"Let's us laugh at Tragedy!"
月の夜は好きだ
石で作られた僕の躰でも、動き出して君を抱きしめられるから
君もそれを知って居て
月の夜になると、必ず僕の建てられた公園に君は来てくれる
言葉を交わす事は互いに出来ないけど
僕が守るように腕でそっと包むと、君は一雫だけ涙を流す
二人共、それ以上は必要が無くて
僕らはまた、それぞれの世界で生きるために離れ離れになる
君は気付いて居ないが、それをいつも男の子が視て居る
人間には視えない躰をして居て、人間から『幽霊』とも『悪魔』とも呼ばれる事が有る存在だ
彼も、君の事を愛している
しかし少年は君に触れる事も、話し掛ける事も出来ない
僕が君を腕に抱く夜、少年は涙を流す
声も無くひとしきり泣いたあと、感情の無い顔で僕を視て
そして、何処かへと去っていく
また、月の夜が来た
僕は君を抱きしめようと腕を広げたが、何かがおかしかった
君の背に腕を回した刹那、僕の足首が割れる
幾ら望もうとも止まる事の無い瞬間が、スローモーションで眼の前で繰り広げられていく
僕が、自らの切なる意志に逆らって、前へ前へと倒れ込んでいく
恐慌のようになりながら、地面に両手を突く
君を、押し潰してしまわないように
だけど
儚い音を立てて、僕の両手が砕ける
───神様
───神様、もし居るのなら
─────この人間を、どうかお救い下さい
僕の下敷きになって
君が果実のように、紅いものを躰じゅうから吐き出し続けて居る
それを絞って居る機械は、僕自身だ
地面に叩き付けられた衝撃で、僕の四肢はへし折れて、首はねじ切れた
ごろごろと僕の視界が転がっていく
転がった先で
あの少年を視界に収めて、僕の世界は静止した
彼は嗤って居た
君がいまどんな姿になって居るか、僕には解らないが
それでも、総ての末路を視て
少年は月光の下、泣きながら嗤い続けて居た




