六十九話 聖麗の覚醒
「あなたみたいな悪い人と一緒にしないでくれる?わたしはピアノ嫌いを人のせいにしないし嫌なら嫌って言うしスランプも気合いで乗り越えたんだからんね!」
聖麗が少女に叫ぶ。
「え、わたしピアノ嫌いとか言ったかしら」
少女が聖麗に言ってないはずの情報を言われて首を傾げる。
「知らないわよ!でもそーんな格好してこんなところで戦ってるんだからどうせピアノ嫌いだからコンクール会場壊そうとしてるんでしょ、ピアノ嫌いなの人のせいにしてるんでしょ!」
だが聖麗はズバリ言い切った。偏見と妄想であるが完全に言い切った。
「ぐっ、が………」
だがそれは全て正解、ピアノが嫌だと面と向かって両親に言わない少女自身が招いた状況だった。
それを言い当てられ少女は怒りの沸点が頂点になった。
もはやその顔は少女と言うにはあまりに醜すぎるものだった。
─────こんなわけのわからないぽっと出のお嬢様になんで言い当てられなんきゃなんないのよ、調子に乗らないで!
「あ”あ”あ”あ”、あ”ーーーー!」
少女はでたらめに鍵盤を引いて音波や音符を発生させる。聞けば思わず耳を塞ぎたくなるほどの不快な音である。
「響け!聖なるハーモニー!」
聖麗が光の鍵盤を弾くとドーム型のバリアが現れ少女の攻撃を全て無効化させた。
「防いだ!けどどうせまぐれよ!」
少女が再び鍵盤を弾く。
「まだまだぁっ!」
聖麗も負けてはいない、己の信じる音楽を鍵盤に託す。
邪魔と聖なる二つの音楽がぶつかり聖麗の音が少女の邪魔を貫通する。
「きゃあっ!」
少女が怯む。
「今よ!」
聖麗が少女の周囲にスピーカーを出現させて一斉に音波を発射する。ラアァァァァ、清らかな音が響き少女を襲う。
「あっ、ぐっ」
少女は立ち上がるもダメージでよろけてしまう。
「来い」
闘華は少女に掴まった手のオブジェクトを回収し少女に接近する。
「どうした、お前の力はその程度か!」
オブジェクトを拳にして少女を連続で殴りつける。ドゴンドゴンと当たる度に鈍い音がした。
「この、ていどじゃ…………」
少女は顔をしかめ反撃できない。
「これは決め時だな」
闘華は聖麗に目を向ける。
「うん」
闘華は手のオブジェクトを正面に構え聖麗は巨大なスピーカーを召喚する。
「ダブルロケット張り手!」
「シンフォニックウェーブ!」
「きゃあぁぁぁ!」
巨大な手のひらと黄金の音波が少女を襲う。ズドオォォン!という強い衝撃と煙が湧く。
煙が消えると少女が消えていた。
「逃げたか」
闘華が呟く。
「逃げたけど結構やったんじゃない?」
聖麗が少女のものと思われる魔導システムのデバイスの破片を拾う。
聖麗はやがてコンクールの表彰式で優勝を勝ち取った。




