九十七話 欧二郎と健四郎
「はあーあ」
昼食時、食堂で欧二郎は課せられた命令にため息をついた。
「まさか彼があそこまで魔法使いを狩っているとはな」
健四郎が彼の前にお盆を置いて言う。
「百舌鳥さん、彼のこと知ってたんですか」
欧二郎が言う。
「一度だけね、あの時は大して強くなかったよ。彼はなぜ魔法使いになったんだい?」
「彼に売ったんじゃないですよ。元は彼の兄に売ったんです、恋人の仇を討ちたいとか言って必死に俺たちを探してたんですよ」
欧二郎が腕を広げて言った。
「恋人の仇か、美しいな」
健四郎が髪をかきあげて言った。
欧二郎はこの男とは分かり合えないと思った。
「で、その兄が死んだから弟が手にしてその仇から俺っちまで辿り着いたんすよ」
「熱心なやつだ、美しい」
健四郎がまた髪をかきあげた。
やはりこの男とは分かり合えないと欧二郎は思った。
「それでその仇が魔法使いだからそいつを魔法使いにした俺っち達が悪いとか言ってきたんですよ」
「なるほど、それで魔法使いを狩っていたのか。美しい、だが許せん。やつは商売敵だ、あの時は見逃したが今度は必ずや倒さねば」
健四郎は拳を固めた。
「それにほっとけば俺っちの出世も遠のいちまうぜ、さっさと倒さねえとなぁ」
欧二郎は憂鬱に言った。




