七十五話 恵美は真司を覚えていない
「人?」
探と闘華は人影を見つけて顔を確認できる距離に近づく。
「恵美、さん?もう一人は誰だ?」
探は検索能力で見た恵美と同じ姿を確認する。もう一人、知らない女が彼女と一緒にいた。
「イレブン、ゼロツー!」
だが闘華は違った。恵美をイレブンと呼びもう一人をゼロツーと呼んだ。
「え、知り合い?」
探は闘華が二人の名前を呼んだことに驚いた。
「ああ、研究所時代の仲間だ」
「マジか………」
探は戦慄する、研究所ということは彼女達は魔法使いとして戦うために調整された存在なのだ。
「恵美!」
そうとは知らず真司はイレブンとなった恵美に話しかける。
「恵美?それってわたしのこと?」
自分のことだとわからずイレブンが首を傾げる。
「俺だ、恋人の黒崎真司だ!覚えてないのか?!」
真司は彼女に自身が大切な存在だと主張する。
「わたし、あなたなんて知らないわ」
「な………」
ずっと探していた恵美に自分を知らないと言われ真司はショックを受ける。
「そう、この子はあなたのことなんて知らない。あなたはこの子を知ってるかもしれないけどこの子はなにも覚えてないわ」
ゼロツーが言う。
「やっぱ記憶を消されてるってことか」
探がゼロツーの言葉に納得する。
「覚えてたらこういう時不具合が出るからな。お前ならあいつを戻せるんじゃないか?」
闘華が探に聞く。
「あれ、疲れるんだけどなぁ。やってみるか」
探は嫌々ながらも恵美の記憶を検索する。
「おい、さっきからなにを言ってる」
真司が探と闘華に聞いた。
「俺の記憶見たなら知ってるだろ、恵美さんの記憶を戻すの」
「戻す?」
「それもわからんのか、そもそもやつはお前や家族に関しての記憶を消されてるんだ。戦うためにな」
「どういうことだ」
真司は闘華に詰め寄る。
「ちょっと黙ってて、今集中出来ない」
検索の最中に目の前で騒がれて探が怒った。
「あ、ああ。すまない」
探の言い方に真司も思わず謝ってしまう。




