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第40話 丑三つ時にわかる真実。

2時。

世間でいう丑三つ時というやつ。


早めに寝る宣言をして、侍女たちに下がってもらう。

そしてベッドにギュウギュウとクッションを詰め、寝ている偽装工作。

計画通りにリオンの部屋へと集まる。


何故リオンの部屋かというと。

リオンの部屋は私たちが泊まっている2階のゲストルームではなく、1階で出入りがしやすかったから。

こんな時間まで起きてることも初めてなので、頭がグラグラと首がすわってない赤ちゃん並みに揺れる。

私たちは見回りが済んでから時間前に裏庭の倉庫に身を寄せていた。

子供3人が入ると結構ギュウギュウだけど、おかげで寒くない。


「……エステル、大丈夫か?キツかったら肩を貸すから言ってくれ……」


「なんだったら僕も支えるからね……」


「……いや、それば俺がやるので遠慮する……」


「なんで殿下が答えるんですか……」


「……それは俺が、婚約者だから……」


「……候補に格下げでは?ということは将来的には僕にもチャンスがあるかもということですよね?

僕の爵位にも問題はないわけだし、エステルがうちにお嫁にくることもなんの問題もないわけで……」


「……それはない……!俺が婚約を解消することはない……!」


「そんなのわからないじゃないですか。エステルに愛想尽かされるかもしれませんしね?」


リオンがエリオットにペロッと舌を出す。

エリオットは驚愕した顔で固まった。


「……うー、もううるさいよ二人とも。」


半寝の私は、眠いのでイライラしている。

私を真ん中に挟んで、何やらキャッキャと楽しそうに会話をする声を制す。


「さっきからごちゃごちゃ何を話しているか知らないけど、もっと静かにしないとバレちゃうでしょ!」


だいぶ小声で二人を睨みつけた。


「……今の会話、全く聞こえてないのか……」


「……聞いてないようだね……」


二人が私を見て残念そうな顔をする。

なんか大事な話でもしてたのか?


「……仲良くなってよかったね……?」


総合的に勝手に理解した。

だってもう眠いよ。

ううう……。


ガクガクする頭にぼーっと一点を見つめる私。


「エステル、眠いの?」


リオンが私の顔を覗き込んで、前髪を整えるように指で撫でる。

返事もせずに睡魔と戦いにながら、一点を見つめている私。


「……おい、触りすぎだろう!」


「今なら何も覚えてないだろうから触り放題だよ?」


リオンがクスリと笑いながら斜めになった眼鏡をかけ直してくれた。


「……流石にそれは俺の信念に関わる……」


「僕もこれ以上は無理だけどね……」


そう言いながら二人で溜息をついていた。



ハッとして時計を見ると2時になろうとしていた。


「そろそろだね……」


リオンが言った。


「いよいよだよ。」


私が答えた。


2時を少し回った時、フロアさんに続いて、ダイアンさんが勝手口を開けて裏庭にやってきた。

二人の姿を目視して、一瞬で目が冴えわたる。

私の拳にも気合が入る。


「ダイアン、ありがとう。会えて本当に嬉しいわ……」


夜風がフロアさんの髪を揺らす。

ダイアンさんはその様子を見て、微笑みながらフロアさんの口元についた髪の毛を指ではらう。

その仕草にフロアさんも微笑み返した。


「フロア……」


フロアさんを見つめるダイアンさん。


「ダイアン、元気だった?」


フロアさんとダイアンさんが見つめあう。

目線は外さず、二人は微笑みあった。


「……ずっと……に、会いたかったわ。」


「……俺もだよ……」


風の音で所々が聞き取れず、思わず身を乗り出した。


ダイアンさんのエスコートをして、フロアさんが私たちが先ほど会議した椅子に腰掛けた。

それを見ながらダイアンさんも目の前の椅子に座る。


……二人とも近すぎない……?

距離感!!

距離感ヤバい。

こっちからだとチューでもしそうな雰囲気だし。


「最近どうなの?体壊したりしていない?」


「俺は相変わらずだよ、フロアは?…旦那さんは大丈夫なの?」


「ジョージは家具の事になると周りが見えなくなるから……しばらく出てこないと思うわ……それよりも。……あなたは大丈夫なの?誰にもバレたりなんかしてないわよね?」


「……当たり前じゃないか……!こんな事誰かにバレたら……」


ダイアンさんは焦った顔を見せるが、フロアさんは微笑んでダイアンさんの手に自分の手を添える。


「……大丈夫よ。誰にもバレやしないわ……」


その言葉にダイアンさんの表情も少し明るくなった。


……やばくない!?

決定的じゃない??

二人はやっぱり……付き合ってる!?


眠いのに目が冴えているという、アドレナリン全開で変なテンションになりそうな私。

それとは裏腹に、リオンの顔色が悪くなっていく。


青い……。

青すぎる。


そりゃこんなとこ見たらショックよね……。

わたしは思わずリオンの背中にそっと手を置いた。

リオンはびくりと体を強張らせたが、私だと気がつくとホッとした顔で私の手を握ってきた。


思わずリオンの顔と繋がれた手を交互に見比べる。

……なんで繋がれたんだろう、この手。

きっと不安だったからか?

そうかそうか、リオン可哀想に……。


ちょっと姉の気分で優しい眼差しをリオンに向ける。

リオンはそれどころじゃないので、握った手に少し力がこもった。


私とリオンが手をつないでいる事を気がついたエリオットが、私の反対の手を握ってきた。

エリオットも不安になっちゃったのかな?

流石に10歳には刺激が強すぎる昼ドラ展開だからな……。


でも。

これだと私の鼻が痒くなった時どうしたらいいんだろう?

両手が不自由になってしまった不安感に包まれる。

あ、そんなこと思ってたら、鼻が痒くなった気がする……!


「……それで、持ってきてくれたの?」


フロアさんがそういうと、ダイアンさんは分厚い封筒を腰バッグから出した。


「……ああ。だがフロア。俺が関わるのはもうこれで最後にして欲しい……。」


嬉しそうなフロアさんとは逆に困ったような顔をするダイアンさん。


「……何を言い出すの!?あなたが出来なくなったら私はどうしたらいいの……!」


「だが俺の立場上これ以上関わるのは…。俺ができる償いはした筈だフロア……」


「そんな……!もしもの時は助けてくれると言ったじゃない!償いなんて……これじゃ……」


「……フロア……。」


フロアさんは半泣きでダイアンさんの手を封筒ごと包んだ。


おおっと、状況が変わった。

フロアさんはもしや婚約破棄のことでダイアンさんを脅していたとか……?

金品をずっと要求していて、これで最後にして欲しいと懇願するダイアンさん。

それを拒否するフロアさん。


これはこれでやばくないか……!?

私が焦っていると、リオンの顔色も青から土気色になっていた。

口が半開きになり、まるで土偶。

息をしているのか!?


心配になってリオンに小声で声をかけようとする。

そのタイミングでリオンが私と繋いでる手に力を込めた。


「痛ぁ!!」


思わず私が叫んでしまう。


あ、しまった。


あっという間に上司騎士の前に引きずられる。

みんなで手をつないだままゾロゾロと。


フロアさんは私たちの姿を見て、悲鳴に近い声を出した。


「リオン……!」


口元を両手で覆い、青ざめるフロアさん。


「姉さん、どういうことですか……?」


リオンが口を開いた。


「お二人はまだ続いていたのですか?」


「……いや、違う。そういうことは断じて……」


「じゃあ、姉はあなたを脅していたのですか?この封筒はなんですか?」


慌てて封筒を隠そうとするフロアさんに、素早くリオンが手を伸ばした。

封筒はリオンとフロアさんの間から滑り落ちる。

そして中からたくさんの紙がバラバラと散らばった。


私は一枚拾う。


「ああ、エステルちゃん、ダメ……!」


フロアさんは慌てて私からその紙を引き取るが、風に舞い上がりもう一枚私の手元にきた。


「ダメ!!みんな返して!」


フロアさんは必死に紙を回収しようと慌てた。


紙に目を落とす。


「……!!」


私は言葉を失った。

リオンもエリオットも拾った紙を持ったまま固まっている。


フロアさんは両手で顔を覆う。

私は静かに紙をフロアさんに向け、口を開いた。


「……これ、セドリックの写真……?」


「あああああ、バレてしまった!」


がくりと肩を落とすフロアさん。


……は?


頭が真っ白である。


紙の束はどれもセドリックの写真というか、精巧に書かれたいわゆるプロマイドというやつだった。

お昼寝するセドリックだったり、果物を美味しそうに食べるセドリック。

はたまたよそ行き顔で笑うセドリックなど、何パターンもあるセドリックだらけだった。

とてもよくかけている。

絵の中の彼は天使のようだ。


リオンとエリオットはドン引きしたまま固まっていたのだ。


「……これは。」


「……これはいわゆるプロマイドというやつで。」


ダイアンさんが重い口を開いた。


「……エステル様は知らないと思うけど、うちの王子達って結構アイドルみたいに崇拝されているんだよ。特に侍女とか……。」


……はぁ!?

アイドル?

腹黒がアイドル……!?


ものすごく信じられないという顔でダイアンさんを見る。

ダイアンさんはその反応に苦笑いして続けた。


「……絵に描く分は性格とか関係ないんじゃない?というか近しい人以外はセドリック殿下の性格バレてないからね……」


ダイアンさんが深く息を吐いた。


「あの顔!本物の天使のようだわ……!尊い……!」


フロアさんは何故かエリオットに向かって拝み始める。

エリオットがひどく怯え、慌てて私の後ろに隠れた。


ていうか天使はうちの兄と妹ですけど!?


「なぜ、ダイアンさんがこれを……?」


二人が使い物にならなさそうなので、私が話を進める。


「いつもは侍女仲間だったユーノに手紙で送ってもらってたの。でもダイアンがこっちにくると聞いて、新作が待ちきれなくて持ってきてって頼んだのよ。手紙だと送れても10枚ぐらいが限界だしね……。こんな大量になんて、手渡しじゃないと無理ですもの!」


フロアさんが吹っ切れたのか興奮気味に話す。


「……フロアさん、クリント君から聞いた話なんですが、宰相と『王都に好きな人がいるから帰りたい』と言ってたのって…?」


「……好きな人?ユーノにプロマイド貰いに王都に帰りたいとは言ったけど……。あと、あわよくば生セドリック様も拝みたいとは思ったけど、まさかこっちに遊びにきてくれるなんて……!」


『エステルちゃんに足向けて寝れないわ!』と私の手をつかまれた。


……向けて寝てください!

というか、クリント君聞き間違いかよ!

『好きな人に会いに行きたい』じゃなくて、『好きな人を見に行きたい』だったのでは……!


「……クリント君の反抗期の原因がその会話を聞いたことで不安感に襲われたことだと思います……夜中に起きてその話を聞いたと言ってました」


フロアさんがハッとする。


「そんな、私が好きなのはジョージよ。他にいないのに誤解させてしまうなんて……」


「……じゃあお二人が逢い引きなんてことはないのですよね……?」


「「あるわけがない!」」


二人の声が揃う。


その声にリオンが意識を取り戻すようにビクッとした。


「……ていうか、『これで最後にしてほしいって』仰ったのは、何故です?……あと、償いとは?」


ダイアンさんの顔を見つめる。

ダイアンさんは気まずそうに鼻を指でかいた。


「自分が担当してる王子のプロマイドを配ってるなんて知られたら、情報漏洩とかになりかねないだろう……」


……いや、ならねーだろ!!

思わず顔から表情が消える私。

まぁ、セドリックにバレたら、一生奴隷にされそうですが。


「……償いに関しては、婚約破棄の罪を全部被せてしまったことだ……。」


ダイアンさんは両手で頭を抱えて溜息を吐いた。


「そもそも私たちの婚約だって、私たちの仲を誤解したお互いの両親が勝手に約束しちゃったものだし。」


フロアさんも胸に手を当て『ふう』と小さく息を吐く。


「そうだ、俺たち別に気になる人がちゃんといたし……」


「なんとか婚約破棄出来ないかと悩んでた時、ある噂を聞いて二人で乗っかろうと。……計画して噂を流したのよ」


リオンがギョッとした顔をする。


「そんな、姉さん……。その噂でウスダルト男爵にお嫁行かされたんだと……僕は……!」


眉間にしわを寄せて、フロアさんを睨みつける。


「リオンごめんなさい……。私のせいであなたを苦しめてしまったのね……」


フロアさんの目に涙がたまる。

リオンはそれをじっと見ていたが、ふいに目を逸らした。


「僕は、バカだった。事情も知らないでずっと姉さんを……。姉さん達は最低だ……この噂のせいで、僕は……」


「リオン君、申し訳ない……。お互いの為にどうしても必要だったんだ……。妻ユーノのお腹の中には既に俺の子供が宿っていたし、それなのに結婚の話がズンズン知らない間に進んで行くしで俺たちも焦ってたんだ……」


ダイアンさんがリオンに頭を下げる。

リオンはそれを見ようともせずただ拳を握る。


……破棄してすぐ結婚したのは、デキ婚したのね……。

ていうか、婚約前に既に手を出すというダイアンさん……。

4年前だから、15歳でデキ婚とか……。

確かに15歳は学園に入学できるし、ある程度成人とは認められますが、それは流石に……引くわ。


「なんでそれを両親に伝えて解消してもらわなかったんですか?」


私の問いに、二人が顔を見合わせた。


「私が結婚したかったのはジョージなの。ジョージは私が侍女をしてる時に家具職人として城で働いていたの……。身分も違うし、ジョージは妻が亡くなったとはいえ結婚歴もあり子供もいた。

絶対許してもらえないと思ったの……。」


「……俺もユーノの身分が低くてね……。自分に結婚に関して傷でもつかない限り、ユーノを貰い受けることが難しかったんだ。」


「……そんな自分勝手な理由で、僕らは振り回されたのか……」


リオンがボソリと呟いた。


「……本当にすまない。」


「……エステルが王子に掛け合って王からの謝罪の手紙がきたのを知ってますか?セドリック殿下がやってもいない罪を背負ってしまいました。僕はそれを知らないので、彼を攻めて、恨んだ……」


フロアさんもダイアンさんも黙った。


「……だから言ったのに。誰も幸せにならないよって。」


振り向くと大アクビをしながらセドリックが立っていた。


「あのさ、僕こういうキャラじゃないわけ。だからこの辺でもうやめてくんない?」


シレッとした顔で眠そうに立つセドリック。


「何時だと思ってんの?もう夜が明けちゃうよ。リオンはもうウダウダ悩みすぎなんだよ。僕がもういいって言ってんの、そう深く考えられるとすごく迷惑。」


腕組みをしてリオンを睨む。


「ですが、僕はあなたに大変失礼なことを……」


リオンが泣きそうな顔になる。

思わず私はリオンを支えた。


「だからぁ、穿り返すなって言ったよね?キミも兄上も真面目すぎるんだよ!そーいうとこがすごく迷惑。もっと柔軟に物事を考えないと面白くないから!」


私がリオンを支えたとこを割って入ってきた。

リオンがびっくりしている。

いや、私もびっくりしている。

…なんで割り込んだ?


「僕のせいでいいんだよ。もう解決してんの!この話はここで終わり。そろそろみんな起きだしちゃうし、ウスダルト家のひとり息子にまたいらない心配かけることになるんじゃないの?

リオン、君はエステルをなんのためにここに呼んだの?

何を解決させたかったの?」


はい。クリント君の悩みを聞いて、解決する事。

あと、フロアさんの赤ちゃんの事。


割り込んできたセドリックが、私の代わりにリオンの肩を支えていたのだが、それを突き放す様に手を離した。


リオンが少しよろけながらバランスを保とうと踏ん張る。


『さっさと解散しろ』とセドリックが踏ん反り返りながら、親指を外に向けた。


その仕草を見て、リオンはセドリックを見て申し訳程度な笑顔を向けた。


みんな無言で各自の部屋へと向かう。


「セドリック殿下、僕は……」


リオンがセドリックに何かを言いかけると、セドリックが怪訝そうな顔をして言った。


「やめてよキモいから。リオンはいつも通り僕を嫌悪で睨んでくれないと!僕その顔見るとゾクゾクするんだよね」


と、ドM発言したところでリオンが引いた。


みんな眠いので素直に各自の部屋へ早々と帰る中、セドリックだけは私の部屋の前までついてきた。

思わず私はセドリックを見詰める。


「……アイドルだってさ」


思わず笑ってしまう。

顔は確かに綺麗な顔をしているけど、腹黒アイドルなんて……と笑いがこみ上げてくる。


「なに?喧嘩でも売ってんの?」


そういうと私の頬をガッと掴む。


「いったたたたた!やめて!痛いから!」


私がセドリックの掴んだ手を引き離そうとふり払う。


セドリックは私の痛がる顔を満足そうに見つめると。


「エステル寝るんでしょ?僕も一緒に……」


……最後まで言葉を聞かないで、私は扉を閉めた。

油断も隙もない。


そして閉めた扉を背に、また笑うのだった。


私が起きたのはもう昼もすぎだった。

……うう、まだ眠い。

お日様がしみる。

体験したことがないが、二日酔いとはこんな感じだろうか。


ノロノロと起き出すと、もうみんなサロンでくつろいでいた。

リオンも普通にフロアさんといつも通り話していたし、クリント君が昨日と打って変わって表情が明るくなった。

そしてフロアさんのお腹に耳を当てていた。

フロアさんが嬉しそうにクリント君を抱きしめた。


セドリックのおかげでリオンとフロアさんは最悪の結果にはならなかった。


なんだアイツ、やるじゃん。

実はいいやつか?

なんてセドリックの評価が少し上がったところで、また急激に落ちる結果となる。


「そういえば、得したのって誰なんだろう?」


こっそりセドリックに聞く。


「得したのって?」


「この間いってたじゃん。『その噂で得した人がいるってことだよ』って」


セドリックはうーんと考えて、にっこりと笑う。


「僕だよ」


「は?」


「得したのは僕。」


「は!?」


意味がわからない。

今回の件で、一番損したならわかるけど、得をしたというのは?


「この噂のことで、僕の悪口言ってたやつ炙り出せたんだ。ひとりどうしてもわからなかったんだけど、ダイアンがこの噂を流す時にひとり妙に食いついた奴がいたんだよ。」


「……それで?その人をどうしたの?」


思わず生唾を飲み込む。


セドリックは私ににっこりと微笑んだ。


「そんなの二度と悪口言えない体にしたに決まってるじゃない?素晴らしいおもちゃを手に入れたし。」


……は?

どの様になんて怖くて聞けない。


「まぁエステルは今回いい仕事してくれたよね。あれだけリオンに僕の事推してくれたら、リオンはこれで僕に恩があると思ってるだろうし。奴隷が一人増えたなぁ」


そういうととても素晴らしいぐらいに顔を歪ませて笑った。

……久しぶりにその顔を、見た。

すごい顔でドン引きする私。


「ダイアンも結局僕に逆らえないんだよね。この件で弱みを握ったし」


『んー』と人差し指を顎に添える。

可愛い仕草と裏腹な言葉が口からたくさん出てる。

ギャップすご!

ギャップ凄いけど全く萌えない!


てかやっぱあなた、腹黒悪魔だわ……。

私は小さく肩をふるわせて苦笑いした。


なんか最後にセドリックに丸め込まれた形になったけど、無事クリント君とフロアさんの事件は解決した……よね?


私は一人で、乾いた笑いを浮かべるのだった。

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