七十話 成宮恵美を知ってるか
魔法使い同士が戦っていた。黒いフードの魔法使いが青い魔法使いを壁に叩きつける。
「うう……」
青い方が痛みに唸る。
「成宮恵美を知ってるか」
黒い方が聞いた。
「し、知らない。誰だよそれ」
「答える必要はない、直接頭に聞いてやる」
黒い方は手から触手を出すと青い方の頭に入れる。
「ひやーーーー!あ、ぐっ」
青い魔法使いは頭の中を抉られたような感覚に気持ち悪くなる。触手からは青い魔法使いの記憶が流れる。日々の暮らし、魔法使いになったきっかけ、幼少期、様々な情報が黒い魔法使いに入る。
だがそれらは彼の求めていたものではなかった。
「チッ、ろくな記憶ないな」
黒い魔法使いはがっかりして青い方を押すようにして離れる。青い方は恐怖と記憶を見られたダメージで腰が抜けてしまう。
黒い魔法使いは青い方を放ってこの場所を離れた。
★
探は夢の中にいた、周りの風景は森や海、都会の街とパラパラ漫画のように短時間で様々なものに変わる。その中に闘華と聖麗の新たな姿も現れた。
「なるほど、そういうことが」
詳細は不明だが探は二人に魔力や心の変化があったと推測する。
今周囲には聖麗、闘華、春樹をはじめとした街の魔法使いがいる。だがその奥にノイズのかかった姿があった。
ノイズは探に何かを警告するように指を向ける。その方向には子供の魔法使いが二人いた。一人がもう一人に指示するように立っている。
そこで夢は途切れ目覚める。
「夢、か」
探は今までの光景が夢と気づく。だが今の夢が何かはわからなかった。




