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うちのダンナ詩集

両親のダイヤモンド婚式に

作者: 陸 なるみ

うちのダンナ詩集です。死別の辛い方はお避けください。


湯上りのしっとりした髪を指で梳いてみる

思ったよりしなやかで、まだいい女なのかもと

妄想したくなる


今日は両親のダイヤモンド婚式

隣は田んぼ、向かいは中学

あの田舎家でふたりはそっと祝うらしい


薬をのみ、病院にも行き、血圧を測り

それでもふたりは一緒なんだと

うらやむ気持ちが渦巻く


ボクたちはたった18年

君が愛した長髪を弄りながら

色の抜けた髪を眺めながら


遺影に向けて顔を顰めてみる

君が笑ってくれそうだから

「長さじゃないだろ」と聞こえそうだから


「じゃあこの髪切ってもいい?」

「いや、それとこれとは話が違う」

「…………笑」


英語だったはずの君の言葉が

ボクの中では日本語でファイルされていて

声色は思い出せるのに英語にできない


君の単語ひとつずつ、全部聞き取れていたわけじゃないんだ

それに最期の3か月は

大好きな声はもう潰れていた


こんな落とし穴があるなんてね

薄れゆく、薄れゆく、薄れゆく

滑りゆく、すべりゆく


抜け落ちる生



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i517735
バナー作成:秋の桜子さま。ありがとうございます。
― 新着の感想 ―
[良い点] 胸にぐっ…ときました。 こう言ってよいのかわかりませんが、言の葉のひとつひとつが美しいですね。 読ませてくださり、ありがとうございました。
2021/10/18 20:34 退会済み
管理
[良い点] ああ、じわじわと削り取られていくのは辛いですね…… 時間というものを感じ取れない時間のような気がします。
[一言] 一緒にいられる それはとっても幸せで素敵なことなんですね じんわりと沁みました
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