雨宿り先は神様のいる場所でした。
いきなりの雨。しかも土砂降り。最悪だ。天気予報を信じたから、傘なんて持ってきてない。どこかで雨宿りしなくちゃ。
かといって、ハイキング中に迷子になったから、いい場所がない。近くに洞窟ならあるけど――なんか暗くて怖いな。でも雨の勢いはどんどん増してる。風邪を引くくらいなら――
洞窟に入るなり、寒さに襲われる。しかも外から見てたより暗い。本当にここで良かったんだろうか。まぁでも、入っちゃったんだし……
キョロキョロとあたりを見回すものの、特に何もない。大人しく入口付近で過ごそう。とはいえ入口に近すぎると風で雨が当たるし……ちょっと奥に入ったほうがいっか。
そう思って少し奥へ足を進めると、いきなり開けた場所に出た。
「え、わぁ。なにここ……」
見渡すと、中央近くに小さな祠がある。こんなところに、何の神様だろう。なんとなく手を合わせてお祈りしてみると、煙が立ち上って、端正な顔立ちの男性になる。
「えっ!? な、何!? 誰!?」
「……誰? 其方は巫女ではないのか? 久々に呼ばれたと思ったのだが」
「巫女……えっと、じゃあ貴方は、神様?」
私が聞くと、神様は驚いた顔をしてからふっと笑った。
「然り。私はここに祀られている。……そうだな。豊作の神とでも思うと良い」
「豊作の神様……」
その言葉を口で転がすと、不思議としっくりと来た。あぁ、この人は神様なんだ。
「巫女でない……となると、其方はなぜここに?」
「雨がいきなり降ってきちゃって、雨宿りに……」
神様はくすりとして、私の顔を覗き込んできた。
「なら雨がやむまでここにいると良い。其方の名は?」
「市子。神様、ありがと。ここにいさせてくれて」
「あぁ、構わない。……そうだ、イチコ。ここに来なさい」
そういって神様は腕を広げる。男性の姿をしているから緊張するけど、神様だし。近づいて座ると、抱きしめてくれた。
あったかくて、なんだか眠たくなってくる。歩き回って疲れたからかな。まどろんでいると神様の柔らかい声が聞こえる。
「眠たいのなら寝ていいぞ。雨がやんだら起こしてやる。だから、安らかに眠れ。イチコ」
見上げた神様の顔は優しい。駄目だ。このまま眠ってしまおう。あれ、でも――気の所為、か。まさか神様がそんなこと。
「おやすみ、イチコ。大丈夫だ。もう、ここでは雨をやませないから」
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