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第14話 そのメイド、仲裁する。

「だって……ルーシーさんの魔法って、人を殺す魔法なんですもの!」


 魔法を使ったメイド術の講義中に、人を殺すなんて物騒なセリフが響き渡った。



「ハイドラさん!! 今すぐその言葉を撤回しなさい!!」

「だって、事実なんですもの。ねぇ、ルーシーさん?」


 ……へぇ? あの子、ハイドラさんって言うんだ。


 っていうか、あの優しそうな先生が本気で怒っている。


 そりゃそうか。この世界で他人の魔法を馬鹿にすることは、単に喧嘩を売るってレベルを遥かに超えた侮辱だ。プライドの高い貴族だから、沸点も低い。


 

「ルーシー、大丈夫?」

「……」


 あんな態度をとられて、ルーシーはブチ切れて反論するかと思いきや。なぜか彼女は机に向かってずっと俯いていた。どうやら彼女にも、なにか身に覚えがあるみたい。あの勝気な彼女が青褪めて震えてしまっている。


 可哀想に……。

 過去に何があったのかは知らないけれど、だからってあんなに酷いことを言うことはないじゃない。


 私は彼女の肩に手を置いた。ビクッとして振り返る彼女と目が合う。


 心配しないでいいよ、と微笑んであげた。


 安心してね、あなたを助けてあげるから。


 だけどルーシーの様子を見て彼女がショックを受けたと喜ぶハイドラさんはさらに追撃を放った。



「ほら、新しいお友達にもちゃんと教えてあげなさいよ。貴女がその鎖魔法で私にやったことを!」

「私は……違う……違うわ……」


 鎖魔法?


 鎖ってあの、金属の輪で作られたひも状のアレよね?


 私が首をかしげていると、前の席の女の子がコソコソと教えてくれた。


 

「ルーシーさん、以前にハイドラさんと喧嘩しちゃって……でもハイドラさんが先に彼女へ手をあげたのよ。そうしたらルーシーさんの鎖魔法が無意識に発動しちゃって……」

「彼女を縛り上げて、痛めつけたと?」

「そうなのよ……」


 なによ、それ。そのハイドラさんだかハイカラさんだか知らないけれど、その子が勝手に自爆したようなものじゃないの!!


 確かに、場合によっては勝手に発動する魔法もこの世に存在している。


 だけどそういうのは大抵、自分が危ない目に遭った時に自己防衛する場合がほとんどだ。


 そういう仕方のない場合は罪には大きな問われないって、この国の法律でキチンと決められているのに……。



 それにルーシーは普段、冷たくてツンツンしているけど、それは彼女の本質じゃないのは私も分かっている。本当は優しくて、誰も傷つけたくないって思っているはず。


 私に対して初対面から冷たく当たっていたのも、自分と仲良くすれば他の生徒たちから私がイジメられてしまうとでも思ったのだろう。


 まったく。不器用な人なんだから……。



 そんな事を考えている間にも、ハイドラさんはどんどんヒートアップしていた。彼女は今にもルーシーに飛びかかりそうな雰囲気である。


 ルーシーの方も完全に怯えきっていて、今にも泣き出してしまいそうだ。


 こんな状況じゃ、いくら何でもあの子が悪いとは言い切れない。


 私は意を決して立ち上がると、そのまま二人の間に割って入った。



「いくら魔法は使いようっていっても、鎖の魔法なんて「そうかしら?」使え……えっ?」


 もう、いいでしょう。


 そろそろ私のルームメイトを虐めるのは止めて貰おうかしら?



「聞いて驚きなさいっ! 私の魔法は……メモ魔法よ!!」

「「「メモ……魔法……?」」」



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