第8話 あらたななかま
ドラゴンが現れたとなると、上等な探索者がやってきて討伐するための戦闘が行われる。
その戦闘は、俺にとって大変有意義なものだった。
俺はその戦闘をよく観察し、ドラゴンと人間の戦いを理解することに努めた。
そうしていると、先ほど囮役にされた少女がやって来る。
「やぁ、お嬢さん。自パーティとの話し合いはじゅうぶんに行えたかな」
「出てきました。あんな薄情なパーティに留まっていたくないです」
「大丈夫か。ソロでの活動は稼ぎが少ない」
「はい。どうか貴方のパーティに入れてください」
少女は俺に頭を下げてきた。
「俺は構わないが、このパーティのリーダーは俺ではなく、こちらのミード・ガンデくんだ。ミード・ガンデくん。俺は彼女をパーティに加えても良いと考えているが、どうだろう」
「お前が良いなら良いんじゃねぇ?」
報酬は3分にされるから、多少減るが……その分働けばいいだけの話。俺にとっては大した問題ではない。
「ならば、歓迎しよう。ようこそ〈大宇宙頂点団〉へ」
「それが……パーティ名で?」
「そうだよ」
「すんごいかっこいいじゃないですか……」
本心で言っている……というのがなんとなく理解できると、その少女の表情がわかった。
「そうだろう。自己紹介をしよう。彼は先ほども言ったとおり、ミード・ガンデくんだ。このパーティのパーティ・リーダーをつとめる。そして俺は……ビカム・LAUGH・トゥギャザーだ」
「トゥギャザー……もしかして、トゥギャザー院の」
「君、トゥギャザーを知るか」
これは驚いた。
「私もそこの出身なんです。キュディ・トゥギャザー。キュディ・トゥギャザーって言います」
「これは奇遇だ。輝かしいものだね。運命っていうのは」
ミード・ガンデくんが、ひとりだけ話についていけないような顔をしている。
「俺たちはコンティネント8のパーレイコスという地域にあるトゥギャザー院という孤児院で生まれ育ったんだ。どうやら年齢も近い……」
「私たち、同時期にいたかも! 子供寮がオンボロで……200人もいるからお金がなくて」
「ふむ。懐かしい」
ふと、ミード・ガンデくんがこちらを見る。
「お前の金が必要な理由って」
「ミード・ガンデくん」
その言葉を慌てて止める。
「頂点に立ちたければ、黙っていろ」
昔先輩が言っていたことがある。
男は自分の頑張る理由を他人に無闇矢鱈と明かしたらいけない。それは「ダサい男」のやることだ。
「知ってますか? ビカムさん」
「なにをだい」
「トゥギャザー院、いま奴隷商の夫婦に狙われてるんです。それで、悪い弁護士とか詐欺師の手によって、法外な金を毎月出さないとって事になってて……私が探索者になって、ここに来たのもその為なんです」
無闇矢鱈と明かされた。
「そうか」
ドラゴンが討伐されたので、探索者たちが湧いた。
「頼もしい」