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通学路

作者: 新田 船

『行き道』 


 とっ、と、と、とっ、とん 


 桜の模様の入った薄紅色の傘が雨をはじく。

 渡辺悠里わたなべゆうりは梅雨だからと祖母からプレゼントされた傘をさし、自身が通う梅里うめさと小学校に続く坂道をゆっくりと歩いていた。

 視界を遮るように傘を前に傾けているせいで、はみ出た部分は雨にあたって濡れてしまっている。とはいえ、ランドセルの防水は確りしているので中にある授業で使う教科書やノートが被害を受けることはないだろう。

 朝礼が始まる1時間前のため、通学路を歩く生徒は少なく、雨を嫌がり悠里の脇を足早に通り過ぎる。地面を勢いよく蹴った靴が水を跳ね、ズボンを濡らした。水を吸った衣服がじっとりと肌に張り付く感触を不快に感じても、悠里の足取りは重いままだった。


「学校、行きたくないな……」


 学年が上がってから口癖になっている言葉を呟いて、濡れたつま先に視線を落とした。

 


 この春、悠里は小学4年生になった。

 新学期初日、桜が舞う通学路を歩いていた時は、新しい学年に胸をときめかせていた。なぜならば、4年生から参加できるクラブ活動をとても楽しみにしていたからだ。

 悠里が希望していたのはパティシエの経歴を持つ女の先生が担当をしている調理クラブで、それゆえか調理内容はお菓子作りがメインであった。3年生の昇降口から校門までの道から見える調理室で少し年上のお姉さんたちがクッキーを作ったりしている姿がすごく楽しそうで、友達と4年生になったら一緒に調理クラブに入ろうね、と約束していた。

 

 しかし、期待という名の幸せな気分は、下駄箱横の窓ガラスに張り出されたクラス表を見た瞬間にあっさりと消え去ってしまった。

 クラス表にはそれまで友達だった子達の名前は載っておらず、そのうえ名前順の席ではクラスの中でもませている子たちに前後を挟まれる形となった。

 彼女たちは明るくてはっきりものを言う、女子や男子からも人気な、いわゆるクラスのリーダー的存在だ。いつも誰々ちゃんが何々君とこの前キスをしたとか、ついにブラを買ったとか、聞いているだけで恥ずかしくなることを赤裸々に口にする。自分達だけで話しているだけなら多少気まずくても気にしないでいられるのに、何故か彼女たちは「ゆうりちゃんはどう思う?」と声をかけてくるのだ。

そういう話題が苦手な悠里は聞かれると口ごもって、真っ赤になって俯くしかできなくなる。その悠里の様子を見て、「かわいー」と彼女たちは声を立てて笑う。

 彼女たちに悪気はない。多分クラスになじめない悠里を気にしてくれているんだろう。分かっているのに、上手く言葉もかわせずに縮こまっている自分が嫌だった。

 

 また、悪いことは重なることで希望した調理部も人数制限の関係で入れず、第二希望にも落ち、第三希望にてきとうに名前を書いた工芸部にはいることになった。

 そこは男の子ばっかりで女子は悠里しかおらず、活動内容である工作にもともとあまり興味が持てず、さらに同じ部員の男子が「自分のものだってちゃんと書いとけと」と言って組み立て中のラジコンのパーツにいじわるしたせいで、愛着がもてなくなてしまったのだ。


 学校の中に居場所が見つけられない。

 一緒にいる相手がいるという去年まで当たり前のようにできている事ができなくなっていることを学校に行くたびに思い知らされる。

 

「つまんない……」


 だからといって、一人ぼっちが理由で学校に行きたくないなんて、言えない。親にまで一人で寂しい子だなんて思われたくない。

 うつ向きがちに黙々と進んでいると、道路の半分を水たまりが占める箇所にさしかかった。悠里の心をそのまま表したような鈍色の空を写しているそれは、中途半端な舗装工事で数年前にできたものでPTAでも問題になっているが、長いこと放置されていた。

 長靴を履いているとはいえ、わざわざ水の中を進む気もなく、避けて通ろうとした時、鈍色の端に鮮やかな赤い色が映った。


「ゆ、う、り、ちゃん」


 甘さを帯びた高い声に名を呼ばれ顔を上げると、水たまりの向こう側に赤い傘をさした同い年くらいの女の子が立っていた。

 赤いのは傘だけではない。二つ分けされた長い三つ編みを結ぶリボン、ワンピース、長靴、手荷物用のバックも揃えたようにすべて同じ色をしていた。

 深くかぶった傘が顔の上半分を隠しているせいで、全体的な顔立ちは分からない。

 ただ、見たことがない子だな、と思った。


「だれ?」

「もぅ、ゆうりちゃんてば、同じクラスの×××××××だよ」


 ×××××××と少女に名前を告げられ、した。

 そうだ、彼女は『×××××××』。同じクラスで名前が後ろから二番目の子だ。


「そ、そうだったよね。ごめん、ちょっとぼーっとしてて。おはよ、×××ちゃん」

「うん、おはよぉ」


 挨拶をするとそのままの流れで二人は一緒に学校への道を進んだ。 

 クラスの子とは未だに上手くなじめていないため、この状況に気づまりを感じている悠里の内心も知らず×××は矢継ぎ早に話しかけてきた。


「今日、ちょっと寒いよねぇ」「今日の給食はあげパンなんだ。楽しみ」「夏の季語を調べる宿題なんてあったけ?」「あれ、追い抜いてった子の青いウサギさんの可愛い傘。最近あのキャラクターつけてる子多いねぇ」「『うさりっく』って、いまそんなのが流行ってるんだ」「うん、ちょっと流行に疎くて。私の知ってるキャラクターものっていうと、可愛い猿のお人形さんでぇ」「そう、名前の由来が『わたしの可愛いもの』からきてるんだ」


 勢いの良さにたじろぎながらも、心の底から話すのが楽しいと伝わる明るい声に、肩の力が抜ける。そうして少し気持ちに余裕ができ×××を改めてみると、元気な声とは裏腹に赤に囲まれた中でいやに青白い肌が目についた。

 その病的なまでの白さに具合が悪いのではと気になったが、傘をくるくると回しながら跳ねるように歩く様は元気な子供そのものだ。

 ×××の傘から飛ばされた水が右手にかかったので、少し距離を取ろうとした時、『うさりっく』の傘を見ていた白い顔が悠里の方を向いた。 


「そういえば、ゆうりちゃんが最近さしてるその新しい傘も、すっごくいいよね」

「そうかな?」

「うん、可愛いのに大人っぽくて。いいなぁ」

「ありがとう。これ、おばあちゃんがプレゼントしてくれたんだ」

「いいなぁ」


 自分が気に入っているものを褒められて悪い気はしない。照れくさそうに笑う悠里に、×××は自身の手にある赤い傘と見比べる。


「ねぇ。学校に着くまででいいから、その傘を私のと交換しなぃ?」

「え?」

「だめ?ほんのちょっとだけだからぁ」


 ほんのちょっとだから、と繰り返す×××に褒められたのは嬉しいし、お気に入りとはいえ消耗品というわけではないのだから、学校にいくまでの間ならいいかな、という気にはなる。   

 

「うん、……」


 悠里は自らの傘を差しだし、×××はその手を伸ばした。


「あ、ゆうりちゃん!おっはよー!!」


 その手が触れる直前、溌剌とした声が悠里の名を呼んだ。悠里が振り向く前に青い傘が薄紅色の傘の横に並ぶ。

 女子にしては少し低めのハスキーボイスは顔を見なくても分かる。後ろの席の渡来わたらい由佳ゆかだ。155㎝と4年生の中でも群を抜いて背の高い彼女は、少しかがんで悠里に視線を合わせるとにこりと明るい笑顔をみせた。


「お、おはよう」

「もー、この雨本当にやになっちゃうよね。それに入り口から風が入ってくると妙に肌寒くなるしさ、なのに先生ってばがまんしろってひどくなーい?」


 出席番号が一番最後で、教室の後ろの入り口に一番近い由佳はそう言って身震いした。ただ、大げさな仕草で寒い寒いというわりに、彼女の恰好は七分丈の薄手のシャツにショートパンツというお洒落重視で、明らかに防寒性を度外視している。

 去年のこの時期、変質者に遭遇して近所の家に駆け込んだこともあるというのに、格好を改める気はないらしい。

 ただ、成長途中のすらりと伸びた手足が小さく震える様は寒風に耐える若木の弱弱しさを感じさせ、何度かその姿を見かねて持っていた厚手のカーディガンを貸したことがある悠里としてはせめて羽織るもの位は持ってきてもいいのではないかと常々思っていた。

 

「それにさー……って、え、それ!」


 手を振り上げて女子にとっての冷えとは、を力説していたかおりは悠里のある一点を見て驚いた声を上げた。 


「右手!え、なに、怪我?大丈夫?」

 

 言われて視線を落とすと、手の甲を一筋の赤が伝っていた。

 怪我をした覚えもないのに、どうしてだろう。傘を肩にかけて、左手で手の甲を軽くこする。しかし、傷などは見当たらず、赤は傘から落ちた雨粒で滲み、水滴となって地に落ちた。



   


  

『帰り道』



 ぽつ、ぽつ、ぽつ


 屋根から落ちる雨だれが小さな音楽を奏でている。

 くるくると傘を回して、水滴を軽く飛ばす。誰かがいれば行儀が悪いと叱るだろうけれど、たった一人の帰り道、周りの目を気にする必要なんてない。

 手にはうさりっくの巾着を下げており、その中には部活で製作したラジコンが入っていた。

 完成品を持ち帰ることになったけれどそれを入れる袋を忘れてしまった悠里に、工芸部の先輩が去年製作した巾着を「よかったらあげるから使って」とプレゼントしてくれたのだ。 

 単純とは思うが、それだけで気分が上向いて足取りも軽くなる。意気揚々と坂道を下っていくと朝もあった大きな水たまりのある所にさしかかった。

 水が跳ねて汚れちゃうといけないからさけようとした時、後ろから声がかかった。


「ゆ、う、り、ちゃん」


 振り向くと直ぐ後ろに、赤い傘をさした同い年くらいの女の子が立っていた。


「きゃっ!」

「ごめん。びっくりさせちゃった?ゆうりちゃん、×××と一緒に帰ろっか」


 そこにいたのはクラスメイトの×××だった。

 ×××は水たまりを気にすることなく、足を進めると悠里の左に並ぶ。ぱしゃん、と水が跳ねた。


「今日はクラブで何を作ったの?」

「ラジコン」 


 中に入っていることを示すように、うさりっくの巾着を持ち上げる。


「あれ、そんな巾着持ってたっけ?」

「ううん、今日先輩にもらったの」

「……へぇ、そうなんだぁ」


 赤い傘をくるりと回すので、水がかからないように少し距離を取った。


「いいなぁ、羨ましい」

「✕✕✕ちゃんは、今日はクラブどうだった?」

「どうって?」

「えっと、クラブでどんなことしたの?」


 低い声で聞き返され、思わずたじろぐ。それでもなんとか言葉を紡ぐと、今度はきゃはは、と高い笑い声が返される。


「やだもう。私達おんなじクラブなんだからラジコンを作ったにきまってるじゃない」

「……そう?うん、そうだったね」


 そうだ。彼女は悠里と同じクラブだった。なのに、何してたの?なんて聞くなんて、私のバカ。


「そういえば、次に作るのはなんだったけ?」

「えっと、確か切り絵だったよね」


 黒い紙を切り抜いて、その裏に色紙をはって作るそれのモチーフは自分の好きなのを選べるので、悠里は密かに楽しみにしていた。

 また、席グループも入れ替えることになり、いつも意地悪してくる男の子とは席が離れることになった。気分も上向きになるというものだ。

 

「切り絵かぁ。ゆうりちゃんは何の絵にするの?」

「チョウチョとチューリップのどっちかにする予定」

「へぇ、じゃあ私はチョウチョにしようかなぁ」

「なら私はチューリップにするよ」


 二人でくすくすと笑い合う。


「少し、遠回りしてかえろうよ。ね?いいでしょ?」

「いいよ」


 いつもの通学路から少し外れ、人気のない道を歩く。舗装の悪い道だけど、そんなことを気にせずに二人は歩く。とりとめもなく、他愛ない出来事をただ話すだけの時間。

 ✕✕✕は悠里のことを聞きたがる。優しい家族、たまに遊んでくれる近所のわんちゃん、集めているキラキラのシール。

 クラスにうまく馴染めていなくても、多少の嫌なことがあったとしても、悠里の世界はふわふわした温かいもので構成されていた。


「もったいないなぁ」

「?何が?」

「なんでもないわ」

「そっか。そういえばわたしのことばっかりだけど、✕✕✕ちゃんはどんなものが好きなの?」

「わたし?わたしはね……」


 続く言葉は、車のエンジンの音が聞こえてきたことで中断された。

 二人は道の端による。車は水しぶきを生み出しながら、歩行者に配慮することなく二人の横を通りすぎた。

  

「きゃっ」

「ゆうりちゃん、大丈夫?」

「う、うん」


 大丈夫と返事をしたものの傘でガードしきれなかった、うさりっくの巾着が水をかぶってしまっていた。バッテリーに水がかぶってないかと慌てて取り出しす。


「ゆうりちゃん。巾着持つよぉ。あとこのハンカチを使って」

「ありがとう」


 お互いに交換する形で渡すと、ハンカチでラジコンのぬれた部分を拭う。布の厚みがあったおかげで表面がほんの少し湿った程度ですんだようだ。


「大丈夫みたい。ありがとう。ハンカチは洗って返すね」


 ほっと息を吐く。慌てていたとはいえ、自分でもハンカチを持っていたのに悪い子としたなぁと、巾着を返してくれるよう手を出した。

 

「ううん。それは☓☓☓ちゃんのだもん」


 え、と弾かれたように顔を上げる。


「ふふっ。どうしたのぉ?不思議そうな顔をして」


 全身に赤をまとった女の子は、くるくると傘を回す。赤に埋もれるようにしてある青いうさぎの巾着が、いやに目についた。


「違うよ。私は……」

「そぉ。私が『わたなべゆうり』で、あなたが『☓☓☓☓☓☓☓』」

「わたしが?」

「もう、☓☓☓ちゃんってば。どうしちゃったの?」


 強い語調で言われ、気圧される。

 目の前の彼女が一歩近づく。赤い手を突き出され、思わず傘を少し前に傾けて、赤を柔らかい薄紅色で隠す。持っていたハンカチがひらりと地面に落ちた。


 おかしい。何か変。

 でも、何が?


 ぐるぐると目が回るような気持ち悪さに、手元にあるものを無意識に握りしめた。

 それの少し尖った部分が指に刺さり、視線を落とす。ラジコンだ。そう、確かクラブで作ったものだ。そして、その裏には『わたなべゆうり』とマジックで書かれていた。


 そうだ。私の名前は――


「『わたなべゆうり』は、私だよ……」


 絞り出すような声は小さかった。それでも、赤い女の子には届いたようで近づいていた動きがピタリと止まった。






「チッ」






 ぼちゃっ、と何かが落ちる音で我にかえる。

 音のしたところに目を向けると、うさりっくの巾着が水たまりに落っこちていた。

 慌てて拾うが、大部分が汚れてしまっている。その上、持ち手の紐の部分が赤く染まっていた。せっかくもらったものなのに、と気落ちしていると後ろから声がかかる。


「おい、ゆうり。なんでこっちの道にいってるんだよ」

「!?っ、だいちくん」


 振り向くとクラブの意地悪な男の子--本木大地は、傘も差さずに道の中に立っていた。悠里が名前を呼ぶと、ずんずんと近づいてきて目の前に筆箱を差し出した。犬のシールがはられているそれは悠里のものだ。


「忘れもん届けに来た。寄り道すんなよ。探すの大変だっただろ」

「あ、ありがとう。ごめんね」

「ランドセルに入れてやるから、後ろ向け」


 悠里は受け取ろうと手を出すが、大地はその手にある汚れた巾着に顔をしかめてそう言った。

 言葉に従って後ろを向いて、筆箱を入れてもらう。錠前を閉める音に、振り向いて改めてお礼をいうと「別に」とそっけない返事が返ってくる。


「……そのうさりっくの、どうしたんだよ」

「えっと、なんか落としちゃったみたいで」

「相変わらずどんくさいな。なら、早く帰ったほうがいいだろ。なんでそんなとこでぼーっとしてんだよ」

「うん、じゃあさようなら」


 その物言いにすこしカチンときたものの言い返す根性もないので、さっさと切り上げようと別れの言葉を口にする。


「は?」


 不満をにじませた声に体がすくむ。大地はそんな悠里の反応に、質問の答えを間違えて慌てたときのような顔になった。気持ちを落ち着かせるためか頭をかいて、視線を彷徨わせる。


「あ~、っとそうじゃなくてだな。帰る……いっしょに、帰ろう」


 普段の居丈高な物言いとちがい、歯切れの悪い、でも優しい言い方で悠里に手を差し出す。 

 見慣れぬ態度にどう反応していいか困っていると、じれた大地は悠里の手から巾着とラジコンをひとまとめに奪うと、空いた方の手で悠里の腕をつかんでそのままきびすを返す。


「どうせ違う道歩いてたせいで、迷子になってたんだろ。ほら、行くぞ」


 引っ張られるままに、その後ろをついていく。

 迷子になっていたわけじゃない。一緒に寄り道をしていただけなんだから。そう内心で反論して、ふと、後ろを振り返る。

 でも、そこには誰もいない空間が広がっていた。

 

 私はなんでここを通ることにしたんだっけ?

 

 気がつけば遠くの空が晴れ、夕暮れの太陽が道を照らしていた。雨はまだ降っているけれど、あと少ししたら止むだろう。

 梅雨も、もう少ししたら終わる。

 

 だから会えるのはまた今度。


 無意識に浮かんだ言葉は、意識されることなく悠里の心の奥に沈んだ。

 








「いいなぁ」


 去って行く二つの陰に、×××は羨望の眼差しを向ける。


「可愛い桜柄の傘。うさぎさんの巾着。優しい家族に、気にかけてくれる明るいクラスメイト。素直じゃない男の子。やっぱりああいう恵まれてる子がいいなぁ」


 夕暮れで伸びた影が傘の下で一つになる。☓☓☓が喉から手が出るほどに欲しいものを、気づかないまま当たりまえに享受しているあの子が羨ましくてたまらない。


「こんどはもっとうまくやらなくちゃ」


 桜柄の傘についた赤い手形が雨に溶ける。

 

 次に雨が降るのはいつになるのだろうか。

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