九十三話 さくらは誰かに似ている
「おはよ探」
「ああ、おはよう」
探とさくらは朝の挨拶を交わし学校に向かう。
「今日は元気みたいね」
さくらが探の顔を見て言う。
「ん、ああ。最近ここんとこ調子悪かったからな」
探が答える。
「毎日、なんかだるいんだよなーて言ってたね」
「それはお前も同じだろ。身体があちこち痛いとかわめいてたろ」
探が言い返す。
「えー、なんだっけそれー」
さくらはそっぽを向く。
「はっ、とぼけやがって」
ふと探はさくらの顔が気になった。
「な、なに?」
さくらの顔を挟んで自分の方に向けさせた。検索能力が自動発動し同じ顔を記憶から探す。
結果が出ると探が固まる。馬鹿な、さくらがこの女と一致するなどありえない、なにかの間違いだ。内心動揺した。
「ちょっと、どうしたの」
さくらが探の顔に疑問を投げる。
「あー、お前の顔どっかで見たことあるなーて思っただけ」
探はさくらから手を離すと適当に言った。
「ええっ!あたしと同じ顔の人がいたの!?」
今度はさくらが動揺した。まさか気づかれたか、という顔である。
「いや、気のせいだよ気のせい。似てるけど違う顔だった」
探は嘘を言った。検索で得た結果は彼にとって到底ありえない結果だったのだ。
「因みにどんな人と似てたの?」
「変な仮面のやつ。ほら、前に真司てやつの恋人助けに魔法使い研究所てとこ行ったて言ったろ。あそこで戦った相手がそれなんだよ」
「そ、そう………」
さくらは冷や汗をかいた。気づいている、向こうは信じていないがこちらの正体を知っている。その事実がさくらをさらに動揺させた。
「にしても恋人っていいよな、前も真司が恵美さんとのノロケを送ってきたんだよ。羨ましいったらありゃしない」
探は話題を変えると口を尖らせた。
「あー、そう」
さくらはどの口が言うんだと冷たい視線を送った。




