11. 橘 妃音ーーーー赤いクーペの女性。(挿絵あり)
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PM14:35 スマホの時計を確認して
「そろそろ戻らないと。」
陸はそうミクニに声をかけバスの方へと向かう。
少し離れた位置にエンジンを切った状態で停まっている赤いクーペ。
中には橘 妃音。
陸が赤い魔女だと呼んだ女性が1人乗っていた。
前回は、皆で集まった時に掌から光の玉を出して魔法を披露した。
それによって月斗は炎の魔法が使える様になり、陸も少しばかり地面を盛り上げるというショボい能力を披露した。
この世界での魔法の存在を皆に認知させた存在……。
しかし今回は何故か1人、別行動をしている。
陸は険しい表情で運転席に目を向ける。
辺りが暗くてハッキリとはわからなかったが運転席のシートが動く影が見える。
どうやらシートを倒してひと寝入りでもするのだろう……
陸は無言でその場を後にした。
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2人が車内に戻ると
「長っげーーーなぁ!連れウンか?」
奥から誰かの声がする。
「うるさいわね!死んで!」
ミクニはそう一喝すると相手も見ずにバスの後方に位置する自分の席へと着いた。
陸も仮眠をとっている月斗の後ろの席に座る。
運転手の三原が「他にトイレに行く人居ませんか?」と生徒たちに声をかけるとゾロゾロと何人かが外に出て行った。
トイレといってもそんな場所がここにあるわけでは無く、みんな思い思いの場所でそれぞれが用を足した。
5分もしないうちに全員が戻ると、三原が
「では、ドアを閉めますね。」と皆に伝えてバスの唯一の出入口である自動ドアを閉じた。
陸はスマホを眺める。
PM14:52
さすがに伏見が居ないとLINEは使えないか。
伏見 雷蔵。
前回の旅で一緒だった2年のメンバーの1人。
名前のイメージから雷.電気系の魔法を使う。
通常、あの時一緒だった梶曰く、異世界で雷属性と言えば電撃でしょ?って言われていたが、実際はスマホの充電やLANの様なWiFi然りの能力で運転手の三原さんから能力名を「異次元パケット」と呼ばれていた。
戦闘には使えないけど……アレはアレですごく役にたったな…
この世界だとスマホも充電出来ないし……
しかし驚かされる事ばかり…だ……。
そんな事を考えていると陸はまだ時間的には15時くらいだというのに、周りが真っ暗なのもあって眠気を感じ…すっかり寝入ってしまった。
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異変に気付いたのは陽が昇り辺りが明るくなったときだった。
車外から日差しを感じる。
外がやけに騒がしい。
スマホの時計を見るとPM17:54。
陸が眠りについてから3時間程経過していた。
この世界では約6時間毎に陽が沈み、6時間ほど灰色の月が暗く輝いている。
バスのドアは開いていて何人かが外に出て騒いでる様だった。
顧問の堂島先生や運転手の三原さんの姿もない。
陸は前の席でシートを倒してスヤスヤと寝息をたてて眠っている月斗を揺り起こした。
「月斗!外の様子が変だ!」
何事かと、目を開ける月斗も外の異変に気がついた。
陸はバスの中を見渡し後ろの方の座席で眠っているミクニに気がつく。
陸がミクニに近づいて起こそうとする前にミクニのつり気味のハッキリした目がパチリと開いた。
「ん?どうしたの?」
「わからん!外が騒がしいんだ。」
陸はそう言うと車内を駆け出し、先に車外に出て行った月斗の後を追った。
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騒ぎはバスから離れて停まっていた赤いクーペの辺りからだった。
車体の周りに生徒たちが集まり、堂島先生と運転手の三原さんの姿もある。
その横で地面にうずくまり泣いている天道 京華を抱きしめて必死で宥めている南 千里がいる。
その南の顔面蒼白の目にも涙が浮かんでいた。
何事かと思い陸と月斗、三国が堂島先生の方へと駆け出す。
「何かあったんですか?」
陸の問いに堂島は赤いクーペを指差し
「見ない方がいい…」と3人に告げた。




