欲望
◇
粘性のある不快な汗が頬を伝い落ちる。
荒い息を吐きながら、手の甲で汗をぬぐう。
暑い……。冷房はガンガンに効いているはずなのだが、体の中から不可解な熱が沸き上がり続けているため、意味がない。
獣のような低いうなり声をあげた。
四畳半。小さな一人暮らしの部屋。部屋の大部分を締めているのは少し黄ばんだペラペラの布団。毎日宿主の汗をたっぷりと吸っているため異臭がする。
そんな布団の上には、場違いな美しい女性が横たわる。透き通るような白い肌。職場の制服だろうか?青を基調としたきっちりとした服を身に着けている。
規則正しい息。ピッタリと閉じたれたまぶた。女性は深い眠りに落ちているようだった。
震える右手をソロリソロリと伸ばす。指先が女性の頬に触れた。しっとりと柔らかく、自分の肌とは全く違う繊細な感触に震える。
飛び出さんばかりに目を大きく開き、瞬きを忘れて横たわる女をじぃっと見つめる。脳内に焼き付けるように、今この瞬間を生涯忘れぬように。
壊してやりたい。
唐突にそう思った。
目の前の少女を。繊細で美しいこの生き物を、ズタズタに引き裂き、汚してやりたい。
……いや、そうじゃない。
もう、自分に嘘をつくのはやめた。
女性の柔らかな腹部にそっと顔を近づけ、そして……
◇




