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欲望


 粘性のある不快な汗が頬を伝い落ちる。

 荒い息を吐きながら、手の甲で汗をぬぐう。

 暑い……。冷房はガンガンに効いているはずなのだが、体の中から不可解な熱が沸き上がり続けているため、意味がない。

 獣のような低いうなり声をあげた。

 四畳半。小さな一人暮らしの部屋。部屋の大部分を締めているのは少し黄ばんだペラペラの布団。毎日宿主の汗をたっぷりと吸っているため異臭がする。

 そんな布団の上には、場違いな美しい女性が横たわる。透き通るような白い肌。職場の制服だろうか?青を基調としたきっちりとした服を身に着けている。

 規則正しい息。ピッタリと閉じたれたまぶた。女性は深い眠りに落ちているようだった。

 震える右手をソロリソロリと伸ばす。指先が女性の頬に触れた。しっとりと柔らかく、自分の肌とは全く違う繊細な感触に震える。

 飛び出さんばかりに目を大きく開き、瞬きを忘れて横たわる女をじぃっと見つめる。脳内に焼き付けるように、今この瞬間を生涯忘れぬように。

 壊してやりたい。

 唐突にそう思った。

 目の前の少女を。繊細で美しいこの生き物を、ズタズタに引き裂き、汚してやりたい。

 ……いや、そうじゃない。

 もう、自分に嘘をつくのはやめた。

 女性の柔らかな腹部にそっと顔を近づけ、そして……


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