七十六話 恵美は真司を思い出せない
ゼロツーが探に接近する。
「くっ」
作業の邪魔をされるわけにはいかない、探は距離を取る。
「はあっ」
代わりに闘華がゼロツーの腕を止める。止めなければゼロツーの腕に装備された剣が届いていた。
「久しぶりねゼロ、わたし達を裏切ったって聞いたけど本当だったんだ」
ゼロツーが言う。
「お前は相変わらずイレブンの教育係か」
「ゼロは外行っちゃうしゼロワンはやる気ないしわたしにお鉢が回ってきて嫌なのよねー。て、なにババ臭いこと言わせて、んのよ!」
ゼロツーがゼロを押し出しゼロが距離を取る。
「乗りが軽いのも変わらずか」
「よし」
探は検索が終了し後は映像を投影するのみとなる。
「はあっ」
投影を実行し空中に恵美が真司と過ごした時や彼女の家族の映像が映し出される。
「真司………ママ、パパ………」
イレブンに恵美としての記憶が戻る。
「これはいったい、この子の記憶だっていうの?!」
ゼロツーは投影された映像に驚く。
「あいつがやってるの?なら………」
ゼロツーは探に魔弾を放つ。
「うあっ」
映像を投影しているため探はバリアを張る手が塞がっており直撃を受けてしまう。同時に映像も消える。
「はあはあ、わたし、は………」
恵美はイレブンに戻り膝をつく。息を切らし混乱に頭を抱える。
「く、いいところだったのに」
闘華が苦い顔をする。
「参ったなぁ、そんな技を使う人がいるなんて」
ゼロツーは人差し指を回して悩ましく言う。
「イレブンを探してる人がいるって聞いてからかいに来たけど今日はもう引いた方がいいかもね」
そして手を広げて言う。お手上げという意味だ。
「行くよ、イレブン」
ゼロツーはイレブンに肩を貸して後方に飛ぶ。
「待て!恵美を返せ!」
真司はゼロツーを追う。
「じゃーま」
「くっ」
ゼロツーは風を発生させて真司を吹き飛ばした。
「逃がすか!」
探と闘華はスナイパーライフルと手のオブジェクトを構えた。
「いいのかな、このまま攻撃すれば恵美ちゃんにも当たっちゃうよ」
ゼロツーが馬鹿にして言う。
「う………」
「貴様………」
二人は仕方なく構えた武器を下ろす。
真司は恵美のいなくった虚空を悔しく見つめる。
「くっそー!」
もはや彼には叫ぶことしかできなかった。




