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辺境伯ロイド奇譚 〜誰が彼を英雄と名付けたのか〜  作者: 塚本十蔵
第2章 ロイド辺境伯、異界戦役に挑む
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第三十九話 レティカ、彼女の憂鬱、そして

設定間違いが多い事に気づいた……(´・ω・`)

 僕は北部大公ゲオログ・ブライト・フォン・バルバロッサの妻となった。

 彼は尊大な男だ。そして女性を下に見ている。女性の人権活動をしていた僕とは最悪の組み合わせだった。


 姉、レジーナが治癒不可能な熱病にかかり、一時縁談が破綻仕掛けたが、僕が代わりに嫁ぐ事で両家は手を打った。

 その事は僕には関与出来ない話だ。また、理由も分かる。バルバロッサ大公家の血の濃さを和らげる必要があり、我が家は大公家に連なる事で帝都にて発言権を拡大するためだ。

 

 そう、その程度は理解できる。だけど僕としてはまだ嫁に行くのは早いと思っていたのだ。


 こと、帝国において女性の地位は低い。それ故に女性の地位向上を目標とする活動は活発だ。僕の愛する友人ファーレ辺境伯ロイド(当時は辺境伯公子だった)も僕に賛同して活動に加わっていた。男性なのに理解のある友人だ。

 そう、ロイド、僕のマヴァルーン。

 だけど彼には悪癖もたっぷり持っている。

 悪癖。それは幾人もの愛人がいる。変わっているのは貴族の年かさのご婦人ばかり! これは後で知ったのだけど、彼は夫との性交渉の途絶えたご婦人を見繕って逢瀬を愉しんでいたのだ。流石にお婆さんは無理みたいだけども

、それなりの年齢の方とは”してる“らしい。


 当然、夫君は怒り心頭だ。だがロイドの啖呵『なら貴様も浮気はしてるんじゃねぇ!』は喝采をさらった。

 これにはどの夫君も口を閉ざさざるを得ない。これらの件で夫婦仲が良くなった例もあるから、ロイドのやんちゃも意義があった。


 おっと、話がそれてしまった。

 僕は僕の心情に従って生きてきたが、どうやらその道が閉ざされたようだった。

 そして流されるままに大公と婚姻の儀を済ませるのだった。


 初夜…初夜の事は語りなくない。『ただ最悪』それだけにしたい。

 あの僕を見下す瞳、アレとはけっして分かり合えはしない。それはあの瞬間に確定した。


 我が夫君には嗜虐志向がある。流石に顔には手を出さないでいたが、散々痛い目にあわされた。これは僕だけでなく女性使用人にも向けられている。まぁだからといって僕の痛みを分かち合えるとは言わないけどね。


 夜の相手は僕だけでない。何人もの愛人がいる。愛人を相手にする際だけが僕の安息の夜だった。


 

 僕はどうやら運が良いらしい。何故なら初夜の契りで妊娠出来たのだ。これでしばらくはアレの相手をせずに済む。これは望外の歓びだ。

 妊娠した旨を話すと夫君は『ふん』と鼻で嗤った。どうやら夫君も僕を嫌いらしい。良い夫婦仲だ。ロイドならそう言って笑うだろう。


 妊娠が発覚して三ヶ月。お腹はまだ目立っていない。

 だけど公務は容赦なくやってくる。

 

 ある日。そう、運命のあの日、僕…いや北都のすべてに非運が訪れた。


 僕と夫君は公聴会に出席せねばならなかった。

 僕らを乗せた馬車は北都の下限にある湖のほとりの会場へと向かう。だけど会場へは辿り着く事は無かった。


 ナニかが群れを成して襲来してきたのだ。

 ナニか、……生命体だ。それは分かる。だがあのおぞましさは形容し難い。四足歩行のそれらは見る者を嫌悪させるテラテラした肌色で鎌のような、あるいは槍のような『腕』で人々を襲っていたのだ。それからは良く覚えていない。

 だけど夫君が怒声を上げ馬車を降りて行ったのは覚えている。そして……。



 気がつけば馬車は北都を北に抜ける所だった。

 御者は『あの怪物は雲霞のごとく襲ってきました。逃げ道は北しかなかったのです』と。


 ここ北都は北の大山脈、連層大山脈のふもとに ある。つまり北へ行くという事は難所の続く大山脈へ行くことを意味していた。

 

 僕はどうして良いのか全く検討がつかなかった。

 どうにか意識を危機的状況に合わせると、北都から人々が北を目指して歩いている所だったのだ。


(北へ行って何になるのだろうか?)覚めてきた僕はどうにか北都の治安維持部隊がアレらを殲滅する事を優先すべきだと考えた。

 だか、それは高望みである事を知った。

 治安維持部隊の生き残りが部隊の全滅と北都陥落を知らせてきたのだ。


 僕は領主夫人だ。北都の現状にて僕が責任を持たねばならない。

 そして決断する。『北』へ逃げるしか道はない事を。

第2章開幕はレティカの話から始まりました。次話は地球からの転移者達の話です。

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