プロローグ(後編)
振り返ると、拳銃を手にしたまま脳天を撃ち抜かれ、そのまま倒れるガズの姿が映った。
「…隠し持っていたもう一丁の拳銃で俺を道連れにしようとしたんだろうが…相手が悪かったな。」
俺の相棒の存在を忘れていたわけではあるまい。
自滅覚悟で俺を道連れにしようとしたのだろう…が、どうやら彼女を舐めすぎていたらしい。
正体不明の敵に対しては慎重極振りで挑むべき。
最期に勉強になったな。
あの世か来世がありゃあ、活かせると良いな。
などとくだらないことを考えていると。
「ぼす〜!!」
明らかにこの場に不釣り合いな、無邪気な少女の声が響く。
「いっぱい殺したよ〜!ほめて〜!!」
満面の笑みで物騒なことを口にしながら俺の相棒が飛びついてきた。
「ハァ〜…」
わざとらしく深々と溜息をついた。
ダメだコイツ。
マシでヤベェわコイツ。
何でこんなの拾っちゃったかな俺…。
今すぐ過去に戻ってやり直したい気分だ。
「ガキが鉛玉ブッ放して脳ミソブチ抜いたくらいで一々イキってんじゃねぇよ。」
「えぇ〜、ベルが居なかったらボスだってあぶなかったくせに〜」
ぶぅっと頬を膨らませ、むくれる少女。
やれやれ。
そんなわけあるか。
せいぜい生き残る可能性が100%から7、80%くらいに下がるだけだろう…等と口にすると彼女の機嫌をさらに損ないかねないので死んでも言わないが。
「…悪いがこれからもう一仕事だ。それが終わったら、ゆっくり飯にでもしよう。」
「…ごはんっ!?」
目の色が変わった。
チョロいな。
「うまくいけば、ごちそうにありつけるかもなぁ。」
「ごちそう!ぼす、早く行こう今すぐ行こう!!」
「落ち着けよ。どこに行くかもわかってないだろうに」
…チョロ過ぎて心配になるレベルだ。
まあ、能力が文字通り化物でも、中身は所詮お子様か。
「じゃあ早く、次のおしごと教えて!」
「…はいよ。」
ため息混じりに答えつつ、出口へと向かう。
「それじゃ行くぞ、ベル。」
「うん!」
そうして俺たちは廃墟を後にした。
…数時間後、アドミミック商会は壊滅した。