九十二話 魔導奏者の秘密
後日、真司はレストランでヴェレインと会っていた。先日現れた新たな探の姿の話をするためだ。
まずは恵美が見つかったことを報告する。
「ほう、行方不明の恋人が。それはよかったじゃないか」
ヴェレインが関心する。
「問題はそこじゃない」
真司が話題を変える。
「ほう、というと?」
「魔法使い研究所を知ってるか、人工的に強い魔法使いを作っているが 。そこにあいつがいた」
「あそこか、よく見つけたな」
「偶然いい記憶を見つけたんでな。ここからが本題だ。その際現れた研究所の所長と一緒に来た
通常の覚醒とは明らかに違う姿になった、あれはなんだ?」
「ほーう、通常の覚醒とは明らかに違う…………具体的な姿はどんなだ?」
ヴェレインは研究所所長と探の新たな姿に一層の興味を示した。
真司は二人を例える言葉を探す。
「仮〇ライダー?」
「違うな、あれはデ〇モンだ。オメガやデュークに近い姿だ」
ヴェレインが真司の言葉を否定する。
「見てないのに分かるのか………」
真司は唖然とした。見ていないものを見たように発言するのはおかしく見えた。
「あれは基本ああいう姿だよ、決まっている」
ヴェレインが言い切る。
真司は姿に関して聞かないことにした。
「まあいい、あれはなんだ?覚醒は一度で終わりじゃないのか?」
真司は話題を姿から覚醒そのものに変える。
「あれが、あれこそが魔法使いの真の姿だ。我々はあれを求めている、あれに達することが進化の極みと言える」
ヴェレインが覚醒のさらなる段階を説明する。
「本当にそれだけか?」
真司がまだなにか隠しているなと問い詰める。
「全知全能の魔法使い」
真司の眉が潜まった。
「何をする気だ?」
真司はスケールの大きな話にわけが分からなくなった。
「その魔法使いを見つけて我々は世界を支配する」
「それはもう魔導システムの普及で完成してるんじゃないのか?」
街に魔法使いが溢れることで魔法使いとしての世界は既に完成しているのだ。だがヴェレイン達はそれでは足りなかった。
「違うな、我々が求めるのはもっと完全な支配だ。文字通り人々を意のままに操るのが目的だ」
「その全知全能とやらは見つかったのか」
「いや、まだだ。まだその領域にはいたっていないよ」
真司は息を漏らした。
「ならよかった。だが、その時がくればお前も敵だ」
真司はコーヒーを一気に飲むと立ち上がった。
「それまでは、惜しみなく協力しよう。これは情報料だ」
ヴェレインが伝票を持つ。
「情報は俺も貰ったんだが………まあいい、ありがたくおごってもらおう」
「それでいい」




