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冒険とかしてみる。  作者: 日向猫
一章 たのしい狼一家
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第9話 楽しい道具作り?




 道具作成アイテムクリエイトを習得してから、俺は道具作りに勤しんだ。

日々の嫌な事を忘れて。




嫌な事って何だって?

狩りとか、魔物退治以外にあると思うか?

狩りでは、今だ一匹も獲物を捕まえられない。

母は既に呆れ顔だ。

兄弟たちにおんぶに抱っこ状態。

兄弟たちの助けの下、日々の糧を得ております。

情けないとか言うな…、ぐすん。


魔物相手は今だ泥試合中。

最近、若干余裕が出てきた?みたいな感じ。

怖いが、あんまり緊張しなくなって来た、これが慣れか?


そんな感じで日々ストレスを貯めております。

いつか禿るんじゃなかろうか?

兄弟たちとのスキンシップというじゃれ合いで、ストレスを解消する日々。


そんな中、使い古した剣が折れた。

母に相談したら道具作成の技能を貰ったよ。


ビバ、娯楽ゲット。


なにを隠そう、この俺!

前の世界で物作りゲーが大好きだったのだ。

そんな俺が、こんな技能を手に入れたらどうなるか?



決まっている!

作りまくると!!

あんなアイテム、こんなアイテム、作れたら楽しいだろう?







そう思っていた時期もありました。

最初に作った剣が、実はまぐれの産物だったと思い知りました。


出来たアイテムは、物の役にも立たないゴミばかり。

思い通りのアイテムを作れるという事は、その為の知識と想像力。

そして何より、明確なイメージが必要なわけで。


作ろうと思うものの、形がどういうもので、どんな用途で、どんな風に使えるか。

詳しい知識はもちろん、それを明確な形で思い描かなければならないようだ。

下手に曖昧なイメージだと、形にならず。

知識が不足だと、形は出来ても使い物にならなかった。

後は、素材にも左右されるみたいだ。

なんとも使い勝手の悪い技能だ。

出来たアイテムが物体Xだったりした時は、全身が脱力してしまった。

上手く物を作り出すためには、確かな知識と想像力が必要だ。

あるいは、Lvが上がれば違いがでるのだろか?

少なくとも、今の段階ではまともなアイテムは作れそうにないようだ。

あるいは、もっと簡単な物から始めるべきか?

少しずつ練習を繰り返せば、望むものを作れるだろうか?



そんな風に、時間が過ぎるのも忘れてアイテム作り。

何度と無く繰り返し、Lvが1に上がった頃、俺は半ば諦めの境地いた。

俺には向かないかもしれん。

チートアイテムで、金儲けとか出来るかも?

なんて邪な考えが、何処かに合ったのは事実です。

だからでしょうか?

何を作っても、出来るのはゴミか、失敗作程度。



そして唯一の成功例が、兄弟たちの抜け毛を使ったものだったので、服を作成がてら

兄弟たちに毛を貰い試してみた。


御免なさい、母よ。

欲に走った事は致しません。

どうか成功させて下さい、心機一転、再チャレンジ!

すると、なんということでしょう!今度は大成功です!


母よ、やはり物欲センサーのせいなのですね?

そんな感じで馬鹿やりつつ、道具作成を終了した。

どうも何らかの補正が働いている模様。

出来たアイテムは以下の通り。


鎧  深狼の服(毛皮)(不壊)

   必要筋力1

   防御力4


どうも兄弟たちの毛を使うと、不壊属性がつくようだ。

そんな事を延々とやっていたら、服の袖をくいくいっと引っ張られた。

振り向くと、兄弟の一匹が俺をじっと見つめていた。


『なに?』


珍しい兄弟の行動に、疑問を投げかける。


『暇、あそぼっ!あそぼっ!』


尻尾ふりふり、誘ってくる。

道具作成の見物に飽きたらしい。

他の兄弟たちは、そうそうに飽きたらしく、姿は見えない。


上手くいかない、道具作成にも一区切りをつけ、立ち上がる。

出来た武器の性能を試すのも悪くない。


『いこうっ!』


『おうっ!いこう!いこう!』


手に黒い剣を握り、兄弟と共に駆け出した。














何時もの様に、兄弟と切り結ぶ。

緊張も、恐怖もないじゃれ合いだ。

重力に逆らって、縦横無尽に駆け回る。

時折、時を止めて瞬間移動もどきで死角を突く。


ガキィィィィン!!


と、まるで金属同士のぶつかった音が響く。

しかし、やっぱり黒い剣も兄弟の毛並みに阻まれた。

俺も大概チートだが、兄弟たちほどではないとしみじみ思う今日この頃。

一体、この世界の生態系はどうなっているのか…。

マジで、頭を抱えたくなったのは内緒だ。



兄弟とじゃれ合う。

さながら実戦のような激しさで…。

この瞬間が好きだった、なにも考えなくていい。

戦いの恐怖も、実戦の緊張もない。

ただ純粋に、力と力をぶつけ合える。

きっと、今の俺は笑っている。

なりよりも嬉しそうに、笑っているだろう。

そんな時、ふと違和感を感じた。


『ん?』


突然、動きを止めた俺に、兄弟が怪訝そうに首をかしげた。


『どした?』



今、一瞬視線を感じた気がした。

せっかくの楽しい時を、邪魔されたようで気分が悪い。

きょろきょろする俺をいぶかしむ兄弟。


『なにかいる?』


兄弟に聞くが


『んー、いない?』


首を振って答えを返す兄弟。

気のせいかと、この時は特に深く考える事はなかった。








しかしこの出来事こそが、今後の俺を大きく変える出来事の発端だった。








   



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