇な時間なんて持つ必要はない。一応副領主として叔父を館の執務室に置いてきたが、どうした具合か魔導跳躍者マギア・ジャンパーのエリオラ・ツキハを副官に据える事とあいなった。

 使うにあれこれ制約があるが、使えるのなら使うが俺の流儀だ。俺はスティラと入れ違いに自領へ戻る事にした。

 そして冒頭の話に繋がる。


 俺は領主としてやらねば成らぬ事が山ほどある。書類作成、企画審査、視察、講演、決済に陳情だ。いやマジで忙しいのだ。兎に角やる事がある。後回しにすると碌なことが無い。別に今日が八月三十一日ではないが、やる事やってないと落ち着かない。

 

 さて、陳情とは有権者のお願いを聴いてあげて、それを形にする事だ。

 とは言っても、領内の全ての有権者の話を聴く訳ではない。道の整備や橋の付け替えなんかは代議士の仕事で、領内向けの陳情は政庁レベルの役割だ。俺には帝国向け、或いは領外向けの陳情を聴くのが仕事である。

 で、なんやかんやと俺への陳情に三十六人の有力有権者が列をなしていたのだった。しかも時間が無いので一日で済ませねばならなかったりする。

 自分でも殺人的スケジュールと思うが、まぁ仕方ない。


 この日、一番に会うのはとある銀行の会頭だ。

 要件はザラ子爵領に支店を出店させたいとの事。ここでの俺の役割は政府保証の裏書きに俺が一筆いれる事だ。これにより出店の保証性を与えれる。勿論、十分に審査した結果からである。

 ちなみに会頭は俺への御礼にそれなりの個人献金を申し出ている。ああ、当然裏金ではない。法律の範囲内での話だ。


 二人目は運動競技連盟の座長だ。彼は北部辺境群の広域連合競技会の開催を申し出ていてきた。まあ規模を限定したオリンピックだな。

 座長はコレの旗振り役でもう一段階登りたい野心がある。うんうん野心結構。これは前向きに推進して良い。


 次々と陳情をこなしていく。だが気にいらない奴も出てくる。八番目の男がそうだ。

 こいつは公営の賭博場を拡大させる事を目論んでいた。しかし解せない、何故に俺が領内の賭博場の話に関わるのか?

 ああ、そうか、こういう手合いも居るんだと分からす為かもな。それなら分かる。


「なあ君」と熱弁を振るう男を遮った。


「君の言うとおりなら世の中は金持ちばかりとなるが、実際には賭博場から裸で放り出される奴もでる。これはどうしたものかねぇ?」


 男は目をぱちくりさせた。


「は? あ、ああ、まあそういう手合いも一定数は居りますな」


「そこに君らは介入していないと?」


「もちろんで御座いますとも」


「そうか、なら、君の陳情を刎ねても仕方ない事ではあるな」


「な!?」


「運の悪いやつは一定数いる。ま、君の場合もたまたまだがね。さて出口はあっちだ。速やかに退場したまえ」


「いやしかし、閣下……」


「うん? もう話す必要はないのだが」


 男はしばらく口をぱくぱくさせていたが、結局言葉には成らず、しぶしぶではあったが退場していった。


「ジルベスター」隅に控えている家令に声をかける。


「ああいう馬鹿な手合いは、俺がきちんと対処できるかを計るまとか?」


「は、おそらくはそうでしょう。仕組んだのは政庁の方ですが、間違いなく」


「なら政庁の連中に言っといてくれ、『面倒だ』とな」


「承りました」


「仕事だから選り好みは出来ないが、俺も暇ではない。そこの所を強調しておいてくれ」


「は」


「さて午前の間にあと何人捌けるかな?」


 時計は正午までやや時間がある事を示している。


「旦那様、最低でもあと五人は」


「……忙しいな。やれやれだ」俺は次にくるやつの資料を読み始めた。忙しいなぁ……。


 

 午前中に十四人、午後に残りの二十ニ人の陳情を聞いた。

 しかし、やはり出来る男達、野心家は良い。有能な野心家は周りにも気を配り利益を配分出来る。無能な野心家は己のみにしか利益を配らない。この差は大きい。いや、だからこそ有能な野心家が生まれるのだ。たとえ悪人であっても変わらない。悪人イコール悪では無いのだ。

 俺はこうした男どもが大好きだ。いやお尻の方でなく人間性でだ。以外かと思われるが偉大な悪人は気を配る名人でもあるのだ。多数が、大多数が幸せになるのなら善人よりも俺は優遇する。そうだろ? 使えない友人より使える他人の方がマシだ。


 就業時間いっぱいまで仕事して頭がお疲れモードだ。こんな日は早めに休むに限るな。まぁ、その前に晩御飯だ。


 本日のディナーは仔牛のシチューだ。やったね、俺の大好物やん。

 晩餐の場は長テーブルに俺、イライジャ、ツキハ大尉相当官、そしてレティカが座る事になっている。あとゲスト? にザビーネ、エリー、フリッツ、クライグの四人組を呼んでいる。残念ながら我が妻であるアーデルハイドは俺が呼んでも部屋から出てこない。嫌われる事には慣れているが、何時まで我を張るのやら。

 まあいいさ。さて食事だ。


 シチューを味わいながらイライジャに本日の勉強の成果を聞く。これは毎晩の儀式みたいなもんだ。


「今日はねぇ、『メルヴェスト』を習ったの!」


「ほう、第一楽章までは踊れたかい?」


 メルヴェストとは社交ダンスの初級編にあたる。これを覚えれば後の様々なダンスに応用が効くのだ。


「ううん、まだ最初らへんまでなの」


「そうか、頑張っているなぁ」


「はい!」


「メルヴェストなら僕らも踊れますよ」声の主はフリッツだった。


「君らは踊れて当然かと思ったが?」


「はい、基本ですから」


「そうか、もし良ければイライジャを手助けしてあげてくれないかね。君らならファウバやステッサーレまで行けているのだろう?」


「ええ、はい、承知しました」とは言ったものの、ステッサーレは未習だと当たりをつけた。彼らの就学時間を考えるならそこら辺が限界だろうに。


 俺は匙を置いて立ち上がった。

 給仕に声をかける。


「音楽をメルヴェストに変えてくれ」そしてイライジャに視線を投げた。


「イライジャ、今日の君の予習をしよう。おいで」


「あ、はいっ!」イライジャは跳ね上がるかのように席を立った。ちょっと行儀が悪いぞ。


 給仕が曲を手早く替えた。優しくて軽快な曲が流れる。


 イライジャの滑り出しはスムーズだった。ダンスはオリガ夫人の領域だ。したがって結構厳しく教えたと思う。

最初だけだがイライジャのステップは悪くなかった。だがまだまだ未熟。第一楽章の半ばで足がもつれたのだった。


「ごめんなさい兄さん……」


「いや、中々に上手く踊っていたよ。まあ練習あるのみだ」


 しょげかえる義弟に優しく声をかけた。そう、練習しかないからな。


「ツキハ君」


 俺は個人副官を呼んだ。


「え、あ、はい」


「君は俺の副官として午餐や晩餐の場へ出ねばならない。そこではこうした舞踏も必須となる。さ、こちらに来なさい」


「私も…いえ自分もですか!?」


「そうだ」


「む無理無理無理です!」


「だから練習しようと言ってる」


「自分、食べてるだけの機械になりますから!」


 誰が面白い事を言えと言った。ええぃ、このポンコツ二号が。


「面白い事を言ったつもりか、さあ教えてあげるからこっちに来なさい」


「ふぇぇぇ……はい」


 ツキハはよろよろと席を立ち、やはりよろよろと近づいてきた。そんなに嫌か。


「まず俺の足を見ておけ。

 左足を左、右足を左。右足を右、左足を右。右足を斜め後ろ。左足を軸に右回り。左足を左。右足を左。これが基本的な足さばきだ。ほらやってみなさい」


「えーと、左足を左、右足を左。…右足をひだ…右、こうですか?」


「良いぞ、その調子だ。もう一度最初から」


「はい……」


 それを何度か反芻させる。そこで一度ストップ。


「なかなか筋が良いぞ(とおだてて置く)

 次は俺の膝の動きを見ておけ」


 ステップの途中に膝を軽く曲げるのを披露する。


「先の足さばきに膝を軽く曲げるのを追加だ。これが出来て基本と成す訳だ。良いな?」


「……はい」


 まあ壁の華でも良いのだが、いやいや、やはり基本程度はマスターしてないとな。


「辺境伯様。私と踊ってください」


「…エリーか、おいで」


 踊りだしてから感じたのだが、エリーのダンスはピカイチだ。すっごいセンスがある。気負わずに自然体で動作が完璧だ。これは凄いと思う。


「エリー、君は素晴らしいな。俺が遅れそうだ」


「あ、すみません、もう少しゆっくりでしたか」


「いやいや、君が完璧なので俺が遅れそうなだけだ」


「ありがとうございます旦那様」


「次は僕だよ」とレティカが言った。


「……ああ、うん、メルヴェストはゆっくりだから母体に悪影響はなかろうが」


「なにをごちゃごちゃ言っているんだい? さ、一曲御相手願おうか」


「かしこまりました大公妃プリンシペッサ殿下」


 そして俺達は踊り始めた。


「……夢だったんだ」


「何が?」


「君とこうして踊れるのを」


「…………」


「ロイド、君は不満だったかい?」


「いいや、俺達はもうこんな関係になれると思わなかった。……悪くないな」


「ありがとうマヴァルーン」


「レティカ……」


 その後は言葉が続かなかった。『愛している』なんて言えれば最高なんだが、それはお互いの立場から言ってはいけなかった。

 レティカも同様でお互い無言でダンスを続ける。だが、目は違っている。無言だがありありと感情が伝わってくる。それは俺も同様だ。語れない以上に視線だけで思いを伝えあった。


 メルヴェストの最後にレティカが言った。


「良かったよロイド。ここしばらく憂鬱だったから余計にそう思う」


「そうか、それは良かった」


「僕達は遠くに来た。だけど今は近くに居てられる。これは幸せとよんで良いのかな?」


「近くても遠くでも、今はこうしてられる。それで満足しなくてはな」


「そうか……」


 そこで話は終わりにした。

 もう一度イライジャと踊り、晩餐の場を終えた。




 翌日と翌々日はひたすら政務に励んだ。漫画のような書類の山に苦笑する。

 ところで財政だが、なんとかひと息つけれる様になった。投下した資本の一部が還元されたのだ。投下した金額が莫大だからその見返りも多い。良い事だ。



 週が明け、その日の政務が終われば先週約束した少女歌劇の観劇である。俺は館の大食堂を開放し、観客に館の使用人らを配した。

 福利厚生の一環でもあるが、観客が俺とレティカやイライジャでは少なすぎだと思ったからだ。


 本日の歌劇の内容は『グレーテンモーゲンの行進』という題目だ。内容は捨てられた人形や玩具らに生命が灯り、まだ見ぬ明日へ旅立つちょっぴりセンチでかつ愉しい戯曲である。

 少女らの歌劇は素晴らしかった。瑞々しい感性に楽しさを乗せたそれは聴衆に笑顔を運んできた。もちろん俺も大満足だ。見ればイライジャも瞳を潤せていた。

 

 劇は終わり、大食堂に拍手が鳴り響いた。

 俺は用意してある花束を贈り、いかに感動したかを少女らに伝えた。


「いやあ素晴らしい。君らの瑞々しい感性にこころ洗われたよ。これは是非とも応援させて欲しい」


「ありがとうございます閣下」


 プリマ・ドンナの少女は上気した頬を染めて礼を口にした。


「栄光ある第一歌手である君の名を聞かせて欲しいんだが?」


「あ、はい。わたしはレオノーラ・ハルベンともうします。皆からはノーラと」


「ではノーラさんと呼んでも構わないかね?」


「はい」


「ありがとう。幾万の言葉を重ねてもなお足りない俺の語彙の無さを嗤ってくれ。それ程君らの歌劇に感動した」


「あ、ありがとうございます。辺境伯様にそう言われて恐縮です」


「さ、観劇の礼にと馳走を用意させた。まずはひと息ついてきて欲しい」


 と花束だけを渡して彼女から離れた。歓談の場までにひと仕事ある。


 

 ひと仕事、……そいつはすぐに現れた。歌劇の団長だ。ホールにて対面する。


「辺境伯様。いかがでありましたか」


「おう、立派な歌劇であった。存分に楽しませてもらったぞ。これは貴様に対する礼の一部だ。イル・メイ、金子を渡してやってくれ」


 傍らの森の住人に金の入った袋を渡す。彼女はそれを団長に渡した。


 金の重みに団長は相好を崩す。


「団長、貴様らが帝都に戻れる日まで俺が支援者になろう。それで構わないかね?」


「おお、ありがとうございます。一座にとりそのお言葉だけでも有り難く。

 ところで閣下、一座の一番歌手の娘はどうですかな」


 ああ、やはりな……。


「ん? ああ、彼女は良いよな」おれはどうとも取れる態度で返事をした。


「どうですか、今宵は彼女と個別に懇談するのも」


 それで十分だ。


「いやあ手間をかけさせて済まないね」


 お前は退場だよ。


「手間だなどとは……、閣下がお喜びになられるのは望外の喜び」


「イル・メイ。団長殿に礼の増額を。団長、心ばかりのモノだが受取ってくれるかね?」


「ははぁっ!」


「では団長、別室で受取ってくれたまえ、ではな」


 最敬礼する団長を横目に大食堂にとって返す。さり際、ポンコツに小さく合図する。




 大食堂は無礼講にしていた。今日は使用人らも立食形式で飲んだり食べたりしている。

 別に使用人らに対するサービスだけでない。賞味期限切れ前の食材の整理もある。普通は捨てたりするやつもあるが無礼講の立食パーティーならきれいに捌けるかなと思ったからだ。あと料理人らの腕くらべの場でもある。創意工夫は大事だからな。


「楽しんでいるかね?」ご馳走をゆっくり咀嚼している舞姫ら声をかける。


「ああ失礼、食べ終えてからで構わんよ」


 むぐむぐと咀嚼し終えたノーラ嬢が頬を赤くして一礼した。


「美味しい食べ物ばかりで返事が遅れました」


「いや食べている最中に声をかけた俺が無作法だったのだ。謝るのはこちらだ、済まないね」


「いえ、……美味しい食べ物で注意がたりませんでした」


「お互いに謝ってばかりだな。それでは何の意味をなさない、さきに無作法を働いた俺が悪いと思ってくれ。

 さて、ノーラさん、君に質問があるのだが良いかね?」


「…はい」


「いやね、団長殿から君と個別に歓談させたいと申し出があったんだよ」


「……はい」


 とたんに表情を消した。やはりな。


「で、俺は忙しいから固辞させてもらった」


「へ、辺境伯様は! あの、わたしでは!」


「とんでもない、君は魅力的だ。それは間違いない。でだ、誤解なきように言っておくが、俺は君らの後見人となる事を約束したよ」


「…あ…ありがとうございます」


「そこで君に聞きたいのだが、あの団長はいささか俗すぎやしないかと思うのだよ。君はあの男を好んでいるのでかい?」


「……あの、その……」


「もっとマシな団長がいれば良いと考えた事はないかね?」


「…………はい」


 良し、言質は取った。


「今日団長は体調を崩して一線を引くそうだ。なにか不都合はあるかね?」


「いえ…いえ、ありません」


「それは君個人だけでなく団員の総意でもあるのかな?」


 ノーラはしばらく考えるように眉をひそめた。


「総意、ええ総意とよんで構いません」


「…良かった。今頃団長は俺からの褒美をもらっただろう。今夜以降あの団長は…前団長は君らの元には現れないよ」


「ありがとうございます!」


「そこで尋ねたいのだが、まずなにが必要かね?」


「えっと、はい声楽堂です。…あの体育館でも講堂でも大丈夫です」


「わかった手配する。次は」


「……あの、やはり先生が」


「専門の、だね?」


「はい」


「わかった。公演とかの予定は?」


「このファーレ領が最後で、以後は予定など入ってません」


「そうか。なら練習だけの毎日と公演込みの毎日ならどちらが好みかね?」


「…公演もこなしたいです」


「なら予定を組む専任の者も必要だね。うんわかった。万事うまく行くよう取り計らうよ。これは領主としての言葉だ」


「ありがとうございます。…どれほど感謝してもしきれません」


「ひとつ約束してほしい」


「何でしょうか?」


「のびのびと気負わずに唱う事。あせったり気負ったりしないで自分の力を過信せずにありのままで居て欲しい。出来るかな?」


「わかりました」


「うん。あ、そうだ、もう一つお願いがある」


「何でしょうか?」


「俺の義妹だが、その、友達になってあげて欲しいんだ」



 イライジャを探す。

 あ、居た。フライドポテトをもしゃもしゃ食っている。行儀悪いなぁ……。


「イライジャ! おいで!」


 突然呼ばれたイライジャは一瞬息を詰まらせたが、ジュースの入ったグラスで無理矢理呑み込んだ。


「お、お呼びでしょうか…けふ」


「慌てなくても構わない。しかし醜態を晒すな、いいね。さて、ノーラさん、この娘はイェラという俺の義妹だ。

 この館には同年代の者は少ない。そこでこのコと仲良くしてあげて欲しいのだよ。どうかな?」


「はい! 大丈夫です。こんばんはイェラさん。ノーラと呼んでください」


「あ、はいイェラです。よろしくお願いします!」


「イライ…イェラ、彼女と仲良くしてやってくれ。月に一度か二度は一緒に買い物に行くとかして遊んでくれないか。

 ノーラさん、か…のじょと連絡とりたい時は事前に手紙を出してあげて欲しい。後で一筆書くから、それを郵便局の人に見せてあげてくれ。郵便代がタダに出来る様にするから。さてでは失礼する」


「ありがとうございました辺境伯様」


「ありがとう兄さん」


 二人に軽く手を振って別れた。ノーラならイライジャと仲良くなれるだろうさ。


 ホールに戻るとイル・メイが現れた。


「首尾よく行ったか?」


「しこたま呑んで。…今ごろは野犬と戯れているよ」


「そうか、苦労」


 悪人がくたばってもナンにも思わないのはヒトとしてどうかとは思うな。

 さて、明日は軍の方に戻るか。ステやんが何か成果を上げてれば良いのだが……。

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