九十四話 占い師の噂
「ところで探、最近この街………出るらしいよ」
さくらが手を下に向けて前に出した。
「出るってなにが」
探はいきなりなにを言ってるんだと顔を歪めた。
出ると言えばゴーストだ、夏にはよく話題になっている。そしてこの時期も夏、話題にはピッタリである。
「ほら、出るって言えばあれだよあれ」
「なんで急に、前から噂になってたんじゃないのか?」
昔からこの街で幽霊が出るという噂は出ていない。
「それが最近出来た都市伝説なんだよねー」
探はその言葉にんん?と眉を潜める。
「街を歩いてると、お前の全てを検索してやろうって声をかけられるんだって」
「ゴーストじゃなかったのか?」
探はさらに眉を潜めた、どうやらさくらはゴーストの話をしてるわけではないらしい。
「ゴーストじゃなくてフォーチュン、占い師」
「そりゃまた違う意味で胡散臭いな」
「神出鬼没でどこにいるか分からないんだけどその人の悩みとかピシャリと当てて解決方を導いてくれるんだって」
「ピシャリとねえ」
探はイマイチ信用できなかった。
「他にも俺に見通せないものはないとか全てを当ててやろうとか言うんだって」
「俺に見通せないものはない、か………」
探はその台詞に兄の面影が重なった。
「ん、なにか知ってるの?」
さくらは探の知り合いにそういう口癖の人間にいたのかと感じた。
「いや、気のせいだ」
探は首を振った。もう索は死んだ、もういないのだ。




